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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.7
- 出版社: 祥伝社
- サイズ:20cm/306p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-396-63173-1
紙の本
歪んだ匣 オフィス・ミステリーズ
著者 永井 するみ (著)
事故、盗難、横領、ケンカ、そして殺人…。都心にそびえる二十八階建ての最先端ビル内で次々に起こる怪事件。日常の職場に潜む恐怖と危険を描いたアーバン・ミステリー。『小説NON...
歪んだ匣 オフィス・ミステリーズ
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商品説明
事故、盗難、横領、ケンカ、そして殺人…。都心にそびえる二十八階建ての最先端ビル内で次々に起こる怪事件。日常の職場に潜む恐怖と危険を描いたアーバン・ミステリー。『小説NON』掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
永井 するみ
- 略歴
- 〈永井するみ〉1961年東京都生まれ。東京芸術大学音楽学部中退、北海道大学農学部卒業。コンピュータ会社勤務を経て作家に。96年「隣人」で小説推理新人賞受賞。著書に「枯れ蔵」「樹縛」など。
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紙の本
すぐ側にある心の歪み…
2001/03/16 00:49
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投稿者:hide - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、都心にそびえる28階建てのインテリジェンスビルを舞台に、そこで起こる様々な事件を描く9編の短編集である。「重すぎて」では、不倫の結果起こってしまった転落死と意外な真相を、「歪んだ月」では恋愛問題と殺人を絡め、「ドラッグ・ストア」ではOLの陥った横領と万引きを描き、「ブラックボックス」では、OL転落死を掃除婦の手紙形式で綴る。また「ダブル・オリーブ」では強盗事件の意外な真相を、「幻の味」では見たことのないキャンディの謎を取り扱う。
それぞれの短編の結末は、非常に爽やかなものから、後味の悪いものまで様々である。爽やかなものには前作「ランチタイム・ブルー」に共通する非常に女性的で軽い雰囲気のある文章がマッチし、反対に文章力の高さが故に後味の悪さもまたずっしりと心に響く内容となっている。
本作の題名『歪んだ匣』は、作品の内容を見事に表している。「匣」はぴたりとふたの閉まったはこを意味する。そんな匣を体現し、作品の舞台となった高機能ビルは、技術の粋を集め、歪みなどあるはずもない。にも関わらず、そのビルを使用する人間の心模様が、そのビルを歪んだものへと変貌させてしまう。
しかし、本作に登場する人物たちが異常なわけではない。それぞれは普通の生活を送っており、我々とそう変わる部分はない。だが、ふとしたきっかけで、そしてふとした瞬間に本人すらも気づくことのない心の内の悪が表出したとき彼らは道を踏み外す。事故・殺人・盗難・ケンカ・横領。言葉にすればただの犯罪でしかないこれらの事件も、もしかしたら自分のすぐ側に、いや自分の中にも存在しているのかも知れない。