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バッハの思い出 (講談社学術文庫)
著者 アンナ・マグダレーナ・バッハ (著),山下 肇 (訳)
人間バッハの苦悩と喜びを綴る「美しき魂の書」音楽の父と呼ばれ、モーツァルト、ベートーベンにも多大な影響を与えたバッハ。対位法の巨匠、永遠を語るロマン主義者と称される一方、...
バッハの思い出 (講談社学術文庫)
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商品説明
人間バッハの苦悩と喜びを綴る「美しき魂の書」
音楽の父と呼ばれ、モーツァルト、ベートーベンにも多大な影響を与えたバッハ。対位法の巨匠、永遠を語るロマン主義者と称される一方、家庭を愛し、その芸術は生活との完全な調和(ハーモニー)を奏でていた。本書は、音楽家としての波乱の65年の生涯と、名曲の背後に隠された人間バッハの苦悩と喜びを、最良の伴侶の目を通して叙述。英独仏で多くの読者に愛され続けたバッハ理解に必読の古典的名著である。【商品解説】
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紙の本
偉大な音楽家バッハの素顔が垣間見られます!
2020/03/14 12:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「音楽の父」とも異名をとった偉大な音楽家バッハの65年にもわたる生涯を、彼の伴侶の眼を通して記述された、素顔のバッハを理解するためには格好の一冊です。バッハは、音楽界では永遠のロマンを語る大音楽家と賞賛されていますが、他方、家庭生活でも家族を愛し、円満な家庭を築き上げており、音楽と家庭が完全に調和していたと言われています。しかし、そのようなバッハでも、様々な苦悩の日々があったようです。同書では、こうしたバッハの素顔が描かれた非常に貴重な書です。ぜひ、音楽家バッハのファンの方にはもちろんですが、それ以外の人にも読んでいただきたい一冊です。「第1章 めぐりあい」、「第2章 その日まで」、「第3章 なつかしきバッハ」、「第4章 ライプツィヒ」、「第5章 晩年」、「第6章 バッハの音楽」、「第7章 終焉」といった構成で、とても読み易い内容です!
紙の本
ええっ!
2003/11/03 17:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな本が存在したのか! 書店でこの本を最初に目にしたとき、まず驚いた。
ヨハン・セバスティアン・バッハの二番目の妻アンナ・マグダレーナによるバッハ伝! こんなものは聞いたこともなかったし、これまで読んだ伝記や研究書でも、ふれられてなかった気がする…しかし、著者らしき彼女の名が刻まれたその本には、友人に勧められて筆をとったいきさつから始まり、バッハについての個人的な思い出が印象深くつづられており、私は何の疑いもいだかず、それを読み進んでいった。
そこには、音楽家バッハの驚くべき天分ばかりでなく、いかに彼が家族や弟子を愛したかが綿々とつづられている。アンナをひざに乗せながら、クラヴィーアの手ほどきをしたり、たまの休みに一家でハイキングに出かけ、子供たちと転げまわったりという記述は、音楽の父バッハが理想的な夫・父親でもあったということを認識させてくれる。またその慎ましくも勤勉な性格は、多くの性格的欠点を有していたモーツァルトやベートーベンとは異なる、人格者としてのバッハ像をわれわれにあたえてくれる。当然のことではあるが、これらを語る筆者の口調は、愛情に満ちているばかりでなく、誇らしげでもある。
その反面、宗教者としてのバッハも、鋭く描かれている。それはとても暗く陰鬱な横顔だ。いわく「何ものにもまして奇異に感じられたのは、あの孜々営々と多産であった全生涯を通じて彼につきまとっていた灼熱的な欲求、すなわち、死をねがう心でありました」。彼の孤高の人格は、愛する妻でさえも近寄りがたい何かを備えていたようである。よくいわれる「敬虔なルター派の信仰を抜きにしては、バッハの音楽は語れない」というテーゼも、全体を通じて感じとることができる。
このように、まことしやかな記述に触れながら、人間バッハの姿に、涙も流さんばかりに感動している最中、何気なく読んだあとがきの字句に、私は唖然とする。
「戦後のバッハ研究が進むにつれて、この疑念の真偽の問題もしだいに明らかにされて、本書がマグダレーナの真筆ではないという見解が有力視されるようになっている…」
ええっ、贋作?! さらに調べてみると、本当の作者は、エスター・メイネルという20世紀のイギリス人女性だそうである。
かくして大音楽家のなまの記録とはほど遠い代物であることが明らかとなったわけだが、基本的に史実にもとづいて構成されているこの物語を、まったくのフィクションと片づけることはできまい。バッハ音楽の偉大さを認識する者は誰でも、ここに語られたバッハの考え、生き方に共感できようし、誇張され創作された逸話の中にも実際のバッハの人となりを感じとることはできる。またこれによってバッハの音楽をさらに深く知りたいと思う者は多いだろう。そういう意味で、本書は人間バッハをいきいきと感じるための格好の伝記であり、その音楽への最良の手引書である。
とはいうものの、著者名の偽装が読者をだます悪しき行為であるのは当然で、出版社には、せめて現在までに明らかになっている真の著者名を、表紙に載せるぐらいのことはしてほしいものである。