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受城異聞記(文春文庫)
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この著者の新着情報

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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:1999.9
  • 出版社: 文芸春秋
  • レーベル: 文春文庫
  • サイズ:16cm/285p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-763201-4
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

受城異聞記 (文春文庫)

著者 池宮 彰一郎 (著)

受城異聞記 (文春文庫)

484(税込)

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みんなのレビュー2件

みんなの評価5.0

評価内訳

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時代を貫く苛烈な宿命を描破

2011/08/23 13:00

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 身近にこの作家のファンがいて、こちらも気になって何か読んでみようと思った。有名なのは高倉健+宮沢りえで映画化もされた『四十七人の刺客』だし、また柴田錬三郎受賞の『島津奔る』もパラパラ眺めてみたのだが、どうも長編は荷が重そうな気がして、ネットの紹介やら文庫目録を拾い読みして興味を抱いたこの短編集を選んだ。一読、この作家がわかったような気がした。そんな5編の短編集である。現在、入手しにくくなっているのは残念だが、いい本だと思う。
 ひとことでいうと、この作家の核心にあるのは、厳しさ、ということではないか。あるいは苛酷さ。
 表題作は、一見、NHKのかつての人気ドキュメンタリー、『プロジェクトX』とでも呼びたいような内容だ。つまり、困難を乗り越えての何らかの偉業の達成。幕府からの無理無体な要求ゆえの決死の雪山越え。しかし、結果をめぐる捉え方の厳しさにこそ、この作家の本領があるといえよう。美談に還元しえない重さ。この侍の時代を生きる、侍という存在が担う宿命的な厳しさである。
 「割を食う」にはそうした作者の思想性が現れているともいえるが、どちらかというと、これを含めた間の三編は、最初と最後の重すぎる物語に挟まれて、コミックリリーフ的な中和作用を担うものだろう。
 最後の「けだもの」。これがまた重い。腕利きの同心と頭の切れる非情の悪人との対決、といえばその通りである。多くの江戸捕り物物語に描かれた人気モチーフであろう。ここでも法と無法とのぶつかり合いは、手に汗握る緊迫感に満ちている。だが、池宮彰一郎の世界は、そこでありがちな、勧善懲悪、途中困難はあったとしても、予定調和的な大団円からは、はるかに遠いところにある。そしてその遠さの核心がやはり厳しさということではないか。リアルに学問的に詳述される拷問の酷さも、悪人が背負う過去の重さも、それを端的に示すものには違いあるまいが、真の厳しさは二人の熾烈な暗闘のはての、救いがたい闇の濃さにこそある。それは一面達成ではあっても、「受城異聞記」がそうであったように、やはりどうしようもない苦さを宿している。
 解説(菊池仁)は、この作品を称して、「作者のオリジナルシナリオで時代劇史上でも十指に入る名作『十三人の刺客』のもっていた面白さを彷彿させる」としている。最近リメイクも作られたこの映画、元の映画で私がはっきり覚えているのは、決死のプロジェクトを前に、不退転の覚悟ゆえに、あえて愛する家族を皆殺しにする侍の描写であった。それがまた、優しさの権化のような大坂志郎が演じるだけに、印象は強烈だった。「けだもの」を読んで、ああ、まさしくあれが池宮彰一郎であったか、といかにも腑に落ちた。恐ろしいものを背負い、見つめ続けている作家なのである。

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2011/05/18 18:01

投稿元:ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)
加賀前田の支藩、大聖寺七万石に下された非情の幕命。厳冬の北アルプスを越えて高山陣屋と故城の接収に向かった生駒弥八郎以下二十四名の運命は…。表題作ほか、勇将福島正則の一代記「絶塵の将」、お役目も家も捨て狡猾きわまる悪党を追う同心の執念を描く「けだもの」など全五篇を収録した珠玉の短篇集。