紙の本
銃口 上巻 (小学館文庫)
著者 三浦 綾子 (著)
人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作 昭和元年、北森竜太は、北海道旭川の小学4年生。父親が病気のため納豆売りをする転校生中原芳子に対する担任坂部先生の温かい言葉に心打たれ...
銃口 上巻 (小学館文庫)
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商品説明
人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作
昭和元年、北森竜太は、北海道旭川の小学4年生。父親が病気のため納豆売りをする転校生中原芳子に対する担任坂部先生の温かい言葉に心打たれ、竜太は、教師になることを決意する。竜太の家は祖父の代からの質屋。日中戦争が始まった昭和12年、竜太は望んで炭鉱の町の小学校へ赴任する。生徒をいつくしみ、芳子との幸せな愛をはぐくみながら理想に燃える二人の背後に、無気味な足音……それは過酷な運命の序曲だった。【商品解説】
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キリスト教徒の視点から捉えた戦争がテーマの小説
2004/07/21 18:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美以仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはドラマ化もされた、三浦文学の中でも有名な作品です。主人公北森竜太とその周りの人間模様を描いた、青春小説です。学校がメインになっている昭和初期の話はたくさん読んだことがありますが、作者がキリスト教のため、どこか違う視点から物事を捉えている気がしました。
途中で、神様がいるかどうかを友達同士で話し合うシーンがあります。口論のうちに助け舟を出してくれたのは担任の坂部先生で、この人はキリスト教徒でした。「汝の隣人を愛せよ」という教えを忠実に守っていて、主人公を始め多くの生徒がその先生を慕います。
竜太は大人になり、その坂部先生を目指して教師になりました。ちょうどその頃から戦争の足音が近づいて来て、職場でも共産主義者が取り締まられたりして、発言にも気を配らなければならなくなりました。竜太はそれにすごくとまどうのですが、そんな時にも坂部先生の教えが救いでした。
私はまだ上巻しか読んでいないけれど、後半のメインは中原芳子との恋だと思います。芳子は幼馴染で中学から竜太と離れてしまいましたが、2人はお互いを思いやっていて、この巻の最後の方で少しずつ深い仲になっていきました。だからこそ、2人がこの後どうなるのかがとても楽しみです。
また、全体のテーマは「戦争の残酷さ」です。主に後半で現れるこの主題に繋がっていく、とても意義のある上巻だったと思いました。
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今に通じる
2022/01/10 20:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
実際にあった「北海道綴方教育連盟事件」を題材にした作品。
子どもの作文指導をしていた先生たち約60人が、ありのままを描写させるのは「共産主義教育だ」と逮捕された事件だそうだ。
なし崩し的に拡大解釈された当時の治安維持法が、あらゆる市民活動を危険視し、市井の人々の日常までも縛ったといわれている。善良な教師が訳も分からぬまま連行され、教壇を追われる様子が生々しく描かれている。
今の世相とも通じるところがあるからだろう、近年この長編が再注目されているという。
三浦綾子さんは戦中に教壇に立ちながら軍国主義教育に何の疑いも持たなかった自身への猛省から、この事件を「書き残さねば」と病を押して完成させたそうだ。三浦さんの最後の小説であり、「遺言」とも言われている。
あとがきにこんなことが書かれていた。
「昭和時代が終っても、なお終らぬものに目を外らすことなく、生きつづけるものでありたい」。
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感動作になりそうです。
2021/10/04 16:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
質屋の長男で小学生の竜太は坂部久哉先生に憧れ、教師を目指し、炭鉱街で教師の一歩を踏み出した。当時は中国との戦争が激化し、言論や思想の自由が奪われ始めた。竜太は幼馴染で同級生であった教師の芳子から綴り方連盟の会合に誘われ、出席する。しかし、その会合に出席したことで竜太は特高に身柄を拘束される。理由は赤化思想の疑いであった。軍部が強く、日本国を転覆させる思想を徹底的に排除するためであった。竜太は今後どうなるのか・・・。
久々の一気読みでした。竜太と芳子の今後が楽しみです。しかし、赤化思想の部分はひどいですね。全国でも取り締まりは厳しかったようですし。下巻も楽しみです。