紙の本
いろいろな生き方がある
2003/11/10 21:23
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投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本棚の整理をしていたら出てきたので読み返してみた。
まずはタイトルに惹かれてしまう短編集。
「F」とは「落第」を意味するそうだ。すなわち上の級へは進めないという事。この本には何人もの「人生の落伍者」が登場する。
端から見れば、常識的な人生を少し外れているかもしれないが、果たして皆が皆「落伍者」なのだろうか。
とことん落ちこぼれているわけでもない。確かに前進とは言い難いかもしれないけれども、日々に埋もれないように進もうとはしている。
あとがきにあった著者の「常に前を見ることが正しいとは思わない。」
「気の済むまで後悔して、ちょっとずつでも歩みを止めなければいい。」
という言葉に勇気付けられた。
人の速度はいろいろだ。
それを成績でひとくくりにするのはどうだろう?
落第は現在を見つめなおす期間かもしれない、そんなことを考えた。
紙の本
人生に落第したっていいじゃない
2002/07/26 16:20
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投稿者:Bo Peep - この投稿者のレビュー一覧を見る
裏表紙のあらすじに、なんとなくピンときたので手にしました。タイトルにもなっている「F」とは、「優・良・可・不可」という成績での「不可」のことで、即ち、落第を意味するものだそうです。
本書には、恋、友情、仕事などなど、人生において何かに落第してしまった女性たちのお話が7編収録されています。共感できる部分がたくさんあり、切ない気持ちになった反面、自分だけじゃないんだと安堵したりもしました。少しずつ行けばいいさと、笑いながら肩をぽんと叩かれたような気分です。頑張りすぎて疲れている女性に薦めたくなる本です。
紙の本
短編小説なら、コレを是非
2001/10/30 11:50
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投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集はこうでなくっちゃ。通勤本にはまたとない一冊でしょう。まず、物理的に軽い。そのおかげで、長時間電車の中で立ったまま読む羽目になってもちっとも苦になりません。また、解説まで含めても204ページの親切設計なので、じっくり味わっても胃もたれしません。
魅力的な短編が集まっているからこそお薦めしたいのですが、中でも巻頭のシコちゃんの夏休み」は、強くお薦めします。けなげで、理不尽で、やきもきして読んでいくうちに、すとんと、着地点へと導かれます。この短編のみのために、本書を手にとっても損はないでしょう。現に私は、後悔していませんし。
もの凄く頑張っているのに、なんだか上手くいかない人にも、ちょっと疲れてしまった人にも、本は好きだけど読書時間を作るくらいなら眠りたい人にも、お薦めしたい良作です。
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「「A」ばかりの人生なんてつまらない、などと言う気は毛頭ありません。そうできる条件と幸運にさえ恵まれたのなら、泣かないほうがいいし痛みや悲しみは経験しないほうがいい。後悔なんて、する必要がないほうがいいに決まっています。
けれど、人々がよく口にする「後ろを振り返るな、後悔だけはするな」ということばにも、やはり私は簡単に頷くことができません。常に常に「前」だけを向いて生きていくことが、そんなに正しいこととは思えないからです。
欲しかった「A」をもらえず、「A」どころか「B」にも「C」にも手が届かずに、「F」を取ってしまったのなら、してもしても足りないほどの後悔の原因が自分の歩んできた道のどこかにすでに存在しているのなら、気の済むまでそれを見つめ気の済むまで後悔したっていいじゃないか、と思っています。
そんなふうに後ろをときどき振り返りながら、おずおずと、おっかなびっくりに歩いていっても構わないと思うのです。前を向いていなくても、胸を張って顔を上げて歩いていなくても、強くなくても優しくなくてもカッコ悪くても構わないと思うのです。ちょっとずつでも歩くことを止めさえしなければ。」あとがきより。
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鷺沢萠の本の中で一番好きな本。この本は短編集なんだけど、「シコちゃんの夏休み」がいい。これを初めて読んだとき、シコちゃんに強く強く憧れた。
悲しいこととか何か大変なことを人に話して聞かせて「すごいね」って言わせることが、恥ずかしいことだって思うようになったのはこれを読んでからだと思う。
あとがきに鷺沢自身の言葉で「F」(落第生)でもいいって書いてあってね、それがわたしには御守りとか呪文のように、今でも響いている。
鷺沢萠どうして死んじゃったのかなあ。どうして死ななきゃいけなかったんだろう。ときどきその理由がわかるような気がして、でもときどき、本当にわからないって思う。
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だめだめでもいいじゃん。
綺麗じゃなくても賢くなくてもいいじゃん。
一生懸命生きててもさ、運がいい悪いってきっとあるよね。
背中をぽんぽんと叩いてくれるような本で
私はとても好きです。
こんな優しい本を書く人が
どうして自ら命を絶たなければいけなかったんだろう。
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がんばってるのに、うまくいかない。
幸せなのに、どこか虚しい。
そんな愛すべき「落第生」の女性達が登場する短編集。
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落ち込んだ時に読んだから、なんだか少し心が洗われる心地がした。考えてみれば、私も人生の落第生。何かの局面で、成功したことなんてほとんどない。それでも人間は生きなきゃいけなくて、実際に生きている。それは自分だけではないのだ、と感じることによって我々は日々を過ごせているのかも。
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普段男性作家の書く男性主人公の小説を読む事が多いので女性作家の女性主人公の当然女性視点の小説というのは新鮮で良かった。共感できるところが少ない分客観視できてそれはそれで面白かった。
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人生の落第生の話を集めた短編集。この主人公たちは身近にはいないような類の人たちだけど、どんな優等生でも社会の中で落第している部分はあると思った。全て完璧で自信過剰みたいな人間とは仲良くはなれないかな。面白みがないかと。何かしらを悩んでいてこそ魅力がある。
思春期のトラウマを描いた話では、共感できる表現があって気に入った。
話の並べ方も良い。
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今は亡き鷺沢さんの作品。
どこかダメな女主人公たちの恋愛模様。
つい自分と照らし合わせてしまいます(^ω^ ;)
「家並の向こうにある空」は
高校時代にテストで出題されて読みました。
最後の「重たい色のコートを脱いで」も切なくていい。
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ここに出てくる女の子たちの人生はみんな、泥沼。
だけど、誰一人ヘコたれず、めげない。
背中を押して励まされたような気持ちになります。
いとう
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鷺沢さんの本は、Fが初めて。高校の図書室で借りたこと、覚えています。
最初の話があまりにも良い。でも、他の作品もいつまでも色褪せない。
たとえ「A」をもらえなくたって、人間はこんなにも素敵なんだと思える。
大好きな短編集です。
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日常風景のスケッチなのかな。地味だけどがんばっている人たちのいろいろ。
しかしくだらないとも共感ともつかない話が多くて「うーん」・・・
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40の足音を聞くようになった現在では、落ち着いて読むことができるけれど、若いときは本当に胸が痛くなるほど共感した。
胸をかきむしられるような切なく辛い表現がなんともリアル。