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アフロディテ 古代風俗 (平凡社ライブラリー)
古代ギリシアの崇拝者でありエロティスムの求道者であったルイスの最初の長編小説。ギリシア神話を題材に、エロティスムの美を追求、著者独自の世界を生み出す作品を新訳で。【「TR...
アフロディテ 古代風俗 (平凡社ライブラリー)
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商品説明
古代ギリシアの崇拝者でありエロティスムの求道者であったルイスの最初の長編小説。ギリシア神話を題材に、エロティスムの美を追求、著者独自の世界を生み出す作品を新訳で。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ピエール・ルイス
- 略歴
- 〈ルイス〉1870−1925。古典に関する博大な教養、高雅な文体をもって異教的古代に取材した詩や小説を発表、熱狂的な読者を得た。代表作に「ピリティスの歌」「アスタルテ」など。
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紙の本
官能性は知性が発達する上での不可欠で創造的な条件である
2001/02/11 16:58
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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は、かのクレオパトラの姉女王ベレニケ治下のアレクサンドリア。ガリラヤ生まれで金褐色の髪をもつ娼婦クリュシス(黄金の女)と女王の寵愛を受ける彫刻家デメトリオスの愛と夢と死の物語。著者ピエール・ルイスは、官能性は知性が発達する上での不可欠で創造的な条件だと書いている。
《それを愛するにせよ呪うにせよ、肉体の要求をその限界点まで感じたことのない人は、そのこと自体によって、精神の要求するところの全幅をとらえることはできない。魂の美しさが顔全体を照らし出すように、肉体の持つ生殖力のみが脳髄を豊かにするのである。》(序)
しばし陶酔の時を過ごした後、記憶に残った断片を抜き書きしながら余韻に浸ることにしよう。
クリュシスが七年もの間にわたって快楽の技術を学んだことについて。《なぜとて、音楽と同じく愛もまたひとつの技法だからである。愛は音楽と同じたぐいの情緒を、音楽に劣らず繊細で、同じように人の心を震わせ、時にはそれにも増して激しい情緒を呼び起こすものなのだ。》(第一編)
哲学者ナウタラテスの言葉を二つ。《人間の愛が動物たちの愚かなさかりと違うのは、愛撫と接吻という二つの神聖な作用によってのみなんだ。》(第二編)
《宇宙は三つの真理が語られるために創造されたのだ。してわれわれにとって不幸なことに、この真理の確かなることが、今晩から五世紀も前に証明されてしまったのだ。ヘラクレイトスは世界を理解した。パルメニデスは魂の本性を明らかにした。ピュタゴラスは神を測定した。われわれはただ沈黙するしかない。私が発見したのは、エジプト豆がなかなか歯ごたえがあるということぐらいのもんだ。》(第三編)
デメトリオスがクリュシスにアフロディテを見る場面。
《デメトリオスは一種の宗教的な畏れをこめて、女の肉体の中の女神のこの怒り、全身をとらえているこの恍惚状態、自分が直接惹き起こしたこの超人間的な痙攣に、じっと眺めいる。この痙攣を彼は高めたり抑えたりし、それを見て千度も驚く。/彼の目の前で、生命のもつすべての力が、ものを生みなそうとして力を尽くし、偉大さを帯びる。既にして両の乳房は膨らんだ乳首に到るまで、母なるものが持つ威厳を帯びた。女の聖なる腹は、懐妊を成し遂げた……》(第四編)
デメトリオスがクリュシスに別れを告げる場面。《そうとも、おまえか俺、愛している方がそうなんだ。奴隷になること! 奴隷でいること! これこそが恋の情熱の本当の名なんだ。》(第四編)