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紙の本
人と人を重ねたとき、そこに見える色は。
2012/08/19 20:24
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自然から「色をいただく」という謙虚な姿勢で仕事を極めてこられた 染織家・志村ふくみさんのエッセイ
写真も多数入っており 自然の色のため息が出るほどの美しさを堪能できる
志村さん自らの経験を通して語られる色の不思議
「さくらいろ」という優しい色 私は満開のあの桜の花からとれるのだと思っていたけど
実は“枝”しかも開花の時期の直前の枝からしかあの色は出せないそう
「みどり」もとても不思議な色で 自然界には草や葉っぱの緑色があふれてるのに
単純には緑色を取り出せない
草や葉を煮出したところで染め上がりは茶色にしかならず 藍と黄色を重ねることで緑色ができるのだそう
また 草木染には「媒染」という技術がある
草木の液で染められたものが 灰汁や石灰や鉄という媒染剤で元の色と全く違った色になる
染色と人間の生き方を重ねて見る志村さんは 人生もある種の媒染であるという
人には自分の持っている色がある
どのようにしたら思いどおりの色が出せるのか
さまざまな経験や人との関わりを通してどんな色彩にだって変わり得る
人と人を重ねたとき そこにどんな色が見えるのか
自分の色彩を変えたり 常にきれいに発色していたいと思うのと同時に
関わりあった周りの人の色を綺麗に出してあげられるような「媒染剤」でありたいと思う
そんな思いを抱かせてくれる穏やかなエッセイ