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収録作品一覧
彼方より | 7-116 | |
---|---|---|
黒鳥館戦後日記 | 117-402 | |
黒鳥館戦後日記 続 | 403-837 |
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紙の本
中井美学の底にあるもの
2002/04/05 23:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:友巣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦中の日記である「彼方より」、終戦後の「黒鳥館戦後日記」「続・黒鳥館戦後日記」より成る。年齢にして満21から22歳に書かれたもの。発表は、中井の学徒出陣で勤務していた市ヶ谷参謀本部、後の自衛隊市ヶ谷駐屯地で三島が割腹自殺を図った翌年である。二人とも戦中戦後に違和感を感じ続けていたが、決着のつけ方は全然違う。
若き中井英夫は理想主義者だが、戦中も戦後も「大きな物語」を信じていない。江藤淳のように母親の不幸を内面に刻んだフェミニストの視座を持ち(ただし中井英夫は母親と一体感がありすぎたみたい)、個人主義者。時代状況もあってか、書き方が激烈で呪詛に満ちている。新聞の切り抜きにコメントというのも結構あるし、世界情勢にも敏感だ。まあ、こういう内容ばかりではない。生活のことや、映画や読書の感想だの、創作ノートだの。美しい詩もある。読み飽きない一冊。