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紙の本
英語教育の方法論は進化できるか
2003/09/06 11:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Taka−14 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ日本人は英語がうまくならないのか?
筆者、副島の結論は正編『英文法の謎を解く』の冒頭で示されている。「日本の英語教育における基礎工事の欠陥こそがその元凶」というのが氏の持論であり、完結編までの3冊のなかで具体的にどこにどういう欠陥があるのかを説明している。
では我々はどういうつもりで中高6年間英語教育を受け、教師は何のつもりで教えてきたのか。本書の読者はこのことを考えざるを得ないだろう。
私自身も英語学習では何度も挫折を味わってきた。
大学受験では浪人中に戦略を転換し、途中で英文法を放り投げた。結果として「基本英文700選」の丸暗記で受験は乗り切れた。本書で指摘されている「どうでもいいじゃない、覚えてしまえば」である。しかし、大学のゼミでは毎週与えられる20ページほどの討議用のケースを「満足に理解した」と思ったことは一回もなかった。
指導技術の進化は今や至るところで見られる。気合や場数も重要だが、的確な指導こそが上達の早道であるということは趣味の世界では私もいくつも体験している。ウインドサーフィンのインストラクションはここ10年で道具とともに格段の進歩を遂げたし、パチンコ必勝理論だってオカルトとのせめぎあいの中で進化するのだ。
それなのに、である。英語の指導技術はどうなのだろう?
予備校の方法論は激しい競争に面しているだけあって確かに進化しているのかもしれない。ただあれは大学入試問題の攻略法であって、英語コミュニケーション攻略法ではない。入試問題という「英語を利用した知能テスト」の攻略にフォーカスした方法論に過ぎない。そして入試問題で利用されている英語が実用に耐えないものであるということは致命的である。このことは予備校講師であった副島自身が深く絶望している点である。ここまでは一般的にもよくある議論。
さらに副島の主張を受けると、仮に目的が正しくセットされたとしても今の文法理論を使っているうちは状況は改善されない、ということになる。
つまり教える(学ぶ)目的も的確ではないし、教えている(学んでいる)内容も間違っている、というのだ。
私の場合、高校と予備校の授業を比較して「予備校の方法論のほうが幾分か洗練されているな」とは思ったが、「高校までで教わった内容に欠陥があるのではないか」などという疑いをもつには至らなかった。しかし今にして思えば、「何度読んでも、聞いても、理解・納得がいかない理屈」があまりにも多すぎた。本書(シリーズ)ではそういった多くの「納得がいかない理屈」に対して文字通り謎を解くような解説がなされている。ひとまずタイトルに偽りはない。
それにしても副島のこの仕事には執念を感じる。
正編では淡々と自説を展開するが、続編ではかなりテンションが上がり、完結編では遂にこのひとことが登場する。
「よくも嘘を山ほど教え、かつ何十年も放置してきたな」(P139)
副島の復讐が発展的な成果を生むことを祈る。