紙の本
これって森博嗣版アリスってわけじゃあないよね、でもいつの間にこんなに文章が上手に?
2002/12/13 19:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
森博嗣といえばVシリーズ、中でも小鳥遊練無が最高だと思うが、キャラクターはともかく人工世界の構築で、非凡さを見せてくれたのがこの本。改行の多い文章は、どこかルイス・キャロルのアリスの世界を連想させて、森博嗣はこんなに文章も上手だったんだと感心。何と言っても設定が上手。普通の未来ものならば、読みが浅いとか、未来はこんなに陳腐ではないはずとか文句が来るはずだが、百年間、時が停止していた世界が舞台というのだから、そういう批判はあたらない。さすが工学部の助教授。
22世紀、ナヴィの故障で困るサエバ・ミチルは出会った老人に案内され、見知らぬ宮殿へと導かれる。そこは女王の支配する死の無い世界だった。人工世界に密室殺人そして完全犯罪。神とは、人を裁く意味はという問題に正面から取り組み、神が支配する「死の無い世界」を違和感なく構築。ただし、世界の描写に力を注ぎ過ぎたせいか人間同士の関係には不満を感じる。覚え難い名前の登場人物がこれでもか、とばかり出てくるのにも閉口。でも主人公ミチルの苦悩は良く描けている。全体として神林長平を思わせるだけでも大成功かもしれない。
カバーデザインは鈴木成一デザイン室が担当。椎名誠の『にっぽん・海風魚旅』(講談社)でみせたほどの切れ味はないが、やはり上手。曼荼羅を思わせるようなカバー写真に森自身が触発された、という言葉には納得。驚くほどの作品を量産しながら、その水準を落とさない森もだが、鈴木成一の仕事にも注目していきたい。こんなふうに、本のデザインまで楽しもうと言う私は、傍からどう見えるのか、急に気になってきた。
紙の本
人間について考えさせられる・・・せつないミステリー
2000/09/12 01:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:村野松子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
楽園のような世界でも、殺人は起こるのか?
楽園と思っていたものは、本当に楽園なのだろうか?
読んでいて私も謎の世界に誘われたような気がした。
女王が統治するという国に迷い込んだ「僕」が、密室で起こった殺人事件の犯人を相棒と探す…
というようミステリー的な要素と、人の尊厳や心…という、心の奥底に何か響くような…
そういう複雑な気分が味わえる一冊だった。
どちらかといえば、SFチックな「オズの魔法使い」のような話。
過酷ですが…。
投稿元:
レビューを見る
百年シリーズ1
Wシリーズでこのシリーズに関連していることを知り急遽読み始める
読み終わってわからないことばかり。
ミチルはここに保管されなかったてこと?
マガタシキはデボウのお母さん?
続編読んだらわかるのかなぁ
投稿元:
レビューを見る
すご〜く摩訶不思議な世界へと誘ってくれます。面白かった!ホント不思議な穏やかさがある作品なんです。近未来の地球のどこかにある国というか町にたどり着いたサエバ・ミチル。ミチルのパートナーはロボットのロイディ。二人がたどり着いた、その桃源郷には「死」という概念がない。そこで起きた殺人事件を「殺人」ということで放っておけない現代人のミチル。事件を推理していきます。その殺人を密室にしたてるあたりが曲者森氏!だけどトリックとかはこれでいいのか?なんですけど(笑)、物語自体がとてもよく出来ているので、まっいいっか〜なんです。この桃源郷のことを思うと胸が締めつけられるような感じがします。こういう現代社会に毒されていない場所があってもいいですよね。私的にはバリのウブドの中にあるようにイメージしました。
投稿元:
レビューを見る
私は、勝手に『百年』シリーズと呼んでいます。
この作品の舞台は、今から100年ほど未来。
ジャーナリストのミチルは、ウォーカロン(ロボット)のロイディと共に、色々な面で不思議な国ルナティック・シティへと迷い込みます。そこで、2人は不可解な事件に巻き込まれるのですが……。
本の装丁が非常に美しい1冊です。
投稿元:
レビューを見る
見えているけど見えていない事にする。それを上手く利用した殺人事件。
今から100年後ぐらいの未来の話なのに、未来とは思えないところもあり。
死という言葉がない小さな街が舞台で、もどかしく感じる部分もありました。
投稿元:
レビューを見る
ミステリー、というカテゴリに分類するにはあまりにも叙情的。それでいて、SFっぽいところも。神様の意思と個・人の尊厳。人は高みに昇ろうとし、いつしか抜け出せない密室に閉じ込められていく。
S&Mシリーズとは一味違った森博嗣を楽しむことができますよ。
投稿元:
レビューを見る
まあ、よくできているけど…本当に既読ではないだろうか?~サエバ・ミチルが相棒のロイディと辿り着いた場所は、他から隔絶され、衛星の電波さえ届かない。迷子になった僕らに声を掛けたのはマイァ・ジュクという老人で、女王に会いに来た・神に導かれた・と門番に言えばルナティックシティという町に入れてもらえると言う。町は誰もが穏やかだが、違和感はある。人口は百五十名程度。歓迎されている中、デボウ・スホという女王の第一王子のジュラが女王の居室で首を絞められ、急いで冷凍という措置が施された。この町には警察もなく、人が死なないため、罰則さえない。犯人を追及しようともしないのだ。この町を先に訪れて牛飼いの手伝いをしているという日本人マノ・キョウヤの名前を聞いて衝撃に打たれる。僕を襲い、僕の恋人を殺した殺人鬼だ。最初に牧場に会いに行った時は、何食わぬ顔をしていたのに、二度目の訪問で何人も人を殺してきたことを女王の告白したけど、この地は楽園だと言う。嵐の夜、顔が光り、馬に乗った人物を目撃し、これこそが犯人だと確信したが、町の人は、そのことについて話してはいけないし、見てもいけないと言う。光る仮面の黒マントの人物が第一王子に手を掛けたに違いないのだが、マノに銃口を向けて復讐もできそうもない僕は女王が眠りにつくときに町を去ると決めたが、最後の晩餐の前に雷鳴とともにロイディに襲いかかる者が現れた…~読んだような気がするなぁ。まあ、全部読み終えたからどうでもいいけど。これがW・WWシリーズの素だね
投稿元:
レビューを見る
今年の秋から冬にかけて勃発した森先生の本を読もうキャンペーン期間中に読んだ作品です。いやー、久々にマジメに分厚い本を読んだ感じ。おもしろかったです。ロイディの不確定さが素敵ですね。そして様々なカラクリが素晴らしいなと。ただ、問題は分厚すぎることかと(そんな!)
投稿元:
レビューを見る
凄く装丁が好みな一冊でした。読んでの感想は、森先生らしい!という感じ。
何と言うか…私の脳が単純なせいなのか、未来っつーからなのか、るがるーと同じ味わいでした。切ないというか。素っ気ないというか。
結末が晴れないというか。
森作品の中で言うと、スカイ・クロラ系?結構難解なんだよね、私にとって。
それにしてもロイディを可愛い系のイメェジで設定してしまったからか、めっちゃ好き…。すごく可愛い!ウフフフ。
中々設定がすごくて、ちょっと消化不良かも。でも雰囲気を楽しむ点ではばっちりですよ!
投稿元:
レビューを見る
ミステリっぽくないミステリ。とりあえず主人公のことはわかったが、なかなか久しぶりにミステリ読むからか読み解きはきつかったんかね。しかし割と面白く、設定もまぁ無理のギリギリって感じではあるが、悪くなかった。
投稿元:
レビューを見る
ロイディかわいい。
「その世界に住むひとはどう考えるのか」というのがとても面白かった。世界が違えば常識も違うし、物事をどう見るかも変わってくるけれど、そういうことが本当に自然に描かれているのが好き。主人公の図書館へのリアクションみたいなエピソードだけでなく、ちょっとした言動にも現れていて、そういうさりげなさがいい。
ロイディかわいい。
投稿元:
レビューを見る
一冊目は最後のとあるどんでん返しに驚く。そして私は悔しがりました。いや、それもそれで美味しいところもあるが。
投稿元:
レビューを見る
前読んだお話の前のお話。読む順番を間違えた。この話によって主人公の正体が大体分かった。そしてロイディがやっぱり好きだ。
投稿元:
レビューを見る
初めて森博嗣作品読みました。おもしろくて切ない。死ぬことが永い眠りにつくことなら本当に死は恐くないんだろうなぁと。あんな場所に住んでいたら一生平和に過ごせるんだろうけどなんだかかわいそうだな。