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さよならジュピター 上 (ハルキ文庫)
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紙の本
DVDを見ながら「こっちもドキュメンタリー・タッチで映像化すれば良かったのに…」と思いました。
2003/06/04 16:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKの「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」が面白いのは、どう見ても不可能なテーマや困難だけれど実現しなければならない課題に、さまざまな経歴や技能の人々が集まり、協力して集団で解決し、それによって時代が動いていくプロセスが描かれているからだろう。
小松左京の作品は、『日本沈没』以来、こうしたプロジェクトX的なものが主流となっている。『復活の日』も『首都消失』も、状況こそSF作品でしかありえない(あって欲しくない)ものばかりだが、そこで描かれているものは、多くの人々の生命を救うために不可能を可能にした科学者・技術者・政治家たちのドラマ、つまりプロジェクトXそのものだ。いや、小松左京こそ、プロジェクトXの原点なのかもしれない。なにせ『さよならジュピター』で描かれているのは、木星破壊計画“プロジェクトX”なのだから。
時代は近未来。人々は太陽系全体に広がりつつある時代。太陽系全体を改造し、人類の居住空間を広げようとする幾つもの巨大プロジェクトが動いていた。だが、その計画は1隻の外宇宙探査船の遭難事故を契機に大きな変更を余儀なくされる。太陽系滅亡のカウントダウンが始まったのだ…。
上巻では太陽系全体に広がった人々の活動とそれに反発する人々との軋轢が、冗長ともいえるほど丁寧に描かれ、その中で探査船の遭難事故の謎が提示される。そして下巻では謎が解明され、それによって真のトラブルの正体が判明し、二転三転しながら問題解決のために太陽系全体が一斉に動き出していくさまが克明に綴られていく。
SFは難しい、性に合わないと思う人であっても、『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』を見たり読んだりして面白いと思った人なら十分に楽しめる作品であると思う(ただし映画版のことは忘れること)。