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紙の本
掛居保(あすなろ白書)、少年時代の物語
2002/02/12 17:35
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投稿者:楓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
掛居保(かけい たもつ)と言えば、ご存知、「あすなろ白書」の主要登場人物だが、「あすなろ」を読んだことがある人なら、主人公の顔を柴門ふみのあの独特な絵で思い描くことだと思う。しかし、これは、「あすなろ」を知らない若い世代の人たちも、これ一冊だけでも楽しんでもらえる本である。
中学生の掛居保は母親と二人暮し。父親は知らない。成績は優秀だが友達は少なく、孤独の中に安らぎを見出すような内気な子供だった。そんな彼の前にあらわれるのは、ヤクザの娘・トキエと精神障害をもつ朝子。二人の少女に共通しているのは、自分を理解してくれるのは掛居保だけだと思っていること。そして、夢を見つつも、それをもう諦めていること。そんな三人を中心に、傷つけあうことでしか自分を確認できない子供たちの痛々しい青春が描かれる。
主人公・掛居保は、結局、自分が世界に対して未熟すぎたのだということを、物語の末期で悟るが、そこに行き着くまでがとにかく痛い。自分の平凡なあの頃と照らし合わせてみても、掛居保たちは特別な子供だが、大切なのは、その特別というところにあるのではない。彼らの痛みや愚かに見えるのだがひたむきな姿に、少年達の穢れのない心を感じるのだ。