「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
生命の始まりを考える
2002/08/21 12:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
約35年前の岩石中から世界最古の化石が発見されました。その化石には現在のシアノバクテリア(藍藻)とそっくりな化石が含まれています。地球に生物が生育可能になったのは約39億年前からということですから、生物が生育可能となった数億年後にはシアノバクテリアという光合成をするかなり進んだ微生物グループが繁栄していたとは驚きです。この本では、35億年より前の時代、もう古すぎて岩石も残っていない時代の生命の始まりから、光合成をする微生物が出現し、更に酸素を利用する微生物の発生までを、糖分解、クエン酸回路など細胞の代謝機構の進化と地球環境の変化に焦点をあてて解説をしています。自らが生きていくためのエネルギーを得るために環境が変わってしまい(例えば、原始地球に存在したグルコースを食べていた嫌気的な従属栄養微生物が、環境のグルコースを食い尽くすことによって、グルコースを生産する微生物が現れ生き残りを計る)、変わってしまった環境に死に物狂いで適応していく姿が胸を打ちます。 この本を読むと光合成は偶然にできたのではなく、必然的にできたとしか思えません。
もうひとつおもしろいと思ったのは「進化は進化した」したという話です。速く進化する生物は速く絶滅し、ゆっくり進化する生物は絶滅するまでの期間が長いのだそうです。そして、シアノバクテリアは数十億年にわたって、進化せずに現在まで生きているのです。先カンブリア紀の生物はどんな環境にも適応するように進化し、カンブリア紀以降の生物は局所的な環境に特殊化するように進化したそうです。
ほかにも、なぜ35億年前の岩石はほとんど残っていないか。どうやって、その古い岩石の中から化石を発掘するのか。太古の地球の大気組成はどのようにして分かるのか。と言う話も興味深いです。地質の変化を調べることと生命の起原を探ることは実は同じことなのだとこの本を読むと思います。