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邪馬台国はどこですか?(創元推理文庫)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 164件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1998.5
  • 出版社: 東京創元社
  • レーベル: 創元推理文庫
  • サイズ:15cm/316p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-488-42201-2

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紙の本

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

著者 鯨 統一郎 (著)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

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邪馬台国はどこですか?

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邪馬台国はどこですか?

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みんなのレビュー164件

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評価内訳

紙の本

酒と料理と歴史バトルに舌鼓を打ちながら楽しむ大人の時間。

2005/05/17 16:59

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いくら - この投稿者のレビュー一覧を見る

久々に一気読みをしてしまった。
本書には表題作を含む6本の短編が収録されており、それぞれ独立したお話なので、本来は一気に読む必要はないのだけど、一つのバトルが幕を閉じた瞬間に、次のバトルにまで興味が及んでしまうのです。

舞台はとあるバー。
温厚な性格の日本古代史専攻の三谷教授、才色兼備の助手、静香の2人の前に現れた、正体不明・自称「ライター」の宮田は、本職の歴史研究家である2人を前に、独自の論理を展開する。
おかげでバーはいつも激しい論争の場と化すのだが、そんな3人の様子を密かに楽しみに見守るのがバーテンの松永の日課になりつつある。
「ブッダは悟りなど開いていない」「邪馬台国は東北にあった」「聖徳太子は架空の人物だ」「光秀は謀反を企んでいなかった」「明治維新はたった一人の人物によって成し遂げられた」「キリストは本当に復活した」
これらの奇想天外に思われる宮田の説には、様々な証拠が提示され、最終的には誰もが「もしかしたら・・・」と納得させられてしまうのである。

私は歴史ミステリーを読んだことがなく・・・というより、昔っから歴史というものが大の苦手で敬遠しておりました。
今中学校で受けた歴史のテストを受けたら、下手すると0点を取れるかもしれない。
そんな歴史音痴を自負する私でも、本書は本当に面白い!
全くお堅いものではなく、聴いたことがあるかな〜?程度の知識でも、ポイントは噛み砕いて説明されていますし、バーのカウンターでの4人の会話を横で聞いている「茶(酒?)飲み話」的な感覚が本書の全てであり、小気味良い会話がテンポ良くページを捲る手を進めてくれます。

これらの会話を盛り上げてくれるのが、それぞれのキャラクター付けです。
特に自信家の静香は、宮田に対して「あなたバカ?」とどこかのアニメで聴いたことのあるような(笑)高慢な台詞を連発し、松永をハラハラさせるのだが、宮田の説の信憑性に反論できなくなった姿にちょっぴりスカッとさせられたり。
とにかく強烈な女性なのです。女のヒステリって怖いね。(^^;)
また、会話の随所に挟まれる酒のつまみがまた美味しそうで堪りません。
こんな面白い歴史バトルがみられるのなら、私も是非とも行ってみたいわ〜。

「天才」は常識にとらわれず、物事の本質のみを見定め、発想の転換ができる人間である・・・というような意味の言葉をよく聞きますが、それならばこの宮田は「天才」としか言えません。宮田=鯨総一郎なのか、それとも別に宮田なる人物が実在するかどうかは私には知りえませんが、少なくともここに本書が存在するのは現実です。
本書を専門家が読んだ時、どのような反応が返ってくるかなんてどうでもいいのです。歴史はこれほどまでに謎めいており、私達を魅了してくれる、その事実を知ることができることこそが本書の一番の価値だと思うのです。

「邪馬台国はどこですか?」の続編として「新・世界の七不思議」が刊行されています。バトル中毒症状に陥られた方は是非こちらも合わせてお読み下さいませ。

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紙の本

どこまでがフィクション?

2001/11/24 08:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumaOne - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません」。とにかく、こんな面白い本は読んだことが無い!
 タイトルだけ見ると堅苦しい歴史の本の様だが実際は、アクロバティックな論法を用いたもうひとつの歴史的ノン・フィクション短編集。いや、ついノン・フィクションと書いてしまったが、実際はフィクションかも知れない。
 作中の人物に冒頭で投げかけられる仰天解釈に、最初はバカなと思うが、徐々に話が展開していくにつれ、もしかしてと思ってしまう。見事? な論法に、いつの間にか私は史実か創作かの区別がつかなくなってしまっている。例えば、『 聖徳太子はだれですか? 』 の章では、聖徳太子は、一体誰だろう? という命題から、天皇は万世一系の名目を守る為に、日本書紀に隠された真実の発見へと移り、 最後には推古天皇 という名の謎まで発展してゆく。
 他にも、『悟りを開いたのは誰ですか?』(仏陀に関する話)、『邪馬台国はどこですか?』(邪馬台国に関する話)、『謀叛の動機はなんですか?』(織田信長に関する話)、『維新がおきたのはなぜですか?』(明治維新に関する話)、『奇跡はどのようになされたのですか? 』(キリストに関する話)といった命題から、見事な論法が展開されていく。これらの事に少しでも興味があるかたならば、一読してみては如何でしょうか?
 少なくとも私にはこの本を読んでからというもの、今まで習ってきた日本・世界の歴史は全て間違いじゃないかと思えて仕方が無い。それ程のインパクトを受けた。是非、歴史に詳しい方に読んで頂き、どこが嘘かを教えて欲しい!

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紙の本

不思議な感覚

2001/10/30 14:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かずね - この投稿者のレビュー一覧を見る

 カウンター席だけのバーに集まった3人の客。1人は日本古代史を専攻している教授。もう1人は、助手で世界史が専攻のプライド高く気の強い女性。そして、自称歴史家の青年。この3人にバーテンダーも加わって、青年の爆弾発言を機に歴史談義をはじめるのです。爆弾発言とは「ブッダは悟りをひらいていない」とか「邪馬台国は岩手にある」などと突飛なものばかり。激しい歴史談義がくりひろげられますが、その議論には歴史について色々と知識がなくても十分に楽しむ事ができます。
 青年がさりげなくふっかけた議論に様々な歴史資料を見せて対抗する女性。議論が進んで行くにつれて、最初は突拍子もない意見だと思っていたのがだんだん本当のような気がしてきて、なんとも不思議な感覚におちいります。どこまでが本当なのか、それともこれが真実なのか? 毎回どんな結論におちつくのか とても気になる歴史ミステリ連作集です。

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紙の本

愛すべき「酒の席での与太話」

2011/10/08 09:13

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者の自伝的私小説「努力しないで作家になる方法」を読んだら無性に手にしたくなった。読書予定の順番をすっとばして積読本よりチョイス。

●空前絶後の連作歴史短編ミステリ
安楽椅子探偵の連作短編歴史ミステリ。場所は小さなバーのカウンター。歴史研究家の三谷教授と勝気な美人助手の早乙女静香を向こうに回し、空前絶後のトンデモ自説を展開する在野の研究家、宮田六郎。歴史に疎い読者視点なバーテン松永も交え、今宵も世界の歴史と学会の諸説を根底から覆す「酒の席での与太話」が繰り広げられる。

まったくの無名新人の処女作としては極めて稀な「文庫書き下ろし」という形での出版。その涙なくして語れない激動の経緯に関しては、あえてここでは触れない。前述の作品を是非とも拝読してほしい。

●世界の歴史を覆すトンデモ自説
・悟りを開いたのはいつですか?
ブッダは悟りなんて開いてなかった。そもそも事の始まりは奥さんの浮気!?

・邪馬台国はどこですか?
九州説? 畿内説? いいえ違います。邪馬台国は実は東北に存在した!

・聖徳太子はだれですか?
聖徳太子はなぜ天皇になれなかったのか? しかしまさかあの推古天皇が・・・。

・謀叛の動機はなんですか?
本能寺の変は織田信長の自作自演だった。しかも彼の精神は・・・。

・維新が起きたのはなぜですか?
明治維新のシナリオを描き、龍馬、西郷らを巧妙に操った影の首謀者は・・・。

・奇蹟はどのようになされたのですか?
キリストは本当に復活した。それはまさに人類史上最大のトリック。

●知的好奇心をくすぐるツボが満載
どの話も実に興味深かった。「逆立ちすれば答えがわかる」と言っていたのはたしか宮沢和史だっただろうか? 表題作がまさにそれ。昔読んだ高木彬光「邪馬台国の秘密」を彷彿とさせる。参考文献にもしっかり名を連ねています。

聖徳太子の話が一番それっぽいかな。偶像説はもはや定説? ブッダを等身大のおっさんとして描いた話も良。私的にはキリストの復活トリックがツボ。明治維新については「普通に考えたらあるわけないんだけど、もしかしたら・・・」と僕がぼんやりと思い描いていた説が展開されていて、思わず目が食い入ってしまった。幕末で私的に一番好きな人物が首謀者として登場します。

●酒の席だし硬いことは言いっこなし
小説として色々と荒っぽい面も多々あるのだが、処女作だし私小説で涙の出版経緯も知ってしまったので、今回は苦言は控えておこう。それに酒の席だしね。硬いことは言いっこなし。そんな気持ちにさせてくれる愛すべきハチャメチャさ。嗚呼なんかハマっちゃったみたい。

●2人の歴史エンターティナー
荒唐無稽だけどやたら説得力がある宮田に拍手喝采。バーテン松永の言葉にもあるが、まさに歴史エンターティナー。井沢元彦の「逆説の日本史」が好きな人には超オススメ。以前「なみだ学習塾をよろしく」のレビューでも書いたが、この二人にはやはり共通する何かがある。

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紙の本

新説、あるいは珍説?

2002/04/24 08:18

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真  - この投稿者のレビュー一覧を見る

「邪馬台国はどこにある?」の謎をはじめ、ブッダはホントに悟りを開いたのか、明智光秀が謀反を起こしたのはなぜだったのかなどの「謎」に対して、トンデモナイ新説が繰り広げられるという内容の本。

発表当時、かなり高く評価された(らしい)作品で、歴史が苦手なのでいままで敬遠してたんだけど、いまさら読んでみた。確かに面白い。しかし小説としては稚拙で、文章は読みにくいし、人物たちの存在感も皆無だし、視点変換もうまくいってないしと欠点だらけなのだが、中身が良いからあまり気にならない。

おそらくこの本は、歴史の謎に対する「仮説」こそが主役なんだと思う。この「仮説」のために、舞台を設定したり、登場人物を配置したりしている。

「ちょっとだけ歴史に詳しい人」がこの本を一番楽んで読めるでしょう。


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紙の本

めくるめくミステリーの世界。

2003/07/02 15:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いったい自分は何を読んでいるのか。一瞬、いや常に自分の“位置”が分からなくなる。
 確か、ミステリーを読んでいるはず。
 しかし少し進むと、そこは新しい歴史の解釈に溢れている。
「えっ。ええーっ」
 静香女史ではないが茫然自失、マスター同様感心しきり、そして混乱の世界へ…。

 なぜこんなに混乱するのか。
 表題作「邪馬台国はどこですか?」ほか、「悟りを開いたのはいつですか?」(ブッダについて)、「謀叛の動機はなんですか?」(本能寺の変について)など、誰もが知っているような歴史的事実が取り上げられる。
 ここまでは問題ない。しかし、この取り上げ方が問題なのだ。
 例えば、「聖徳太子はだれですか?」 だれって聞かれたって、聖徳太子は聖徳太子だろうとしか言いようがない。なかった。けれど、次々と新しい解釈のもとにさまざまな証拠を見せつけられると、違うのかも…と思ってしまう。しかも、その証拠というものが、これまでの定説を裏付けていた資料なのであるから、これまで築き上げてきた自分の人生すら覆るのではないかと錯覚するほど、まったくもってお見事なのであった。
 そこで。果たして自分は何を読んでいるのだろう。
 確かミステリーを読んでいるはず…、と最初に戻るのだ。

 本書に記された説は、もしかしたら本当かもしれないし、やっぱりフィクションなのかもしれない。もう、それ自体がミステリー(謎)。
 けれど、そんなことは問題ではない。
 ただのミステリー好きを感心させる歴史書。
 “もう、これ、歴史書でいいじゃん”ってなもんである。
 ストーリーは、とあるバーに集まるお客とバーテンとの会話で進む。誰も店を出ないし、他の誰も店に入って来ない。登場人物は4人だけ。
 ミステリーとしては特殊な設定である。しかし、特殊なのはそれだけではないのだから、こんなことは些細なことなのだ。
 なんだかなげやりに書いているような感じになってきてしまったが、それもみな本書のせいである。

 「謀叛の動機はなんですか?」 ここでは“織田信長は本能寺の変で自殺した”という。そこには、今に伝わる六天魔王の姿などなく、とても切ない気持ちにさせられる。
 目の前で繰り広げられていることは、本当に目に見える通りなのだろうか。裏をかく、というのではないが、もう少しいろんな見方をしてもいいのかもしれない。本当にそうなのか、これで合っているのか。何もかもを疑ってみるのも面白いかもしれない。気軽な探偵ごっこだ。
 そうしていくうちに、いつしかめくるめくミステリー(謎)の世界にどっぷり浸かってしまうのだろう。
 そして、嗚呼、気がつけば“鯨フリーク”に…。

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紙の本

歴史って、そんなに大層なものでもないかも

2002/02/11 11:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読んでわかったことは、史実を自分なりに咀嚼することこそ歴史を楽しむ基本だなということ。研究者や大学教授やらの専門家が歴史を語る中、自分の語りも割り込ませるのがポイント。素人の考えを割り込ませてはいけないと思ってしまうところから「歴史嫌い」が始まるのだとも思った。

 本書は創元推理文庫から出されている短編集である。
 『悟りを開いたのはいつですか?』
 『邪馬台国はどこですか?』
 『聖徳太子はだれですか?』
 『謀叛の動機はなんですか?』
 『維新が起きたのはなぜですか?』
 『奇蹟はどのようになされたのですか?』の6編収録。

 登場人物はわずかに4人。バーテンダーの松永、大学教授の三谷、三谷の助手の静香、ライターをしているという宮田。そして、登場場面はわずかに1場面のみ。三谷、静香、宮田はカウンター席に座り、松永はカウンターの内側で彼らの注文を取っている。4人がバーを出てお出掛けるする場面などない。4人の内の何人かが個人的に会う場面、なし。
 バーでうだうだとしゃべる小説がそんなにおもしろいか?と思われるかもしれないが、これがムチャクチャにおもしろいのだ。
 『邪馬台国はどこですか?』は、第三回創元推理短編賞の応募作である。選考委員は頭をかかえたと言う。あまりに異色だった。著者自身が創造したトリックが存在しない。しかし、壮大なスケールのミステリーがそこに存在するのは事実であったのだから。
 ミステリーの骨組みに当てはめて本書を紹介すると、宮田が名探偵ということになる。「ある事件が起こる」=「(宮田)歴史的事項を取り上げる」。→ 「探偵してアリバイを崩すなどの真相究明」=「(宮田)史実をもとにして歴史的事実とされているものに疑問符を投げる」。→ 「あざやかに事件を解決してみせる」=「(宮田)あざやかに歴史的事実とされているものを否定してみせる」。→ 「(ミステリー読者)なるほどと感心する」=「(本書の読者)開いた口がふさがらない。」と、このような流れになっている。

 今、私が仮に「邪馬台国はどこですか?」と質問されたとしたら、「岩手県です。」と即答するだろう。なにせ、私は名探偵宮田に対して、「おんぶしてくれよぅ。」のおんぶオバケ状態になってしまっている。いかん、いかん。静香ほど怒り狂った反論ができる日がくるのは随分先、あるいは不可能かもしれないが、カウンターに席を取って、バーテンダー松永ぐらいには自分の語りを割り込ませるようにならなくっちゃ。宮田がずっと側にいてくれるとは限らない(鯨統一郎さんの著作に限りがある)から、おんぶオバケのままでは、その内「歴史嫌い」の私に戻ってしまう。

 「本に書いてある事を鵜呑みにする危険」は重々承知しているつもりだったが、「歴史嫌い」「歴史に弱い」という頭があるので、のどにつかえて苦しかろうと無理やりにゴックンして、腹がゴロゴロする不快感を味わっていたように思う。これからは、おいしいものだけをおいしく頂こう。お腹を壊して下してしまうより、少しでもしっかり腹におさまり栄養になるとしたら、それが一番だと感じた。

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紙の本

敵にまわしたくない説得力

2001/10/03 18:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶原那穂子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 松永がバーテンダーをつとめるバーには3人の固定客がいる。大学教授の三谷、世界史のスペシャリストの静香、素性はよくわからないが、在野の歴史研究家と思しき宮田。松永が楽しみにしているのは、宮田VS静香の歴史バトルだ。何しろこの宮田という男、「邪馬台国は東北にあった」だの「明治維新の黒幕は勝海舟」だの、教科書にない突飛な自説を平気な顔で言い放つものだから、歴史研究で才媛ぶりを発揮している静香は、強気の性格も手伝い、黙っていることができない。ところが、一見デタラメに聞こえる宮田の説はきちんとした根拠に基づいており、彼のディベート能力がそれを強く後押しし、痛快なまでに静香の信じてきた定説を捻じ伏せてしまう。
 私はそもそも歴史ミステリというものにハードルの高さを感じていて、それはつまり、読む以前に求められる予備知識に他ならず、したがってすすんで読もうという気すらなかったし、これからもそうだろう。けれども、この本はこれまで持っていたそういうイメージを覆す歴史ミステリで、この本ほど気軽に、そして惹きつけられながら読める歴史ミステリ(おそらく)は他に存在しないのでは、とさえ思った。
 論法が理路整然とスマートで、しかもユーモアがそこかしこに仕掛けられているのでぐいぐい惹きつけられる。毎回毎回、気が強く自信家でしかも美人の静香が、ぐうの音も出ないほどに説き伏せられるというパターンがこれまた痛快。そして、なんと言ってもその内容。信じる信じないは読者に委ねられてはいるが、これはもしかするともしかするかもしれない。作者の説得力には感心するばかりだ。

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紙の本

やっぱり、そこにあるのかな?

2000/12/31 15:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 歴史ミステリ、と呼ぶのがもちろん正解なのだろうが、それでは堅苦しすぎて本作の面白さが伝わらない気がする。ユーモアミステリ、と呼ぶのも正しいのかもしれないが、それでは「真面目な話じゃないんだな」と思われそうで怖い。暗転にスポットライト一つで小劇場の芝居を見ているような、と表現したらいいのだろうか。表題作「邪馬台国はどこですか?」メンバー初の談義となる「悟りを開いたのはいつですか?」を含めて6本、小手先技はなく全て直球勝負、そして切れ味のよい幕引き。
 自身歴史バトルを心待ちにしながら、あくまで商売を忘れないバーテンダー松永のキャラが憎めない。歴史バトルを繰り広げる常連客三人に対し、山川出版社の教科書で予習もすれば、勝ち気なヒロイン?のフォローもし、ときに秘かな策略を練って3人を待ちかまえるまでになる。カクテルが5種類しか作れないわりに、隙を見ては「牛タンの鉄板焼き」や「サイコロステーキ」、つなぎを使わない「つくね」も出してくるので、読んでいるこっちも油断できない。お腹が空いているときには読まない方がよいでしょう。

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紙の本

もうひとひねり欲しかったな…

2002/07/29 00:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る

1999年のこのミスにもランクインしている作品ですね。
歴史ミステリと言っても、作風は「日常の謎」。
軽く楽しめる作品でした。

内容は表題作をはじめとする、6編からなる短編集。
「ブッダは実は悟りを開いていなかった」「邪馬台国が東北に
あった」「聖徳太子は推古天皇だった」「織田信長は自殺した」
「勝海舟は催眠術使いだった」「キリストはユダだった」
などというビックリする意見を思わず納得させられてしまいます。
舞台となるのは小さなスナック。そこの常連客の、気鋭の歴史学者
静香と、雑誌のライター?宮田が、歴史談義を繰り広げます。
バーテンダーの宮田が、密かにその論争を楽しみにしていて
二人をこっそりあおったりもしています。

歴史に全然興味がなくても、さくっと読めて、納得というのは
すごいですよね。(分からないから、納得してしまうのか…?)
せっかくあまり流行らないスナックと言う設定があるので、
それを利用して何かもう一つものすごいオチが欲しかったなあ…と
思うのは贅沢ですかね?

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紙の本

フィクションが、ノンフィクションになりたがる。

2000/10/02 19:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 場面はとあるバーで固定。お客は三人。日本古代史専攻の三谷敦彦教授と助手の“世界史”専攻の早乙女静香。そしてライターで歴史愛好家の宮田六郎。初顔合わせのその日、宮田の「ブッダは悟りなんか開いてない」なんて言うもんだから、歴史バトルが始まった。カクテルが5種類しか作れないバーテン松永も予習に励む毎日。さてさて今夜の話題は…?

 他にも本能寺の変の裏側とは?「謀反の動機は何ですか?」聖徳太子の危うい存在「聖徳太子はだれですか?」キリストの復活にしくまれたトリックとは?「奇蹟はどのようになされたのですか?」といった5W1Hの6編を収録。これがまた、単なるデタラメのトンデモものでしょ、と片づけられないくらいの説得力。繰り出される資料、軽妙な会話、隙間に捻じ込む論理展開、真実かどうかもはや問題じゃない、こんなに面白い歴史語りは見た事がないです。

 この作品の視点というのが、『歴史上の人物が真実を語るとは限らない』。弁護士が「依頼人は嘘をつく」って言う感じ。「日本書紀」や「魏志倭人伝」がデタラメだって言うし、織田信長や勝海舟の行動の裏を読もうとするし。これに対する反論てのは絶対あるんだろうけれど、もうエンターテイメントとして面白いんですよ。プロットは単調なんだけど、最後にオチをつけたり、料理や飲み物といった小道具を効かせたり、小説として読ませる工夫も忘れてません。

 意図的に隠蔽された真実を追い求める、という点でこの本は立派な本格。そこに隠された真実がある限り、論理の刃を振りかざさずにはいられない。その刃が冴えているか錆びているか、判断はあなたが下して下さい。

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紙の本

キリストの項が面白い

2016/12/28 12:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kissho - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは6つの短編作品からなる、ある時代や人物についての歴史の新説ものです。キリストの項が一番面白く、説得性もあり秀逸だと思います。その他の作品は、そこそこだったり、あまり共感できなかったりと、それほどの驚きや感動はありませんでした。また、宮田と静香の掛け合いも読んでいて気持ちの良いものではなく、むしろ煩わしさを感じます。これは小説としては減点材料でしょう。キリストについての知識が皆無に近い私としては、この着想が以前にあったのかどうか知りませんが、もし作者の完全オリジナルなら、これをもっと引き延ばして、キリストだけで一冊書いた方が良かったのではないか、そう思えてちょっと残念な気がします(あくまで素人発想ですが)。

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紙の本

信じていいの?

2016/10/29 19:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る

えっ、邪馬台国はここにあったの?聖徳太子がそうなの?釈迦がえっー!この歴史的事件に催眠が? 日本史好きな私だが信じてしまっていいのだろうか?小説というよりは雑学書ぐらいなライトな感じで読んでみるといいかも。

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紙の本

酒場放談らしい歴史ミステリ

2002/06/16 07:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sfこと古谷俊一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

酒場での歴史漫談という形式の歴史ミステリ。
突拍子もなく見える結論を、歴史事実や文献をうまいこと利用して、それらしく見せてしまう剛腕ぶりがステキです。トンデモな陰謀論的歴史解釈にも似たイメージがありますが、エンターテイメントになってるぶん、こちらのほうが良いですね。
ミステリの論理性ってのは、すきのない組み立てよりも、それらしく思えてしまうように情報を提供、論理を組みたてることにあるんだなあと痛感しました。

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紙の本

思わず信じてしまうよくできた話、もしかして本当かも…?

2000/07/25 13:25

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投稿者:あつぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「邪馬台国は、九州でも近畿でもない別の地方にあったのだ!」を目玉に、ブッダ、聖徳太子、本能寺の変、明治維新、キリストの復活をとりあげた奇想天外な新説が、読み進むにつれてなぜか信憑性を帯びてくる、という話。

 新(珍?)説を提唱する不思議な男が美貌の歴史学者女史とコメディまがいの論戦を繰り広げるバーが全編通しての舞台。小説としてみた場合のできはともかくとして、「もしかして本当かもしれない?」と思わせる展開がよくできていて面白い。半ばフィクション的な歴史小説をつきつめていくと、このように歴史上に残る文献から実際に起こったことを再構築し、その過程で自分なりの推論を大胆に導入することに行き当たる。これがうまくいった場合、魅力的な歴史SF小説?ができあがる。SF度合は推論に無理がない場合、限りなくゼロになり、読者はそれが事実のように思えてくる。

 この作品の場合、ひとつの話をそこまでふくらませるという形をとらず、学術論争もどきの形でさらっと提示している。論争中に提示される文献の読みときだけで話が進んでいくテンポの良さが、真実味をかもしだしている。すべての話がうまくできているとは言わないが、たしかに「邪馬台国」などは感心してしまった。

 専門家ではないので、この話がどこまで本気でどこまで遊びかは判断できないが、だまされてみるのも面白いだろう。話は小難しいが、どんどん読めてしまった。

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