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紙の本
群は偉大な?作家になってしまった、もし、それがお金を意味するならば。でも、わたしは1990年代前半までの、まだ昇ろうとしていた彼女の作品が好き
2004/04/29 21:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《どこから読んでも楽しめる短いエッセイが一杯、おなじみ群ようこの噴飯ものの日常》
最近は、長編小説が益々長大化しているせいか、息抜きにエッセイ、それもいつ閉じても楽しめるようなものを、併読することにしている。夫などは、私の脇に置いてある息抜き本のほうが気になるらしい。面白い文章にぶつかった時、気軽に「ここを読んでみたら」と渡せるのが魅力だけれど、群れようこの本は、そのまま返って来ないのが玉に瑕。
この本の単行本の出版は、1994年の出版だからかなり前の本だけれど、その時間差を悔やませるのは中の一編だけ。そのことについては、あとで触れる。残りは、日常的でも普遍的というか、ささやかなテーマだから、時間を意識しないで楽しむことができる。もとはサンデー毎日連載の69編を纏めエッセイ集、本文は各編四頁、どこから読み始めても、途中で休んでも気にならない。
グルメを皮肉る「マツタケ」、30代の独身男への強くなった風当たり「ご成婚余波」、噴飯ものの夜の姿「寝相」、流行ものへの感覚の鈍さ「ナタデココ」、際物本を思わず買ってしまう「とび出る仏像」。他に若い人と自分たちの体型の変化に驚く「股下」「でかい乳」なども笑える。
で、この本が出た時読みたかった、と思った傑作が「とび出る仏像」。この本のオリジナルは10年も前のものだから、今、その仏像の本を見ることは多分、出来ないだろうけれど(もしかすると、ロングセラーだったりして)、私も、それからこの文を読んだ夫も娘も「見たい!」と叫んだ。どれほど、それが興味をそそるものであるか、そこだけ立ち読みしても数分で済む、是非目を通してほしい。ここだけは、時が過ぎてしまったことを悔やむはずだ。
群のエッセイは、誰が読んでも面白いものだけれど、個人的にはこの頃までが、家庭も落ち着いていてよかった。何といっても今は、お金をめぐる家族の泥仕合ばかり見せられる気がして、少しも楽しくない。金満日本が、まだまだ下品ではなかった最後の時代だろうか、バブルの後遺症が本当に始まるのは、それ以降である。