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商品説明
かけがえのない邂逅を重ねたイタリアそしてヨーロッパとは何だったのか…。遠い石造りの街で出会った人々の思い出に寄り添いながら、ヨーロッパ精神の真髄を描く、著者最後のエッセイ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
須賀 敦子
- 略歴
- 〈須賀敦子〉1929年兵庫県生まれ。聖心女子大学文学部外国語外国文学科卒業。上智大学比較文化学部教授。著書に「ユルスナールの靴」「トリエステの坂道」など。98年没。
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紙の本
須賀敦子の愛したイタリアの原点
2001/06/11 14:47
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投稿者:田島安江 - この投稿者のレビュー一覧を見る
須賀敦子の描くイタリアは他の誰とも違っていた。「ヴェネツィアの悲しみ」もまた私には思いがけない物語だった。たとえば、女がウソをついたといって本気で腹を立てるヴェネツィア男なんていないらしい。ということは、女が本当の事をいってもウソだと思われるのかも知れないなあなどと思うのだが。また、島であるヴェネツィアが16世紀に「夢の部分と蔭の部分に別れた」という表現にははっとさせられた。こんな表現もあるのかと。そしてそれこそが「ヴェネツィアの悲しみ」でもあったのだ。須賀敦子という人の表現力の素晴らしさを今さらながらに感じた。
読んでいて思わず立ち止まってしまったのは「舗石を敷いた道」だ。人はある日、忘れてしまった光景を突然思い出すことがある。その時に出会った人のことなど少しも思い出せないのに、なぜかひと握りの光景だけが妙にリアルに思い出されるといったような。敦子にとっての白い舗石はイタリアで暮らした日々の思い出のかけらそのものであった。