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紙の本
アシジの聖フランシスコ (平凡社ライブラリー)
著者 イエンス・ヨハンネス・ヨルゲンセン (著),永野 藤夫 (訳)
キリスト教が政治的権力を握り腐敗した時代にあって、一人弱き者の側に立って平和と謙遜を説いた聖フランチェスコ。彼の「清貧」の思想が現代社会にもたらす意義は何かを考える。再刊...
アシジの聖フランシスコ (平凡社ライブラリー)
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商品説明
キリスト教が政治的権力を握り腐敗した時代にあって、一人弱き者の側に立って平和と謙遜を説いた聖フランチェスコ。彼の「清貧」の思想が現代社会にもたらす意義は何かを考える。再刊。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
イエンス・ヨハンネス・ヨルゲンセン
- 略歴
- 〈ヨルゲンセン〉1866−1956。デンマークの詩人。著書に「巡礼の書」「ヨルゲンセン詩集」など。
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清貧は良いけれど、どうも真実が見えてこない
2002/09/10 21:31
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
紹介にヨルゲンセンはデンマークの詩人で我が国でも有名とあるが、この認識は今となっては怪しい。時代は変わっているの。この本の原作は1907年に出版され、翻訳であるこの本は1977年に出版、清貧が求められる現代に合致すると、再刊の運びとなったらしい。果たしてそう読まれるかどうか。
フランシスコは1182〜1226の人。44歳での逝去は当時として短命なのだろうか。アシジのお金持ちの家に長男として生まれ、放蕩の生活を送るが、らい病の患者に手を差し伸べられない我が身を恥じて、宗教生活に入る。彼に惹かれて次第に人々が集まってくるのが前半。美しい娘、クララやその妹達の相次ぐ入信と、それを妨げようとする親達との争いなどもあるが、その活動が教皇から認められ、1224にラ・ヴェルナ山のモンテ・アヴェルナの隠棲所で、キリストとおなじ五つの傷 聖痕の恵みを受けて、歿するまでが後半。
フランシスコの事蹟は良く描かれている。しかし、その外の世界が見えない。教皇や貴族がフランシスコの生活に感動するのは解る。しかし、それで彼らの生活がどのように変わったかは見えてこない。フランシスコの弟子達を身の回りに侍らせるのが流行になったとあるが、裕福な貴族のもとで、教団と切り離された弟子達がどのように過ごしたのか、それも描かれることはない。
正直に書くが、全く感動できなかった。それは私自身のせいでもあるが、この作品の限界でもある。現代の日本人である私は、東南アジアに秘仏を求める旅の中で身も心も傷つき生還する日本人を描いた篠田節子の『弥勒』や、同じ篠田の預言をする東南アジア女性を妻とした日本人の宗教的な生き方と慟哭を描く『ゴ・サイタン』に、より根源的なものを見てしまう。清貧はいい、自分もそれを目指しているし、そういう生き方をする人を見て感動もする。ただ、それを宗教者や権力者が言うと、胡散臭くなる。