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紙の本
美しい生活、そして小市民的幸福への反発
2002/06/25 00:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会のマンションのてっぺん、小学生の女の子知世(ちせ)は、大好
きなおとうさんと二人暮らし。可愛く賢い主人公、かっこいい作家
のおとうさん。生活を彩るものは英国風の美しい品々。自由に都会
に生きる人々が、あるいは伝統的な家族の中に取り込まれた人々が
彼らを取り巻く。物語では、知世やおとうさん、彼らに関わる人々、
関わらない人々の織りなす人間模様が描かれる。
というような紹介では、まるで単に父と娘の「美しい生活」を延々
と描いただけという感じだが、この作品にはそれだけに留まらず、
チクリと刺す棘がところどころにある。それは、「平凡な幸せ」とで
もいうべきものを押しつけようとする世間に対する批判、反発であ
る。それは時として批判とか反発の域を越え、憎悪の段階にまで達
することがあるように私には感じられる。それがこの作品にしばし
ばうんざりする点でもあるし、また反対に無性に手に取ってみたく
なってしまう点でもある。
とは云っても、美しく楽しい生活を描いていることもまちがいない
ので、表紙絵を見て、この絵柄に感度がある人は、迷わず手を出す
べし。