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日本の社会保障 (岩波新書 新赤版)
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紙の本
社会保障には「所得の再分配」と「リスクの分散」機能があることを説明
2001/09/07 15:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東條 智津 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、現在の社会保障をめぐる議論について、(1)医療、年金、福祉といった個別のテーマがタテワリに論じられ、そして(2)それらの議論の多くが、「当面の財政難をどうしのぐか」、といった対処療法的な議論に終始していることを、問題点として指摘しています。この問題点が、結果として国民の間に大きな不安を広げていると分析しています。この本では、タテワリで論じられることの多いこれらの問題を、市場や倫理、共同体、日本だけでなく諸外国の制度といった、様々な視点から考証しています。
本書では、社会保障には「所得の再分配」と「リスクの分散」機能があることが説明されています。現在の議論は、そのほとんどが、世代間扶養(若年者が高年齢者を支える)のものばかりで、同世代間における「所得の再分配」機能については、ほとんど議論されません。著者はこの機能の重要性を説いています。また、「所得の再分配」的性格の強い国民年金や老人医療福祉については、税方式で保障するべきであると提案しています。そして、「リスクの分散」的性格が強く、また逆選択(リスクの高い者ばかりが加入する)の恐れがある若年者の医療保険については強制加入である社会保険で保障し、厚生年金の報酬比例部分については民間に移行することを提案しています。
さらに著者は、現行の社会保障制度ができた時代と現在の状況との変化を理由に、公私の役割分担の見直し(国がどこまで保障し、自己責任をどこまでとするのか)を主張しています。テーマが広いこともあり、内容が少し難解ではありますが、この本を読むと社会保障について、横断的な広い視野をもつことができるでしょう。
(「かけこみ寺」の税金・経理・労務ワンテーマブックガイド−その他編 第10回 なんとなく不安な「社会保障制度」について本当のところを知ろう。 より )