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商品説明
【桑原武夫学芸賞(第1回)】闇、死、海の音、友だち、路地の奥、階段、橋、肩車、おにぎり、雨、数字…。忘れられない光景、思いがけない出来事にひそむ、生の一瞬の輝き。ひとの人生の秘密を、鮮やかに照らしだす三章二十四編の詩文集。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長田 弘
- 略歴
- 〈長田弘〉1939年福島市生まれ。早稲田大学卒業。詩人。著書に「詩と時代」「見よ旅人よ」「私の二十世紀書店」「詩人であること」など。
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紙の本
エッセイであり詩集である……希有な文章
2001/07/06 21:06
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投稿者:佐々宝砂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この詩集は散文詩だけで構成されている。長田弘の旧作『深呼吸の必要』もそうだったけれど、限りなくエッセイに近い。冒頭の「むかし、遠いところに」という散文詩はやや異色で童話風の架空の物語を描いており、また「雨の歌」という作品は「雨」という文字を視覚的に配置してかなり詩的なものを感じさせるが、他の作品は、エッセイとして発表されたとしても全く違和感を感じさせないであろう、日常雑感的な散文である。
本当のところ、私は、詩はかたちだと思っている。ひとつの詩が詩であるというその証拠は、そのフォルムにあると考えている。しかし、この本に収められているような作品を読むと、その考えがぐらり揺らぐのを感じる。表面的にはありきたりのエッセイのような顔をしている長田弘の散文は、どこかに濃厚な詩の匂いを漂わせている。その匂いはやはり言葉でできているのだけれど、匂いの源は言葉ではない。思想といったらおおげさな、詩的感覚といったら何か大切なものを掴みそこねるような、そんな曖昧なものが、詩の匂いの源にある。
作者は、あとがきで「詩とされるなら、これは詩であり、エッセーとされるなら、これはエッセーである」と書いている。これが詩であるかそれともそうでないか、読むひとが決めなさい、私自身はジャンルやかたちなんかどうでもいいのです、とでも言いたげに。
読んでいて心地よい文章であることは間違いない。詩はおろか文学などまるで読まない人が読んでそれなりに楽しめる文章であることもまた、間違いない。そのような詩は希有だ。考えてみたら、そういうエッセイだって希有なのだ。これが詩であるかそうでないかなど、確かにどうでもいいことのようである。
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