紙の本
落下する夕方 (角川文庫)
著者 江国 香織 (著)
別れた恋人の新しい恋人が、突然乗り込んできて、同居をはじめた。梨果にとって、いとおしいのは健悟なのに、彼は新しい恋人に会いにやってくる。新世代のスピリッツと空気感溢れる、...
落下する夕方 (角川文庫)
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商品説明
別れた恋人の新しい恋人が、突然乗り込んできて、同居をはじめた。梨果にとって、いとおしいのは健悟なのに、彼は新しい恋人に会いにやってくる。新世代のスピリッツと空気感溢れる、リリカル・ストーリー。【商品解説】
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紙の本
不思議だけど本当の気持ち
2001/12/25 15:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yuko - この投稿者のレビュー一覧を見る
失恋て劇的なもので、途方にくれ、涙を流し、取り乱すものだと多くの人が思っていて、それを味わった人はこの世の終わりのように絶望し、取り巻く人たちは腫れ物を触る様な扱いをするんだと思っていました。
でもよく考えてみて、今自分が夫に別れを切り出されたら実感がなく、何が終わったのか、何が変わるのか、呆然とし、自分に気持ちが戻ってこないとわかっても執着心だけを持て余す日々を送る気がします。
生活はしていけると思う。だけどいつも傍にいた人の穴は大きくて、執着せずにはいられないと思う。そんな気持ちがふっとよぎるお話です。
ものに執着して意地になっている人。
忘れたいけど忘れられない人がいる人。
今の自分がとっても淋しいと思っている人。
そして一歩踏み出そうとしている人。
そんな気持ちを抱えているときに読んだらきっと楽になれる本です。
じたばたしてる自分を醜いと思ったり、かわいそうと思ったり、どうしようもない気持ちを抱えている人はこのお話を読むと、強く、規則正しく、きちんと、おまけに美しくいられるかな? と思える本です。
江国さん独特の日常の描写、美しい言葉の世界できっと癒されます。
紙の本
気だるい
2017/11/14 15:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いとさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
江國さんの描写、気だるい感じが大好きです。なんとも言えない三人の生活。複雑な環境、生活で、なかなかこんな生活はないと思いますが、一つ一つの衣食住、生活スタイルは真似たいなって勝手に参考にさせてもらってます。
紙の本
恋人を奪った女からも、愛される華子って何者?
2001/03/21 22:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りーこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
梨果は、8年間付き合っている同棲中の恋人、健吾から、突然別れを切り出される。理由を聞くと、他に好きな女性ができたからと言う。ここまでは、ごくありふれた話だが、それからの展開が意外な方向へと進んでいく。
健吾の好きになった女性は、華子という名前のちょっと変わった不思議少女だ。健吾は、華子と付き合える望みもないのに、華子と出会ってたったの3日で、8年間の恋人、梨果に別れを告げるほど愛してしまう。
同棲をやめて引っ越して行った健吾。広いマンションで健吾との思い出の中で暮らす梨果のもとへ、健吾を奪った華子がひょっこり訪ねてくる。そして、「一緒に住みましょう」と言うではないか! なぜか一緒に住むことになった梨果だが、いつのまにか華子がいるとやすらぎ、いないと不安になるのを感じ、梨果は戸惑う。恨まれるはずの華子はどうして梨果に愛されるのか? そして読み続けると、私も自然に華子を好きになってしまった。
華子の魅力を是非、皆さんにも読んで欲しいです。
紙の本
不思議なトライアングル
2002/07/15 20:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごまた - この投稿者のレビュー一覧を見る
八年間付き合っていた健吾に別れを告げられた梨果。しかもたったの3日で。
健吾には好きな女性ができたらしい。その女性が華子。華子はとても不思議な魅力を
持つとても繊細で華奢な女の子。その華子とどうしたわけか一緒に暮らすハメになって
しまった梨果。まだ健吾を好きな梨果。憎めない同居人華子。華子を好きな健吾。
この変な三角関係はどうなって行くのだろうか? 三角関係と聞くと激しくてどろどろと
した陰湿な響きがあるのに、この物語はとても静か。本当に不思議なトライアングル
なのだ。読み終わったら自分が失恋から立ち直ったような気がしていた。
紙の本
失恋と未練の物語
2002/04/07 16:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元恋人の新しい彼女が部屋に押しかけてきて居ついてしまう、というありそうもない設定なのだが、不思議と素直に入り込んでしまえる。 なにより、押しかけてくる華子のキャラクターがとても魅力的なのだ。物語自体は、梨果の健吾への未練と、健吾の華子への未練が主軸になっている。こんな未練の物語など普通面白くないはずだが、それを魅力的にしているのは華子の存在だと思う。感情を表にあらわすことがなく、なにも信じないと言い切る彼女。ある意味で正反対の梨果と華子が次第に心を通わせていくところがいい。
華子は、放浪生活を続けて人と深く関らないように生きているという点で、「神様のボート」(江國香織)の草子と似ている。こういうキャラクタに魅力を感じてしまうのは、普通の読み方ではないのかもしれないけれど、僕としてはそこに魅力を感るのだ。江國香織の小説は、普通にいう現実的な生活(大人の生き方)から、踏み外してしまう人をよく描いている。健吾や梨果にしても、元の恋人への執着に生きている彼らは現実から遊離して幻に生きているわけだ。僕はそういう現実からのズレの部分が結構好きで江國香織に惹かれているのかもしれない。
江國香織の小説ではそれとなく挿入されている詩や歌がなんともいい。「流しのしたの骨」では主人公の「折り紙」がよかったが、この小説では梨果の口ずさむ「きつねがりのうた」がなんともいい雰囲気をかもし出している。
紙の本
淡々とゆったりと失恋していくのって、思ったより実際に近いかも
2000/09/22 23:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:皇帝ぺんぎん - この投稿者のレビュー一覧を見る
詩的なタイトルだな、と思って手に取って買ってみた。話は、8年一緒に暮らした彼が突如他の女性を好きになって出て行ってしまうところから始まる。
激しい心理描写があるわけでもなく、淡々としてるし、彼のことを好きな状態のまま相手の女性になぜか仲間意識を持ってしまったりする。それと平行して、少しずつ少しずつ彼の気持ちがやはり自分のところにないことを確認していく失恋というプロセスが継続している。
一見これって不思議な状態だけど、この本では違和感なく成立しているし、もしかしたら、泣き叫んだり大声でケンカして突然憎しみに変わったり、ていう失恋は何かドラマの中だけにあるんじゃないか、極端に愛情の濃度の濃い人たちのものなんじゃないか、と思ったりした。つまり、この本にあるみたいに、少しずつ「好き」な気持ちが減っていって納得していくのが、結構実際に近いのかな、と。
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失恋とは
2023/03/16 11:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
江國香織さんの本は何冊も読んでいるけれど、
いつも思うのは、「そんなこと本当にあるの?」
現実にはあり得ないと思うんだけれど、
江國さんの小説の中ではしっくりきてしまう。
この本も、華子に苛立ちながらも抗いがたい魅力というのか、
ひきつけられるものがあって・・・・・・
紙の本
「動」を「静」に変える魔力
2002/05/19 16:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:千 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江国さんの世界はすごく好きだ。
だけど江国さんの世界観を「癒し」という人がいたらちょっと笑ってしまう。
癒しなんかではない。
葛藤の「動」を「静」に描くのがすごくうまいのだ。
この作品はそんな中でもぬきんでていると私は思う。
三角関係の話だけれど、そこに描かれた人間がどんなに取り乱していようとも
そこには静かな空気がある。
かわらない日常がある。
対照的な景色のはずなのにしっくりくる。
自分の感情に自分がもて遊ばれている人、
ぜひ読んでください。
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心が温かくなりました
2015/11/14 12:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の作品はあまり読んだことがなく、何か読んでみようと思って著者の代表作だと知ってこの作品を手に取りました。ドラマのように、全てがハッピーエンドというわけには行かないけれど、その中でも自分の生き方を見つけようとする物語の進み方に元気付けられました。また、日常生活のなんてことない日々や行動の表現がすごく綺麗でした。
紙の本
綺麗で、透明で、哀しい。
2001/02/06 20:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アサダミユキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本文中に、こんな台詞がある。
『愛してる。とても愛してるわ。』
一見ありふれたように見える台詞。だけど、江國さんが描く、この登場人物に言わせるとひどく美しく、儚く聞こえるのだ。何も、本当に何も持っていない人が云う『愛してる』。私にはけっして言えない台詞。
だけど、もし云えることができるのならば、どんな気持ちを込めて云うのだろう。
この作品を読んで、そんなことをふと思った。