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商品説明
98年ロシア危機、ブラジル危機、LTCM破碇。そして99年N.Y.ダウが1万ドルを超えた。グローバル資本主義は「破局」を回避できるのか。激動と混乱の世紀末に立ち向かう「ミスター円」の直言集。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
榊原 英資
- 略歴
- 〈榊原英資〉1941年神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。ミシガン大学博士号取得。現在、大蔵省財務官。著書に「新世紀への構造改革」「国際金融の現場」などがある。
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紙の本
大蔵省国際金融局長,財務官時代に「ミスター円」と呼ばれた榊原英資氏の国際金融に関する優れた講演集
2000/07/10 09:16
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投稿者:荒井 耕一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書には,著者が大蔵省時代に行った9つの講演が収録されており,その時々の国際金融上の重要な問題が語られている。著者が国際金融局長,財務官の要職にあった期間は,1997年7月のアジア通貨危機のように情報通信革命のなかでいっそうグローバル化した金融市場が,金融危機を頻繁に引き起こすようになった時期に当たる。これら金融危機の深化,伝染を未然に防ぐべく各国の通貨マフィアと対策を練り東西奔走した生々しい経験談や,米国財務省サマーズ財務副長官(当時)やヘッジファンドの雄であるジョージ・ソロスなどとの忌憚のない意見交換が本書の随所に散りばめられ,なかには当事者しか語れないような交渉の生々しい経緯,エピソードがかなり詳細に記述されている個所もある。このため,日ごろ新聞報道や経済解説書でこれらの金融危機を理解することの多い読者や学術研究者にとって,本書は国際金融に関する歴史的資料として大変価値がある内容となっている。
しかし,本書の特徴は,今世紀末が数十年あるいは100年単位の大きな転換点に当たっていると言う著者が,目まぐるしく動く国際金融上の諸事象を,歴史の「構造」と「循環」というパースペクティブの中でわれわれに示している優れた分析にある。例えば,著者はアジア通貨危機が起こる1年も前の96年8月に,金融・通信のグローバル化がアジアでも進んだ結果,アジアでも将来金融・商業バブルが引き起こされる可能性が十分にあること,アジアで富と所得の不平等が顕著になってきていることをすでに指摘していた。けだし慧眼というべきであろう。
著者はまた本書で,国際金融システムの新たな枠組みを提案する場として公式フォーラムの常設,市場と国際金融機関の連携強化,民間金融機関の参加を提案している。アジア地域で指導力が望まれる日本においても,官民の理論家および民間の実務家が来世紀に向けこれらの課題に対し積極的に取り組むことが切に望まれる。
(C) ブックレビュー社 2000