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紙の本
日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)
著者 山下 清 (著)
半ズボンに坊主頭、リュックを背負って九州、山陰、東北とぶらりぶらりの珍道中。「わしも山下清に毛のはえたような男です」という言葉を耳にした清は、「ぼくのどこに毛がはえるとあ...
日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)
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商品説明
半ズボンに坊主頭、リュックを背負って九州、山陰、東北とぶらりぶらりの珍道中。「わしも山下清に毛のはえたような男です」という言葉を耳にした清は、「ぼくのどこに毛がはえるとあなたになるのですか」—。笑いを誘い、かつ考えさせられる文章とスケッチで綴る放浪記。【「BOOK」データベースの商品解説】
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好きなことに没頭する。
2008/10/29 22:19
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本ぶらりぶらり 山下清 ちくま文庫
以前他の本「野ブタ。をプロデュース」白岩玄著河出書房新社の感想で、人間は複数の人格を使い分けることができないと社会を生きていけないということを書いたのですが、この本はその正反対です。著者は障害者という素因があって、ひとつの人格で生きた人です。
著者が放浪をはじめたのは、昭和15年に第二次世界大戦が始まる頃で、まずその時期に驚かされました。戦時中の日本は小説・ドラマ・映画では暗く描かれるものですが、著者の日記を読むぶんには、当時の日本人は意外に戦争から離れた暮らしをしていたようにみうけられるのです。著者は18歳から35歳まで、長い放浪生活を続けました。当時の鉄道は蒸気機関車ですが、彼は線路伝いに歩くことが主な移動手段でした。そして駅は泊まる場所でした。彼はまるで松尾芭蕉のようでもあるし、渡り鳥、燕(つばめ)のようでもあります。49歳、現在のわたしぐらいの年齢で脳出血のために亡くなっています。
文章は素直です。学園の式場先生という方が筆記記録を整えています。本人が書いた日記は、句点(。)がなく、延々と続くものだったそうです。「ので」という接続に用いる言葉が多用されていたそうです。著者が訪問した土地の多さ、そしてヨーロッパにも行ったことがある。貼り絵作家の天才。いずれも感嘆に値(あたい)します。作品に作者の人柄がでます。天使、しあわせな人。天才。心に響いた彼のひとことは「動物は、ぼくをばかにしない」でした。
放浪経過報告書であることから本の内容は紀行文になっています。きれいごとばかりではなく、人間のありのままの汚さも書かれているし、彼自身のささやかな欲望とかわがままや勝手も書かれています。そこがいい。
わたしがこの本から得たことです。「社会生活にある細かいことにクヨクヨ気を使うよりは、自分の好きなことに没頭して、他のことは忘れて、頭の中をからっぽにして過ごすことが幸せ」です。