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商品説明
推理劇の稽古のために山奥のペンションに集まった俳優達。台本は演出家の意向でその日の練習分しか渡されなかった。台本に殺人事件が登場した翌日、被害者役の女優が首を吊り、数日後、次の被害者役も死体となって発見された。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
近藤 史恵
- 略歴
- 〈近藤史恵〉1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。「凍える島」でデビュー。第4回鮎川哲也賞受賞。著書に「ガーデン」「スタバトマーテル」ほか。
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紙の本
仮面の下が吹雪いてる
2000/10/31 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
吹雪の山荘に劇中劇、それに加えて男と女に渦巻く動機という、なんとも贅沢な作品がこれ。この人の書く男と女はどこか特殊な感情を持ちあわせていて、それが合うか合わないかで評価が分かれそうのなのだけど、まぁ今回は大人しい方でしょうか。
やり手の演出家が合宿に選んだのは町外れのペンション。集められたのは役者から芝居の経験がないものまでバラバラの男女7人。本格推理劇をやるという演出家は、その日の稽古の分しか台本を渡さない。登場人物の役の心情を追え、ということらしい。出世欲渦巻く中、台本に殺人事件が登場した翌日、被害者役の女性が首を吊った。
これが演出家の妻の視点から書かれてます。この演出家夫婦の関係もまた歪んでいて、読者は妻と感情を共有することになるわけ。毒気を見せたり、甘えたり、猫のような文章が刻まれていきます。この演出家のキャラが全体の核になっているんだけど、これがしっかりその役目を果たせる出来栄え。熱くて冷えてる。一見の価値あり。
ミステリ的にも劇中劇・現実共に仕掛けが用意されてるし、読み終わってみればなかなか企みに満ちた作品。それでいてサクッと読めてしまう分量がナイス。設定だけ見ると東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』を連想するかもしれないけど、まったく毛色が違うので安心して世界に浸るべし。身がよじれる動機と理由。残されたのは雪原の中の赤い結晶。
紙の本
恩田陸もそうですが、近藤も演劇の世界が好きなようです。でも、これを書いた当時の近藤はまだまだ。でもここを通過したからこそ、今の近藤がある、そう考えると貴重です。
2009/01/07 20:33
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新書が出たばかりなのですが、私が読んだのは1998年に出た単行本のほうなので、あえて断っておきます、新書でお読みくださいと。ちなみに、装幀は守先正+長靖です。単行本に初出が書いていない、ということは書き下ろしなんでしょうねえ。見落としていたらご免なさい、ですが気になります。
で、このお話、演劇好きの近藤らしい作品といっていいでしょう。人によっては恩田陸の『チョコレートコスモス』『中庭の出来事』を思い出して、近藤が影響を受けたかと思うかもしれませんが、出版年からお分かりのように近藤のほうが先です。とはいえ、これが近藤の発明か、といえば決してそうではなくて、夏樹静子の『Wの悲劇』も同じ範疇に入るでしょうし、他にも先行例はたくさん見つかるはずです。
話としては、実際の事件と劇の中の事件が同時進行ですすむお話で、1998年の出版なのでパソコン、ハンドルネームといった言葉も、さほど浮いた感じはありません。ただ、現在大流行のメタミステリかというと、どうも著者はその方面への興味があまりない、そういっていいと思います。ミステリとしてはオーソドックスと言っていいでしょう。
面白いのは、劇で殺される役を演じた俳優は、そのまま山荘を去らなければいけない、というルールでしょうか。ま、厳密な決まりではありませんが、少人数なのに、一度死んでしまった役者に他の役が振り当てられるということはないので、以降、出番がなくなってしまい、他の俳優の芝居を観るだけになってしまうので、居ても意味がありません。
そういう意味で、最初に殺される役には誰もなりたがらない。それと台本も同時進行でできる、というのも面白い。ま、実際にはできているんでしょうが役者には、当日分までしか台本が渡されません。先が読めないのですから劇中人物たちと同じように、考えざるをえなくなります。そうして迫真の演技を求める。それができなければお払い箱になるので、けっこうイジメっぽい稽古です。
そして実際に事件が起きます。演劇の世界ではよくある乱れた男女関係が原因か、それとも役を巡る争いか、それとも・・・
あとはお読みください。とりあえず登場人物を実際の事件と劇の事件に分けて、簡単に紹介しておきます。
(実際の事件)
神内麻子:小劇場界の著名女優、23歳。匠とは契約夫婦の関係。
神内匠:劇団主催者で演出家。麻子を見出し育ててきた男で、公表されてはいないが33歳。
水上慎二:麻子にあこがれる穏やかな性格の舞台監督。23歳。西口とは舞台の学校で一緒だった。
西口洋介:音楽をやっていて、今回、初めて芝居をするイケメン。柏田と過去に関係があった。
嶋原真澄:舞踏をやっている姿勢のいい美女。
柏田日登美:長身のモデル出身風の女性。テレビ映画経験者で、オーディションで集められたが、自信を失う。
手塚時子:小柄な小動物系の女性で、女ばかりの劇団の主宰者。オーディションで集められた。
真鍋祥子:広告関係のモデルをやっていた、今回の関係者の中では一番の美女。オーディションで集められた。
(劇の中の事件(第一幕~五幕と、追加の二幕構成)登場人物。基本的にハンドルネーム)
ミチル:猫好き、パソコン好きの女性で、正論をしっかりという。
ちえり:ミチルにパソコンを教わり、森川のHPを見つけた女性。看護婦?で時間は不規則だが、深夜までパソコンを操る。
まあこ:不穏な空気に最初に気付いた女性で、最初の被害者。
夏美:本名は冬美?森川と過去に関係した女性。
森川:ウェブマスター、管理人。サラリーマン。今回のオフ会参加メンバーは彼の掲示板で知り合った。オフ会の場所として、瀬戸内海にある小島の別荘を手配したのも森川。