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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1999.8
  • 出版社: 筑摩書房
  • レーベル: ちくま文庫
  • サイズ:15cm/296p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-480-03495-1

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紙の本

宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

著者 橋本 治 (著)

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宗教なんかこわくない! (ちくま文庫)

税込 748 6pt

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みんなのレビュー20件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

自分の頭で考えることの重要性を述べる、生きるために読む書

2003/03/23 01:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミホ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「イデオロギーとは宗教のようなもの」と橋本は言う。そしてすべての宗教/イデオロギーが危険なのではなく、危険な宗教/イデオロギーは危険だ、ただそれだけのことえある。橋本治は、この当たり前のことが理解されていないと嘆く。

日本人は宗教が苦手である理由も、橋本は明快に説明してくれる。

日本で初めて宗教(仏教)を弾圧した織田信長の登場以来、日本では宗教が力を失った。儒教は人間関係の道徳を説く現実に即したismだ。かたや仏教は、江戸時代、寺と檀家という、町の役場と住民の関係と重なる現実の支配制度として使われた。つまり宗教としての超現実性を失ってしまったのだ。明治以降戦中までの神道についてはどうか。徳川時代に体制に組み込まれた仏教を敵とみて、「廃仏毀釈」して、支配的になったのは天皇家の信仰、神道だった。仏教を、日常・土俗的なものとしてしか捉えていなかった国民に、神道が広がったのは「免疫のない人間にエボラ出血熱が広がるようなものだった」という喩えは言い得て妙すぎる。

橋本曰く、宗教には2種類あって、社会を維持するための宗教と、個人の内面に働きかける宗教がある。上は前者の宗教についてのことだ。

じゃあ、個人の内面に働きかける方はどうかというと、日本ではこちらがすっぽり抜け落ちたまま、近代を迎えてしまった。個人の内面に働きかけるとは、私とは、世界とは何かと自分の頭で考えるようし向けることなのだが、日本人はこれがとっても苦手。孤独に耐えて自分で結論を出すまで至らない。手近なismを信じてしまう。多くの大人にとっては会社教であり、ある若者たちにとってはオウムである。この“宗教”においては教えの定めにただ身を委ねればいい。社会安定維持型の宗教だ。不幸にも、日本ではこちらばかりがはびこった。

内面に働きかける宗教とは何か。仏教とキリスト教だ、と橋本は言う。キリスト教を切り捨てて成立したのが西欧の近代であり、欧米で信仰をもつということは、自分で考えて信仰を選び取った、ということである。仏教は、そのように日本では受け取られていないが、その起こりは「自らがみずからであることを獲得していくための思想」だったというのが橋本の見解だ。

「自分の頭で分かったことが確かな真実であるということを決定するのは、自分自身以外にはない」というのがブッダの悟りだった。だから、誰が決めたのか分からない「輪廻転生」などという宇宙の法則を無条件に肯定している限り、自分の人生は自分自身のものだ、という事実は訪れない。仏教はだから神よりも、真を得た人間=ブッダを上に置く。仏教は、個人崇拝ではなく、生きるための思想なのである。

仏教を信じろ、と橋本治は言うわけではない。自分の頭で考えろ、と言うために、宗教なりオウムなりを持ち出して、私たちに考えさせようとしているわけだ。自分の頭で考えるには、孤独に耐えなければならない。自分の頭で考える子供は、学校になんか馴染めないだろう。会社からも排除されてしまうだろう。それでも、家に引きこもっていてはその孤独な作業は続けられない、というのが橋本治の考えだ。

家族がいかに居心地が良くても、家族は閉鎖された集団の一つにすぎない。家族の外にノーマルな人間関係がなければ、人間は家の外へ出て行けない。ありふれた、ノーマルな人間関係を作りやすいのは労働の場所だ。会社ismにどっぷりつかるのでない、労働の場所に自分の居場所を作ること。それがないと、自分の頭で考える作業を続けることは出来ない。

パラドキシカルだけども、極めて現実的な、生きるための方法論だ。この本を必要としているのは、教養としての宗教を学びたい大人ではない。世界に違和感を覚えている若い人ではないか。

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紙の本

まさか泣くとは思わなかった

2002/06/11 16:20

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひめ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いやー、ものすごい情報量です。ちょっとずつ時間をかけて読んでも、いいんじゃないでしょうか。それだけの価値はあると思いますもの。
 特に、今なんか悩んでいる人に、オススメ。

「なかなか答を出せない自分には、なにか“欠陥”があるのかもしれない」
 はい。これに対するはっきりとした回答があります。
 わたしゃ泣きました。自分でもバカだと思いましたが。でもどうしようもありませんでしたよ。

 他にも、仏教やキリスト教に関する、外側からの乱暴なくらい大まかで、でもわかりやすい概要があります。
 この本をはじめの一歩にして、いろんな書籍の度をするのもおもしろいでしょう。
 そーゆー気にさせてくれる一冊です。

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紙の本

そしてオハナシはカタチを変えてツヅイテイル…

2001/05/25 01:25

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:安井 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 オウム真理教事件が起きた時、日本は震撼した。なぜ知的な若者たちが、オウムに惹かれ、残虐な犯罪に手を染めてしまうのか。宗教とはそれほどまでに引力が強いものなのか。そんな問に真っ向からぶつかり、橋本治は言う。自分が自分らしく生きるために、「宗教なんかこわくない」と言おう、と。新潮学芸賞受賞作。

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紙の本

徹底的に近代人の橋本治

2001/05/06 18:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:谷池真太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 オウム事件について橋本治が書いたもの。橋本治は、宗教は過去のものである、と断定する。それは「自分の頭でものを考える」人間にとっては宗教などという外的要因によって自己を導いてもらう必要がないからである。

 だが、実際はどうであろう。皆、自分の頭でものを考えやしない。何となくまわりに流されて生きている。そんな現在の状況を、日本人はみんな宗教に犯されている。そのために日本人は宗教を知らないのだ。だから宗教に対して「怖い」「よく分からない」といった画一的な反応しか返ってこないのだ。と、橋本治は喝破する。

 しかし、私は思う。現代という社会が「日本人はみんな宗教に犯されている」のであれば、それが普通なのではないだろうか。それに強い違和感を覚える橋本治という作家は何なのであろうか。橋本治の違和感の理由は彼が日本でただひとりの完成された近代人である作家だからだろう。

 「個人」としての自我を持つ橋本治は近代化が完成されていない日本という国と日本人に対して「バッカじゃねえの」という思いを抱くのである。ここらへんの橋本治の感性は『青空人生相談所』でもうかがい知ることが出来る。もちろん桃尻娘などの一連の著作でもだが。

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