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紙の本
メディアの興亡 上 (文春文庫)
著者 杉山 隆男 (著)
【大宅壮一ノンフィクション賞(第17回)】【「TRC MARC」の商品解説】新聞社から活字が消える!? コンピュータを導入し、新聞製作の技術革新をめぐって大新聞社同士が繰...
メディアの興亡 上 (文春文庫)
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商品説明
【大宅壮一ノンフィクション賞(第17回)】【「TRC MARC」の商品解説】
新聞社から活字が消える!? コンピュータを導入し、新聞製作の技術革新をめぐって大新聞社同士が繰り広げた“もう一つの紙面競争”を描く、第17回大宅賞受賞作品。(柳田邦男)【商品解説】
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紙の本
日本の新聞社の歴史を描いた傑作
2001/11/08 16:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
就職と同時に日本経済新聞を読むようになるのは、サラリーマンの常識となっているが、日経を読むのが当たり前になったのはそんなに古いことではない。今や新聞業界で最高の給与体系を誇る日経だが、昭和30年代には「株新聞」と馬鹿にされ、読むのは一部の物好きに限られ、同社の経営内容は悪化の一途を辿っていた。
経営の傾いた日経をどうやって立て直すか。その答を、当時注目を集めつつあったコンピューターにかけようと日経の重役円城寺次郎が着想したところから物語は始まる。彼の着想に感銘し、彼の着想に人生をかけた日本IBMのやり手営業マン椎名の頑張りもあいまって、その規模はアポロ計画をも凌ぐと言われた一大巨大プロジェクトが、日経とIBMの協力により進められていく。記者が記事を直接コンピューターに打ち込んでデータとなった情報は、あらゆる形でアウトプットされ、印刷にまわされる。活字が撤廃され、印刷工場の能率が各段に向上したことにより、それまで一回転しか出来なかった印刷工場が昼夜2回転できるようになる。それなら余った時間にもうひとつ新聞を刷れるじゃないか。こうして日経は日経産業新聞、日経金融新聞、日経流通新聞と次々と新たな新聞を発刊していく。しかも特集記事、連載記事は本の原稿となり、そのまま新刊書として書店の棚を埋めていくようになる。今、日経は円城寺が夢見たように「新聞も出している会社」に完全に脱皮し、世界に冠たる経済紙として不動の地位を確立している。
紙の本
情報が金を産む時代
2002/04/02 17:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔は単なる株新聞と揶揄された日本経済新聞社が日本を代表する経済紙となるまでを克明に記したノンフィクションである。著者は本作品で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。
日本経済新聞社は圓城寺次郎が取締役になるとIBMと組んで紙面作りのコンピュータ化を検討し始める。それだけではなくて、圓城寺はコンピュータ化によって紙面作りを合理化しただけではなくて、その副産物として日経産業新聞、日経流通新聞を旗揚げする。またアメリカの出版社マグロウヒルと提携し日経マグロウヒル社(現在の日経BP社)を創立し、出版部門へも進出していく。
過去の紙面作りがどういうものであったかというところから物語は始まる。昔はグーテンベルクよろしく活版印刷術でルネッサンスから様変わりしていない。それがコンピュータを導入する事で、版組の変更を容易にし、締め切り間際に飛び込んでくるニュースにも対応できるようになっていく。
この時代の波にあらゆる新聞社が飲み込まれていく。日経は真っ先に出口を見つけそこに邁進して行く。少し遅れて朝日。毎日は波に飲み込まれつつあることすら気付いていない。これが後の毎日新聞に多大なダメージを与える事になる。新聞社のコンピュータ化の歴史だけではなくて、先見性が無かったために没落していく新聞社も描くことによって普通のノンフィクションとは一味違う仕上がりになっている。ビジネス書としてもお勧め。
本書では触れられていないが、実は副産物はもう一つあった。株価速報や為替速報などの商況ニュースである。これが一番大きいビジネスへと成長していく。後に経済報道の覇権をロイター、ブルームバーグ、時事通信社と争うのだが、この物語は勝負の分かれ目に詳しい。本書と合わせて読んで欲しい一冊である。