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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1998.10
- 出版社: 光文社
- サイズ:18cm/282p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-334-07314-X
紙の本
クロスファイア 下 (カッパ・ノベルス)
著者 宮部 みゆき (著)
連続焼殺事件の背後に“念力放火能力者”の存在を疑う警察は、ついに青木淳子の存在に気づく。淳子は自分を“装塡された拳銃”と信じ、破局に向かいひた走る。宮部みゆきの最新超大作...
クロスファイア 下 (カッパ・ノベルス)
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商品説明
連続焼殺事件の背後に“念力放火能力者”の存在を疑う警察は、ついに青木淳子の存在に気づく。淳子は自分を“装塡された拳銃”と信じ、破局に向かいひた走る。宮部みゆきの最新超大作完結編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮部 みゆき
- 略歴
- 〈宮部みゆき〉1960年東京都生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物推理小説新人賞受賞。他の作品に「竜は眠る」「魔術はささやく」「人質カノン」「堪忍箱」「火車」など。
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紙の本
日本の法律を考えるきっかけに
2002/05/16 22:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく一気に読ませる! 上巻・下巻を読む前に「鳩笛草」を読むとさらに事件の全容が分かりやすいものになるはず。念力放火という特殊能力を持つ淳子の、優しさに満ちたときと、憎しみ・怒りに満ちたときのギャップが印象的。もし自分が淳子のように特殊な能力を持っていたら、悪者に同じような制裁を加えはしないだろうか…と思わずにいられなかった。映画では何だかチンケな設定になっていて不満だったので、是非一度本編の方も読んでいただきたい。ここまで心が熱くなる作品はめったにないはず。
紙の本
正当なジャッジは誰が…
2004/07/16 07:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
「鳩笛草」の3作品のひとつ「燔祭」の続編「クロスファイア」、宮部みゆきです。「燔祭」を読まずともわかるようにはなっていますが、読んでからの方が良いですね。「燔祭」あっての「クロスファイア」だと思います。
今や凶悪犯罪と言えば未成年と言ってもおかしくないような、惨い犯罪が多発しています。コンクリート詰め殺人や名古屋のアベック殺人を代表にリンチ殺人など、どうしたらあの様に惨い事が出来るのかと通常の神経では及びも付かない事が起き、その加害者が殆ど未成年ですから尚更驚かされます。本の世界より現実の世界の方が残酷とはどういう事でしょうね。少年法改正とか言っておりますが、それで解決する問題とはとうてい考えられないです。犯した罪に対する罰はきちんと与えないような法律は法として呼べるのか。更正などと言う言葉も聞きますが、罪を償ってこその更正であり、償わない更正などあり得ないのではないだろうか。まるで幼児が蟻を靴で踏みつぶすように人の命をおもちゃのように扱う少年犯罪。何故、彼ら…。
そんな加害者を宮部みゆきは登場人物の刑事石津ちか子にこう言わせています。「…何不自由ない育ち方をして、不足はなく、豊かで満ち足りている自分。しかしその豊かさを享受しているのは自分だけじゃない。隣のあいつも、後ろのこいつもみんな同じだ。だけどこんなに満足している自分は、きっと何か特別な存在であるはずで、きっと隣のこいつや後ろのあいつとは違う存在である、そうならなければならないはずで− それなのに、その「違い」が見つからない。飽食によって純粋培養された「強力な自尊心」だけが、まるで水栽培の球根のように無色透明な虚無の中にぽっかり浮かんでいるだけで、それを包んでいる「自分」には色も形もない。存在感さえないのだ。 それでも日々の暮らしに困ることはない。遊びは、浪費は、楽しくてたまらない。だからいつも忘れることができる。自分には「自尊心」しかないことを。そしてかれらの「自尊心」は豊富な栄養を吸ってどんどん根っこを伸ばし、野放図に成長しジャングルの蔦のようにからまりあいもつれて、ますます動きがとれなくなる。どこ行くにも、何をするにも、その肥大して錯綜して元の球根そのものよりも大きな場所を必要とするようになった「自尊心」の根を引きずって行かねばならないから、彼らの動きはきわめて鈍く、だから彼らは否応なしに怠惰になる」…長い引用ですが(^_^;)、その「肥大した自尊心」の持ち主の暇つぶし、イライラの解消、欲望のはけ口、ただのオモチャにされた被害者をいつ誰がどうやって救うのか、その答えの一つが「クロスファイア」なのでしょうか?
人の命を虫けらのように扱う少年法に守られた加害者たちに、敢然と立ち向かう一人の女性「青木淳子」は超能力者ゆへの薄幸な過去を持っています。犯人を追う青木淳子、青木淳子を追う秘密組織、そして、それらを追う刑事。果たして正義とは…。被害者の無念を晴らし、加害者に罰を与えるべく一人の女性が向かう先に待ち受けるのは哀しい結末しか無いのでしょうか。 公言はしなくとも「クロスファイア」を読まずとも、現実の社会を見て、何とか出来ないのか、仕掛け人でも居たらお願いしたい、死刑でも飽き足りないと思っている人は多いでしょうね。法律はが果たして善良な市民を守るためのものであると言えるのか。敵討ち法でも制定して欲しくなります。多くの人が青木淳子を支持するはずです。青木淳子は正義の使者か、「クロスファイア」は敵討ちは空しいと語りつつ、その答えを明らかにせずに青木淳子とともに幕を引き、虚しさと悲しみだけが雪に溶け込んで行きました。重いテーマながら息もつかせぬ勢いで読まされる「クロスファイア」です。まさにスリルとサスペンス。良かったぞ!