新解さんの読み方

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投稿者：佐々木　なおこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

私の新解さん（新明解国語辞典の愛称）への旅は始まったばかり。
次なる旅は鈴木マキコさんなる方のこの本、でした。
なんとこのマキコさん、私と同じ昭和３８年生まれだったのにも親近感が沸いたのですが、赤瀬川さんに「新明解国語辞典のことを書いてください」と頼んだご張本人！だと知り、さらに「うぉお、３８年生まれの凄い人」と嬉しくなったのです。だって彼女が、新解さんブームの生みの親ってことですもんね。当時は月刊誌『文藝春秋』の編集部員だったのだそうです。

さて、『新解さんの謎』のその続編を…という話が持ち上がったとき、いろいろ紆余曲折があった（詳しくは、～はじめに～をお読み下さい）結果、今度は彼女自ら筆を執ったというのが、この本の誕生秘話。
このマキコ本（勝手に命名）では、新解さんは赤瀬川さんが調べられた第四版から、第五版へと移り変わっていました。（ちなみに私が最近求めたのは第六版）その四版と五版違い、さらなるはもっと前の版に立ち戻り、比較し、そしてあれこれ論じます。

そうして、私はまたもや心を奪われてしまいました。
鈴木マキコさん、あなたもすこぶる面白い。
そのきっぱり口調にノックダウンです。

わたしは、大きな声で言いたい。
「みなさん、辞書は辞書だけど、その前に本ですよ」
そうです。辞書だって、本なんです。
最初から読むようにできているのです。

わぁ～まったくもって、その通りだ！と私は強く共感しました。彼女は辞書の最後にある「あとがき」に心を寄せ、「その感じは映画の終わりに、わぁっと出る映画製作に携わった人たちの名前リストに似ているかもしれません」と言う。

彼女自身、名前のリストを最後の最後まで見るタイプで、
私も同じなので、「そうだよね」とうなづきながら、さらにこの文章でグラリときました。

「なぜか？それは、誰かに見てもらうために誰かがした仕事なら、それを見る誰かに、わたしはなりたいのです。
わたしは真面目な人が好きだし、一生懸命な人が好きです。そういう人がする仕事が好きです。」

そうだ！そうだ！
最初の最初から熱くなってしまいました。＾＾；
さて、さて、この本にはマキコさんから新解さんを読む三つの心構えと四つのコツが丁寧に紹介されています。

まず、三つの心構えから
１、まず新明解国語辞典・五版を買え（１９９８年当時）
２、簡単に人に聞くな、自分で考えろ
３、いちいち怒るな

そして、四つのコツは
１、「知っている言葉」から引く
２、「あいうえお順」には引かない
３、新解さんを引くのは最高３０分までにする
４、心の動きや動作をあらわす言葉を引く

以上、きっぱりこれだけ。もう怖いものなし、鬼に金棒≪ただでさえ強いものが（強力な武器などを手に入れて）無敵となる形容←第六版より≫です。
あなたもどうぞマキコさんによる新解さんワールドを十分にご堪能、ください。

「新解さんなぜそんなに厳しいのですかコーナー」
「この語釈を見よコーナー」
「この用例を見よコーナー」
「四版から五版の変化」
「四版にはあって五版で消えた言葉コーナー」
「五版で新しく出てきた言葉コーナー」
などなど、面白いコーナーが目白押し、です。

言葉って本当に面白いですねぇ。
辞書を読みつくす喜びに開眼、です。
新解さんへの旅は行ったきり、帰ってくる予定はありませんので、あしからず。な～んちゃって。

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投稿者：ＴＧＷ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　話題になった『新解さんの謎』（赤瀬川原平・著／文藝春秋社）に登場するＳＭ嬢こと鈴木マキコ女史による新解さんの読み方読本。『新解さんの謎』は「新解さん」の人間性にスポットをあてた怪書とも言うべき本でしたが、これは新しく５版が発行されるにあたってその改定の内容と解説が加えられていて、他の人には出来ないだろうという迫力があります。ただ面白いだけじゃないのがこの本のすごさ。そこにはＳＭ嬢の苦労話などが盛り込まれ、まさに人生で一冊の本、的な気迫を感じます。