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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1998.1
  • 出版社: 早川書房
  • レーベル: ハヤカワ文庫 SF
  • サイズ:16cm/330p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-15-011219-6

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文庫

紙の本

デッドアイ・ディック (ハヤカワ文庫 SF)

著者 カート・ヴォネガット (著),浅倉 久志 (訳)

デッドアイ・ディック (ハヤカワ文庫 SF)

税込 821 7pt

デッドアイ・ディック

税込 594 5pt

デッドアイ・ディック

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みんなのレビュー18件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

盛り沢山過ぎて一寸散漫だけど、ヴォネガット流の皮肉は鋭いし、おもしろい。

2008/02/28 13:33

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 まずは銃規制の問題。これは殺された身重の女性の夫メッツガー氏が正解を書いています。
〈わたしの妻を殺したものは、どんな人間も決して手にすべきでない機械です。それは火器と呼ばれています。それは人間のすべての願望の中でもっとも邪悪なものを、即座に、遠くからかなえることができます――つまり、なにかを殺そうという願望を。
 それが邪悪というものです。
 わたしたちは、人類がつかの間にいだく邪悪な願望をとりのぞくことはできません。しかし、その願望を実現させる機械をとりのぞくことはできます。
 これがその聖なる言葉です――武器を捨てよ〉
 でも、アメリカでは銃規制が進まないねぇ。
 警察官によるリンチ、虐待・・・父親は、裕福で変わり者、戦争中はさすがにひかえていたものの、それまではヒトラーと付き合いがあったことを公言していたから、反発を感じていた人も多かったのだろう。その心理はわかるけれど、12歳の子どもの顔に黒のインクをつけてさらし者にするなんて・・・
「このすべては、合衆国憲法の権利章典への明らかな違反だった」
 後の方で―「クー・クラックス・クラン」の名前も出てくる。これもアメリカの伝統なんでしょうか。
 人種差別・移民問題
 人間の残酷さ・・・『ローマの礫刑』の絵の解説で「人間の、ほかの人間に対するお祭り気分の残酷さをついた短評」「ピカソの『ゲルニカ』と、大ざっぱにいっておなじテーマ」と書かれています。
 子どもへの無関心・虐待・・・ルディの両親は、子育ては使用人任せ。破産してからはルディが使用人?そして「デッドアイディック」と名づけた警官は、自身が虐待を受けていた。虐待の連鎖。
 トラウマ・・・戯曲家としての才能もトラウマによって伸ばすことができなかった。いつまでも残るものなんですねぇ。
 疎外感・・・グレニッチ・ヴィレッジでホモがたむろしているのを見て、ルディは想像します。「いつの日か、われわれすべての中性は、隠れ場所から出てデモ行進をするだろう。先頭の一列が」掲げる横断幕の文字はegregious “群れの外にいる”という意味だそうな。“群れの外にいる”のは、ホモだけではないでしょう。「考えられますか――何万人もの人間が群れの外にいるところが。」ヴォネガットさん流の皮肉ですねぇ。
 文化の衝突・・・この本には、幽霊も登場します。死んだ人間を生き返らせる能力を持ったイポリット・ポールが好意からシリア・フーヴァーの幽霊を墓の中から呼び出してあげようと、申し出て、ルディの兄と言い争います。世界が狭くなった分、これからいっぱい起こるでしょう。外交も相手国を尊重しないとねぇ。
 薬物依存・・・シリアはフェリックスが通っていた高校一の美人。貧しい環境に育ったため教養に欠ける。また、そのことを充分自覚していた女性。フェリックスが家に連れて行ったとき、「こんな顔はかきむしってめちゃくちゃにしてしまいたい」といって靴を残して家に帰ってしまった。ルディの父母が大雪のため入院したときにはボランティアの看護婦。夜はYMCAで勉強をしていたが、外側を飾って中身のない〈シュークリーム〉と揶揄されていた。薬物依存のため、魔女のように醜くなる。自殺。葬式で、フェリックス号泣。女性の内面を見て欲しいです。
 買春・・・12歳のルディに、父親が現在も買春していることを告白。後にルディはその行為について「恥ずかしげもなく」と表現。そう、恥ずかしいことと認識していただきたい。
 親子の断絶・・・メッツガー氏が子ども名義で買った土地はディズニー・ワールドとなり、一人はタンカーの船主。一人は馬主。メッツガー氏は売れない新聞を発行し、子どもたちは彼と口をきかないと弁護士ケッチャムは言う。そのケッチャムの子どもも、彼とは口もきかない。シリアの息子は母親をひどく憎んでいる。個人的な問題ではないと思うな。これも資本主義の限界を現していると感じています。
 女性問題・・・「ここ最近、大ぜいのアメリカの女性が口にしている不満は、煎じつめればこういうことではないかと思う――彼女たちは、自分の人生が物語としては不充分で、エピローグばかり長すぎることに気づいたのだ。」あはっ。エピローグだらけの人生もなかなか楽しいけどなぁ。
 中性子爆弾・・・人間だけを殺傷し、インフラを残す目的で開発された。その発想が怖い。こんなものを考える人間にとっては、自殺してくれる人が増えることはもちろん、ベルトコンベアー式の死刑制度も大歓迎なんだろうなぁ。世界では、死刑制度廃止の方向に進んでいるのだが、わたしの国では、どんどん執行されている。イージス艦が漁船に衝突した事故も、人の命の軽視だねぇ。

 まったく、アメリカという国には問題が山積み。ヴォネガットさんは、自分の国が好きだからこと、問題提起をしているのだろう。日本も、ここらで根っこから考えなおさないとねぇ。

 人生論もなかなか鋭い。幽霊のようには生きたくない。人の犠牲になって我慢してもいけない。さりとて、名誉や欲にかられて安物の暴れ馬に乗っているような人生もお断り。自分らしく、自分のやりたいことを、自分の好きに、自分のテンポで生きられるのが幸せというものだね。

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2008/04/03 22:11

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2008/01/03 21:40

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2007/12/11 02:46

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2008/12/20 21:34

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2008/07/15 18:33

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2017/03/28 08:13

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