紙の本
悲しいタイトル
2020/11/08 21:53
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「パタゴニア」のチャトウィン(と偉そうに書いてしまったが実は未だに未読)の遺作を読んだ、原題が「WHAT AM I DOING HERE」旅人であった作者が病床で自らの短編を編集している姿を想像し原題と重ね合わせると本当に悲しくなる。旅人であり、もちろん作家でもあり、考古学者であり美術鑑定士でもあった才能の人の作品が面白くないはずがなく、イエティの話、ベナンのクーデターのこと、ソ連の旅の話、どれも面白いのだが私が一番気に入ってしまったのがドナルド・エヴァンスという画家の話、この人の絵は変わっていって架空の国を想像し、架空の切手として作成するのだ。私も少年時代、同じようなことをしようと思っていたことがあったのだが絵心が全くと言っていいほどなく挫折した経験がある。本当に作品として完成させた人がいるなんて驚きだ
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奇跡を求めて旅する魂。チャトウィンはもっと知られていい作家だと思う。
彼は決して厭世的な流浪の人ではなく、常に見知らぬ土地や人間へのあこがれに突き動かされていた。
これは死期を知った作家自身によって編集された遺作。カバー写真は本人。かっこよく撮れてますね。
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この人の文章には本当に惚れこんだ。ハンサムな文章というものが存在するのを静かに夢中に味わえる。「これは<私の着想>による<物語>だから」とことわってはいるが、彼の経験した極限から至福までの感情の彩と、追想とはるかな記憶の物語は本当に素晴らしい。
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こんなにカッコイイヒトはみたことがありません。
かれこれ10年ほど取り出しては読み、引越し先にはもってゆき・・・
旅のお守り。
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チャトウィンは虚構と現実の境目があいまいな作家と言われているらしい。
わかる気がする。
紀行文のはずなのに、どこか展開が物語的であったり、登場人物との会話がどこか作りごとっぽかったり。解説でも、序盤で出てくるクーデターに出くわした話も怪しい、と書かれているが、ただ、彼自身が自分の作品を「小説です」と言いきっているのであるから、たぶん意図してそのように書いているのだろう。
文章は非常にカラッとした感じで魅力的なのだが、いろいろな時期に書いたものを、最期に自分で集めて一冊にした本のようだから、まとまりに欠ける感は否めない。そのせいか、あまり私には面白さを感じることができなかった…。期待していただけにちょっと残念。
「ソングライン」が復刊しているようなので、今度はそっちに挑戦してみようかな。
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相変わらず派手な装飾や演出は薄いが
じわじわしみこんでくる。
一見まとまりのないように思えるエピソードたちの
むこうからドローンが聞こえだす。
放浪を衝動どころか本能のレベルで捉え直させられた一冊。
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ヘミングウェイは当時「紀行作家」と呼ばれることがあった。いわゆる「紀行文」を書いていたからではない。旅の先々で小説の題材を掴んできたからだ。ブルース・チャトウィンが紀行作家といわれるのも、同じ理由からだ。しかし彼は一生を旅の中で過ごし、旅先で亡くなったわけだから、紀行作家というより旅する人生であったのだろう。処女作「パタゴニア」から、この最後の作品まで、そのスタイルは変わらなかった。
「どうして僕はこんなところに」は、彼唯一の短編小説集。1989年、フランスのニースで亡くなる直前に自ら選んだ自選集だ。登場する人は有名人も無名人も織り交ぜ、場所も転々としている。まったく統一がとれていないようでいて、彼の意図は確実に貫かれている。誰かが言っていたように、彼は旅することで奇跡に出おあおうとしていたのだ。
ヒマラヤではイエティ捜索に参加し、パリではマドレーヌ・ヴィオネ(シャネルと並ぶ伝説的デザイナー)にフランスのエスプリを感じる。中国の兵馬俑では武帝がどれだけ熱狂的に馬を手に入れようとしたかに思いを馳せる。
どれも、旅先で旅人がモノを見つけた時、出会った時の反応だ。それをいつも、小さな手帳に書き留めていた。彼の短編を読むと、いっしょに世界を旅している気持ちになれるかも知れない。世界ではあまりにもいろんなことが起きている。
ちなみに彼が小説をか書き留めた手帳は、ヘミングウェイも愛用した「モレスキン」だった。
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What am I doing Here? : The original title of this book, travel writing by Chatwin.
With this book, my thought go on and on and beyond borders , beyond 30 years time- getting out of "now" and "here" riding on story of Chatwin. 
You will love how he describes people he met in Africa, China, Peru, Rossia etc...(He went everywhere! ) He exposes one's nature very charmingly - we are inconsequential either irrational -
He also shows great respect to intelligence that ancient civilization developed eg. Nazca Lines.
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著者が短い人生の最期に自分で選んだ短篇集。
場所などがあちらこちらに飛んでいてまとまりがないようにも見える。
しかしそれこそが、心の赴くままに世界を旅し、出会いと想像力を人懐っこい文章で綴るブルース・チャトウィンの魅力だ。
ヘル・ユンガーから見せられた、「自殺は人間の力だ」という小説家アンリ・ド・モンテルランのことば、モンテルランがリボルバーで自殺した血模様を写しとった紙。
チャトウィンの作品を読んでいると、時々血なまぐさい描写や死の理不尽さに向き合わなければならないことがある。
チャトウィンはその度にどんなことを心に溜めていき、それは旅を続ける動機とどう影響し合ったのだろう。
『チャトウィンは友人の息子オリヴェエ君が、かつて自分がのマドの考察に没頭していたのと同じ年ごろに達した際、その誕生日のために「書き留め」たものを贈り物にした。これもまた死の年の一九八八年の日付を持っている。どんな気持ちで何行かずつ書き継いでいたものか、それを思うと、胸がつまるのだ。410~411p』
この短篇集は、親しい人や読者への最後の贈り物であると同時に、旅を共にした自分自身の肉体への謝辞でもあると思う。
彼は、精一杯「あるがまま」を生きることができた。
現代社会のしがらみに甘んじている私たちが今なおブルース・チャトウィンに憧れるのは、その「あるがまま」ゆえなのだろう。
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若くして夭折した紀行作家ブルース・チャトウィン遺作。様々な人との出会い、辺境の地への旅が、時間と空間を超えてランダムに構成されています。これから先、夏がきて旅に出たくなった時、ふと再読したくなる1冊です。
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好きだぁ・・・この本!様々な場所に行って、色んな人達と出会って、歴史や政治、美術といったことが語られていく過程が楽しかった!小説や紀行文といったジャンルに囚われていないところも良かった!読んでて旅したくなった!
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旅の作家ブルース・チャトウィンの生涯最後の本。断章、物語、人物素描、紀行談…多彩さに魅了されながら読んだ。アンドレ・マルローの鋭い洞察力やネパールのシェルパやコレクターに有名人…沢山の章を次々と読んでいると色んな想いが伝わってくる。たとえば最初の章。病棟で1番好きな掃除とお茶のお世話をしてくれるアスンタ。病床でもパレルモ生まれの彼女から地中海の風を感じて心を浮き立たせる。旅を愛し人を愛した人柄を感じる。中国やネパールにもかなり行っていたようだ。次の作品の構想がこの中にあったのかもしれない…。農耕民族、遊牧民、狩猟民族の違いもよくわかった。アルジェリアの独立やインドの混乱と悲劇。アフガニスタンをはじめ現在もくり返される紛争を今生きていらしたらどう思われたのでしょうか。聞きたいです。
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物語やエッセイが収められた短編集。
チャトウィンの人生そのものが纏められていた
印象を受けました。
場所、人物に幅広くスポットが当てられるため
読みこなすのにとても骨が折れましが
楽しい旅かどうかはさておき自分も旅をしている
気分になりました。