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商品説明
ユーロの登場が欧州、米国、アジア、日本に与える様々な影響を分析するとともに、EU各国の税制や労働力市場の改革、欧州中央銀行の金融政策などにも焦点を当て、ユーロを取り巻く経済環境の変化を理論的・多角的に考察する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
ユーロ誕生のインパクトを国際通貨体制,EU内部の制度的インフラ,金融市場の対応の各面から分析
2000/10/06 15:22
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投稿者:野村 誠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
鳴り物入りで共通通貨ユーロが導入されてからはや一年半。ユーロ・レートはほぼ一貫して軟化,この間の減価率は対ドルでも対円でも2割を超えている。いわゆる「ユーロフォリア」はすっかり過去のものとなった。では通貨統合(EMU)は失敗だったのか? 決してそうは言えない。
ユーロ経済は98年のロシア金融危機の影響などを克服し,今2000年の成長率は3%を上回る可能性が十分だ。社会保障や労働市場面での構造改革の進ちょくが遅々としていると言われながらも,失業率は独仏を含めほぼ全加盟国で明らかに低下傾向を見せ始めた。統合化の進む資本市場を背景に国内外,域内外を問わぬ企業の合併・提携など,産業の活性化,IT革命への対応も進み始めている。
99年1月,正にユーロ誕生とともに刊行された本書は,行政,金融実務,アカデミズムのいずれか1または2の立場から国際金融に携わってきた7名の専門家が97年から98年にかけて行った共同研究(EMU研究会)の成果である。最終的には7名それぞれの個人論文の体裁をとっており,手法も主張も必ずしも一貫したものではないが,それだけに多面的な事実と見通しを提供している。
内容的には大きく3つの視点から,ユーロのもつ意味を検討している。第一は「国際通貨としての地位」(第1,5,6章)。時間はかかるが,ドルに並ぶ基軸通貨となる可能性をもっているという著者達の主張は,大幅ユーロ安の現時点でも決して説得力を失っていない。第二は「通貨統合実現の制度的インフラ」(第2,3,4章)。各国税制の調和,労働市場改革におけるオランダとフランスの事例比較,欧州中央銀行(ECB)の政策運営の枠組みなどについて,手際よくファクツを紹介している。第三に「金融市場の対応」(第7章)を市場別,参加者別にミクロな視点から検討。現在進行形の欧州金融再編の激流をかなりの程度先取りした見通しを描いている。
(C) ブックレビュー社 2000