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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1999.10
- 出版社: 而立書房
- サイズ:20cm/109p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-88059-262-5
紙の本
ワーニャ伯父さん
1889年から90年にかけて書かれた喜劇「森の精」を、根本的に書き改めて誕生した「ワーニャ伯父さん」の英語版からの新訳版。東京・三百人劇場での劇団昴による1999年10月...
ワーニャ伯父さん
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商品説明
1889年から90年にかけて書かれた喜劇「森の精」を、根本的に書き改めて誕生した「ワーニャ伯父さん」の英語版からの新訳版。東京・三百人劇場での劇団昴による1999年10月15日〜11月3日の公演台本。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
絶望の救いとしての「忍耐」
2003/03/04 15:11
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投稿者:Helena - この投稿者のレビュー一覧を見る
チェーホフ、「ワーニャ伯父さん」『かもめ・ワーニャ伯父さん』新潮文庫
絶望からの救いとしての「忍耐」−−「ワーニャ伯父さん」で、チェーホフの思想は深まりを見せている。
「かもめ」に続くチェーホフの四大劇「ワーニャ伯父さん」を読みました。この戯曲では、「かもめ」では少し触れられていただけの「忍耐」というテーマが、より強く出されていると感じました。
恋も実らず、今までの自らの人生に失意を感じているワーニャ伯父さん。でもここでは、「かもめ」のトレープレフのように、自殺することすら許されない。
「悲劇は死ぬことにではなく生きることにある」というのが、この作品のテーマだろう。そして、どんなに絶望的な状況の中でも、生きていくしかない、その絶望に耐える「忍耐」こそが、絶望からの救いとなっていると主張しているように私は感じた。
最後のソーニャのせりふは、圧巻である。
「でも、仕方がないわ、生きていかなければ! (間)ね、ワーニャ伯父さん、生きていきましょうよ。長い、はてしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね。運命がわたしたちにくだす試みを、辛抱づよく、じっとこらえて行きましょうね。今のうちも、やがて年をとってからも、片時も休まずに、人のために働きましょうね。そして、やがてその時が来たら、素直に死んで行きましょうね。」新潮文庫版、192〜193頁。
この後のチェーホフの作品では、絶望を耐え忍ぶ忍耐が、次の世代の幸福につながるという「全人類的な幸福の祈願」に発展していくそうだ。
確かに、そうかもしれないが、厳しい現実直視の思想だと思った。
確かに、絶望のどん底にいるときには、何もできず、ただ、耐えるしか方途がないのかもしれない。けれど、その先に、自分の人生における幸福への道しるべが見えないとは……。
私自身、絶望に陥ったときのことを思い出した。その時にできたことは、ただ、耐えることだけであったかもしれない。下手な「夢」や「希望」を出されるよりも、チェーホフの描くソーニャやワーニャ伯父さんの方がリアルかもしれない。
しかし、絶望には近いものの、生きることを選んだ今の私にとっては、絶望からの脱出回路として「忍耐」が強調されてしまうと、どうしようもなく苦しくなってしまうのだ。