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- カテゴリ:一般
- 発行年月:1997.11
- 出版社: 日本放送出版協会
- サイズ:16cm/279p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-14-084066-8
紙の本
マンガはなぜ面白いのか その表現と文法 (NHKライブラリー)
著者 夏目 房之介 (著)
ストーリーの面白さはもちろんのこと、描線、吹き出し、コマの構成や動きなど、マンガ家が考えだすアイディアの数々を紹介し、実は複雑な構造をもつマンガ表現を明快に解き明かす。【...
マンガはなぜ面白いのか その表現と文法 (NHKライブラリー)
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商品説明
ストーリーの面白さはもちろんのこと、描線、吹き出し、コマの構成や動きなど、マンガ家が考えだすアイディアの数々を紹介し、実は複雑な構造をもつマンガ表現を明快に解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
夏目 房之介
- 略歴
- 〈夏目房之介〉1950年東京都生まれ。青山学院大学文学部史学科卒業。漫画家、コラムニスト。著書に「夏目房之介の漫画学」「夏目房之介の学問」「デキゴトロジーイラストレイテッド」など。
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紙の本
読者にも作者にも、発見がある
2001/06/16 22:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る
期待通り、『夏目房之介の漫画学』よりもつっこんだ批評になっていて、僕はこちらのほうがずっとおもしろく、楽しい勉強になった。あちらは作品を元にしてマンガ評を語るものだったのに対し、こちらは著者のマンガ学とでもいったものの具体例として作品をあげる形式だったからだろう。
「線」と「コマ」を中心に、さらには「言葉」も含めた批評スタイルは、やはり自らもマンガを描いているという経験からくるものだけに説得力がある。しかもおもしろい。
ペン(線)の違いによる絵の印象の変化、コマによる時間的/空間的な操作、文字であり絵でもあるオノマトペ(擬音語/擬態語。ドアが閉まるときのバタンッとかいうやつ)、他にもここには書ききれないほど多くの「マンガ表現」が列挙、というより「抽出」され、わかりやすく解説されていく。
普段、僕らが読んでいるものは、実は驚くほど複雑な構造をもっている。とくに少女漫画は、欧米などではどう読み進めばいいのかもわからないらしい。
日本の読者にそれが可能なのは、小さな頃から慣れ親しみ、複雑な構造を無意識のうちに理解してしまっているからだ。身に染みついている。
だからマンガはいかに面白いことをやっているのか、効果は感じていたとしてもなぜそう感じるのか、そこになかなか気づけないしわからない。
夏目房之介はそれをひとつひとつ解きほぐし、僕らにわかるように平易な説明で、気づかせてくれる。おそらくは実作者でさえ、慣習と経験により無意識に使っているかもしれないそれら、マンガ表現とはどれほど奥が深いものであるかを教える。
マンガ好きであればもちろん、マンガのことはよく知らんという人でも、同じように発見があるに違いない。僕みたいにあまりマンガを読まない人間にとっても、これはマンガ評論として優れていて、かつ面白いということはわかる。
マンガはなぜ面白いのか。面白くするために、これだけの技法を開発し、発展をめざし、洗練させていこうとしているのだから、そりゃあ面白くもなるはずだわ。
数多の先人と、現在もなお試行錯誤をくりかえしている創作者たちに、感謝。
しかしゴルゴ13が泣きべそかいてる顔はものすごく変だった。
紙の本
マンガを面白く読むための本
2002/04/12 09:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段僕らは、どのようにマンガを読んでいるのだろうか。もしこう問われたとしたら、すぐには答えられないはず。昔から当たり前のように読んでいて、意識して読むことなどない、という人が意外と多いのではないだろうか。一体マンガはどのようにして作られ、何がマンガを形成しているのだろう。そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。この本をはじめて読んだとき、僕がマンガの面白さを半分も理解していなかったことを思い知らされた。いままでなんてもったいない読み方をしていたんだろう、と。
一般の人、と言い切ってしまうのはどうかと思うが、マンガを読んでいる大多数の人は、<マンガ>よりも<ストーリー>を重視して読んでいる。<マンガ>という土台のうえに乗っている<ストーリー>の優劣だけで、マンガそのものを評価している。しかし、それは間違っていると著者はいう。間違っているし、とてももったいない読み方なのだ、と。確かにストーリーは大事だ。しかし、ただ「面白い話」だけを読みたいのなら、別にマンガだけを読む必要はない。小説にだって、映画にだって、面白い話などいくらでもある。<ストーリー>を読むだけでは、マンガの真の面白さを理解したことにはならない。
そこで著者は、マンガを構成している要素を、描線、言葉、コマ、オノマトペ、形喩(これは著者が作った造語)などに分け、それがどのように作られ、そしてどのように発展してきたのかを詳しく説明する。
一番わかりやすい例として、どのマンガにも多用される「汗」という記号がある。人の顔にタラリと流れるあの汗ね。この「汗」、普段僕らがマンガを読んでいるときには気にもとめないのだが、実際にはマンガのなかで大きな役割を果たしていることがよくわかる。この本のなかで、汗がある絵と、汗が取り除かれた絵とが対比されるのだが、それがまた、印象が全然違うのだ。ただ「汗」という記号がひとつ、あるかないかだけで。他にも、同じ絵でも使うペンによってマンガはまったく違ってくるとか(ペンが何種類もあるって、知っていましたか?)コマの配置は読者にどういう効果を与えているのだとか、普段無意識に読んでいるマンガが、いかに複雑に出来ているかを教えてくれる。
この本を読めば、いままで以上にマンガを深く楽しく読めることになると思う。僕自身、これを読んで、マンガはストーリーを読むだけじゃない、ということに気づき、前に読んだマンガを読み返して、マンガの新たな面白さを再発見したのだった。