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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1997.8
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社文庫
  • サイズ:15cm/418p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-263579-8
文庫

紙の本

聖域 (講談社文庫)

著者 篠田 節子 (著)

聖域 (講談社文庫)

税込 734 6pt

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みんなのレビュー24件

みんなの評価3.6

評価内訳

紙の本

妄執ってやつですかね、もてない男が自分の想いにも気付かず、幻の作家を追い求める、それが・・・

2007/03/10 18:46

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私が読み残していた数少ない篠田作品の一つです。単行本出版が1994年、直木賞を受賞する前の作品だったからかもしれません。この作品の位置付け、直木賞受賞などの経緯については、巻末についている関口苑生の解説に分りやすく載っているので、そちらを読んでもらいますが、デビュー四年、筆の安定感は、さすがとしかいいようがありません。
文庫のカバー装画は門坂 流、カバーデザインは安彦勝博。
帯の言葉は
「新直木賞作家の原点
未完の小説『聖域』に魂を奪われた編集者が、
謎を残して疾走した作者の
行方を追うが・・・・・・。
神の領域を描く傑作サスペンス」
カバー後の案内は
「関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。一人の文芸編集者が偶然見つけるが、得体の知れぬ魅力を秘めた世界へ引きずりこまれる。この小説を完成させようと、失踪した女流作家・水名川泉(みながわせん)の行方を捜し求めるその男は、「聖域」の舞台である東北へ辿りつく。山本賞・直木賞受賞作家の長編サスペンス。」
となっています。タイトルのついた大きな章はなくて、番号だけの12章構成で、最後に関口苑生の解説がついています。
主人公は29歳になる独身の編集者・実藤、週刊誌の編集から念願の文芸誌担当になったばかりです。その雑誌というのが、かつては社の看板誌ともいわれた「山稜」です。現在は月刊誌から季刊へと姿を変え、発行部数は3000部、実売はその半分とも言われる停滞気味の季刊誌で、編集部員も4人という寂しいもの。
身の回りの整理もせずに退社した古手の編集者・篠原が残したものを片付けているうちに実藤が発見したのが、10年前に書かれたらしい未完の原稿「聖域」で、半信半疑で読み始めた彼は、たちまちその世界に惹き入れられ、是非ともその作品を本として出版しようと思い始めるのです。
そして、退社した篠原、あるいは現在は文学界の大御所である三木清敦などの忠告を振り切って、謎の作家・水名川泉捜しに狂奔します。行方不明の女流作家を追う実藤は、「聖域」の舞台である東北で手がかりらしきものを見つけます。一方、彼が密かに思いを寄せていたフリーライターの豊田千鶴は、「ダライ・ラマ」の取材に出かけたチベットで遭難してしまいます。
生と死の問題を核に据え、それに芸術活動への執念、或は死者の霊との交流、新興宗教といった90年以降我が国で大きな潮流となった事象を話に絡ませながら、物語は狂気と紙一重の世界を見せていきます。関口苑生の解説に、この話が97年に山本周五郎賞を取った『ゴサインタン──神の座──』に繋がる、とあって、思わず肯いてしまいました。
1955年生まれの篠田が見せる世界は、60年代作家たちのそれとは明らかに異なる、硬質でいながらウェット、土に根ざし人間の暗い側面をうかがわせる、ホラーではなくファンタジーというよりは伝説と呼ばれるに相応しいものかもしれません。彼女に近いといえば板東真砂子がいますが、二人の微妙な違いを読み分けるのは、案外楽しいことかもしれません。

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紙の本

正統であるがゆえの異色?

2003/01/25 02:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hybird - この投稿者のレビュー一覧を見る

関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」——裏表紙のこのコメントから、編集者が殺人事件に巻き込まれるお話かと思って読んだら大間違い。これはシャーマンのお話。編集者実藤(さねとう)が、何かに憑かれたかように、原稿の完成に執着し続けるという一本気な展開に加え、生と死に真正面からぶつかるゆえ、重めの物語。最近は神懸りを扱った小説でも軽めのものが多いため、コレは正統であるがゆえの異色?

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紙の本

重いテーマ

2002/04/12 09:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公は文芸誌の中年編集者。彼が偶然見つけた原稿、無名作家のその原稿に描かれた「聖域」という小説に引き込まれる主人公だったが、それは未完の物語だった。どうしても結末が知りたくて、その原稿の作者を追う内に事件に巻き込まれ…… という話。
 なんというか、いかにも「女たちのジハード」を書いた作者らしい話だなあ、という印象。「生と死」「この世とあの世」という重いテーマに臆すところなく真正面からぶつかって、小説に仕上げている。テーマと作者との格闘ぶりがよくわかる作品。ただ、そのテーマを読者が共有できるかどうかはちょっと疑問。あまりにもストレートに(悪く言えば露骨に)読者に重い問いを突きつけてくるので、人によってはうざったく感じてしまうかもしれない。読んでいて少し疲れる。「作者の気迫に満ちた作品」とも言えるけど…… 少なくとも楽しく読める作品ではないですね。疲れているときには読めない。じっくり腰を据えて読みましょう。

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2005/05/21 11:21

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2006/04/03 13:04

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