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山田風太郎明治小説全集 7 明治断頭台 (ちくま文庫)
明治断頭台 ――山田風太郎明治小説全集(7)
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紙の本
山風ミステリの最高峰
2001/05/30 00:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山田風太郎の本格推理小説。機械トリックだけでも見事だが、さらに最後のドンデン返しが強烈。推理小説好きなら必読の一冊でしょう。
紙の本
明治の混乱すらも、ミスリードに姿を変える
2001/01/11 16:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
忍法帳でおなじみ山田風太郎の明治もの。太政官弾正台(役人の汚職を取り締まる役所)に勤める大巡察、香川経四郎と川路利良がフランス人美女エスメラルダの力を借りて、不可能犯罪を解決する連作短編。
中央ホールに螺旋階段のあるホテルで胴体を真っ二つに斬られた死体が見つかった。容疑者の一人は30メートル上の展望塔におり、もう一人の容疑者の刀は以前からポッキリ折れて使い物にならなかった。容疑者がホテルに現れた理由もわからない。犯行はどうのようにしてなしえたのか?(「怪談築地ホテル館」より。)
洋館のホテルと日本刀、人力車と生霊、望遠鏡と女形など、この本で起こる事件は全て明治時代でなければ起こらないものばかり。発端はなかなか興味を引かれるものの、解決編がすぐやってきてちょっと物足りない。「頭の体操」のようにページめくるとすぐ答えってな感じ。バリバリの機械トリックはオモロイけど、なんか違和感あるなーなんて思いながら最終章。な、なんとこれらの不満、全部計算づくじゃないですか!
最終章のサプライズもさることながら、明治開期と維新政府も丹念に書かれてその癖飽きない。混乱する世間と政治は、現代の姿すら透けて見えそう。歴史小説と探偵小説が融合した極上のエンターテイメントに仕上がっております。まさに20世紀に読んでおくべきだった本。忘れてはならぬ人々が、そこにいる。
(初出:いのミス)
紙の本
山風の明治ものの中でも、これはとびっきりの面白さ!
2005/01/09 21:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
山田風太郎の明治ものの一冊。『ミステリ十二か月』の北村薫さんと有栖川有栖さんの対談の中で、有栖川さんが、>(p.257)と言ってらしたので、どれどれ、どんくらい面白いんかなと読んでみました。いやあ、面白かったわあ。さすが、ミステリ通のおふたりが強力に推薦するだけのことはあるあると、問答無用の面白さを堪能しました。
以下、面白かったところを三点抜き出して述べてみます。
まず、いくつかの話の中で使われる事件のトリック、それが面白かった。
明治時代の初頭、新政府の警察機構の一環として出来た太政官弾正台の大巡察、川路利良(かわじ としよし)と香月経四郎(かづき けいしろう)のふたりが、同じ事件に対してそれぞれに推理し、解決しようとします。手下の邏卒を使いながら、両名が探偵合戦を繰り広げていく。そして事件の真相が解き明かされる場面では、異国はフランスの美女、エスメラルダが絡みます。事件で殺された被害者の魂を死の世界から召喚し、真相を告げる巫女の役割を担うのがエスメラルダという美女。香月を恋い慕って、フランスから日本に来た女性という設定になっています。
それで、不可解な事件のトリックが実に印象的で、鮮やかなんですね。機械的なトリックを始め、犯人が仕掛けたからくりが見事に決まっていました。「怪談築地ホテル館」や「遠眼鏡足切絵図」でのトリックが、特に面白かったな。
面白かった二点目は、歴史の教科書に出てくる著名な人物たちが実名で登場するところ。作者の遊び心と言ってもいいでしょうか。後年、名を残すことになる人物が、意外なところでひょいと出てきたり、子供として登場したりするシーンがね、面白かった。そういう歴史上の人物が意外な姿で出てくる場面では、「およっ」とか「へえーっ」とか、心の中で声を上げていました。確かに、明治初頭に東京で生きていた人たちだから、あんまり違和感がないんですよ。ひょっとしたら、そういうこともあったかもしれないって感じで。
そして面白かった三点目は、連作短編集としての仕掛けの妙味を最後の章で堪能させられたことでした。「正義の政府はあり得るか」というラストの章で、それまで隠されていた切り札が目の前にさらされた時の驚き! それまで寝転んで読んでいたんですけどね、がばっと起き上がりそうになりました。鉄槌でがつんと一撃されたような気持ちって言ったらいいかな。鋭い告発にもなっているなあと思うと、何かもう呆然としてしまうよりほかありませんでした。
紙の本
完全無欠のエンターテイメント
2002/07/11 06:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:柿右衛門 - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白い。
この小説を一言であらわすと、それで終ってしまう。
それほど、おもしろい。
時は明治時代はじめ、太政官弾正官(役人の汚職を取り締まる役所)の川路と香月が江戸で起きる不可解な事件を解き明かしていく。
川路と香月が独自の方法で謎に迫り、あと一歩わからないというところで香月が渡仏した際に出会った、フランス人巫女の手を借りて事件を謎とく。
こんな調子でいくつかの事件が解明されていくのだが、読者はきっとなんとなくしっくりしないものをかんじるかもしれない。
そんななか迎える最終章、この本に仕掛けられたトリックに唖然とするはず。山田風太郎見事である。
さて、彼の明治を舞台にした作品はいくつかある。これらは1冊より2冊。2冊より3冊。読めば読むほど面白くなっていく。
どの小説でもさまざまな登場人物がすれ違い、1冊にとどまらない活躍をみせる。
明治時代を生きた偉人たちが山田風太郎の手によっていきいき書かれているのを読むだけでも、価値ありである。
紙の本
日本ミステリ史に残る傑作
2002/07/22 12:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浅知 恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治2年、いまだ暗中模索をつづける政府の中、太政官弾正台(官吏の汚職を糾弾する機関)の大巡察・香月経四郎と川路利良は政府のあり方について議論する。弾正台はあくまで正義を貫き政府の最高機関となるべきだと主張する香月と、司法として政府を支え人民を守れば良いと考える川路。ふたりはある事情から数々の怪事件において推理合戦をくりひろげることになるのだが……。
山田風太郎の明治ものの中でも特に推理小説として評価の高い本書。連作形式をとっているが、最後の最後でなかなか壮大な仕掛けがあり、『妖異金瓶梅』と双壁をなす傑作といえるだろう(まあ、勘のいい人なら気づく仕掛けではあるが、テンションの保ち方が尋常ではない)。あちこちに顔を出す実在の人物(川路をはじめとして福沢諭吉、内村鑑三、西郷隆盛、大久保利通など)も楽しく、気軽に読めてしかもミステリの真髄に触れられる一級の娯楽作だ。ラストも秀逸。
読まないと損します。