紙の本
「あちら」側をめぐって
2019/11/19 21:37
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投稿者:miyajun - この投稿者のレビュー一覧を見る
突然死んだ主人公の妻は「あちら」側。
これをめぐって、「こちら側」の主人公と死んだ妻の妹が日常と非日常をいきる。
著者は、この構図の書き手としては、有数。
紙の本
あたたかく、やさしく、どこかいやされる。
2001/03/22 03:57
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投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る
売れない翻訳家である主人公の心が、冬になると“冬眠”する義妹との生活や、彼が翻訳をてがけた乱暴であるが温かいアメリカ人との出会いによって解き放たれていく、という話である。
心の奥の方の、うまくいえない、こう何か足りないような、小説の中では“穴ぼこ”といわれる、きっと誰でも感じたことがある、欠落感のようなものと、向き合うことができる本である。この本が、直接埋めてくれる、という感じではない。だから、すこししんどくもなったりもする。しかし、読めば、どこかいやされた気がする。べたべたした優しさは全くなく、ただそばにいてくれるような、素っ気ない、静かな、それでいてとっても誠実な優しさにあふれている。あたたかい、霧のような雨の中を、傘も差さずにゆっくりと歩いていく、そんな感じがした。
紙の本
起伏なく終わってしまう
2018/07/07 11:03
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻玲子を事故で失ってしまうも、不倫の帰りであったということを知って悲しみを感じられなくなってしまった主人公圭司(周囲からは圭と呼ばれている。)。SAD患者で冬眠をするため面倒をみていた玲子の妹である耀子からは穴のないバランスの取れた人であると称されていた。やがて耀子に赤ちゃんができ、家族になってくれるよう頼まれる。圭は耀子の願いを受け入れ、引き続き面倒をみることとなった。また売れない翻訳家であった圭が、「って感じ」を口癖とする編集者からの小説の翻訳の仕事が大当たりし、その作家セイウチが来日する。粗暴なセイウチと打ち解けた圭はセイウチの別れて自殺した妻が小説の本当の作者であることを知ったものの、次回作を書くというセイウチにどこか期待感を持っていた。
本作は淡白で起伏がない純小説である。面白いかと問われるとyesとは答えづらい。淡々とした話に退屈さを感じてしまった。素材も特段優れたわけではないので、料理の仕方が問題というわけではないだろう。少なくとも理屈があるわけではない。
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一気に読んでしまわなければいけない作品だと思う。
考えてはいけない、感じなければいけない。
それを強要される作品だと思う。
自分の「穴」がなんなのか。
気づけて、それに目をそらさないで生きていける人は強いと途中思った。
最後までよんでそうじゃないのかもと感じた。
人が強く生きることとかってそーいうことではないのかもしれないと思った。
「いる」ということのすばらしさを感じる作品。
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作品の中のセリフ、「後悔や悲しみにおそわれたときは、40回まばたきをする」それですべては解決する!
40回のまばたき=うたたねって言う意味で、寝て忘れよう!!って
こと。 なんかステキ。
読み進めていくうちに味の出てくるすてきな本でした!
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『四十回のまばたき』
重松 清 (著)
耀子は、1980年代の冬を知らない。
耀子とは、主人公・圭司の妻・玲子の妹。
冬になると、毎年圭司たちのもとへやってくる。
それは・・・耀子は冬に「冬眠」をし、
その間を世話するために、だった。
妻は交通事故で亡くなり、
耀子は妊娠、圭司と家族になってほしいと言う。
アメリカ人作家セイウチとの出会い。
圭司は次第に、気づき始める・・・
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お気に入りの重松清さん。
しかし、この本は異色だ。重松作品とは思えない。
人間には、誰しも「穴ぼこ」が開いている。
完璧なんかじゃない。
みんなそうなのだから、落ち込むことはないんだ。
みんなそうなのだから、完璧でいなくていいんだ。
家庭・家族の姿についても問いかけてくる。
・・・重松作品??
今まで読んできた本とは全く異なる。
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“欠落感”を抱えて生きるすべての人へ、という見出しにつられて購入しました。誰の心にもあく穴ぼこ。その存在を再認識させてくれるお話です。
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とてもやさしいファンタジー。
「冬眠」してしまう女と、それを見守り続ける男。男に癒される、オットセイのような作家。
「僕はポストの様な存在でいたい」
その言葉の中に、忘れられてしまった大切なものが眠っている。
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流星ワゴンと同じ作者の本。淡白な主人公と事故で亡くなった妻、冬眠してしまう義妹、となんだか設定に無理があって、どうなるのかなと読み進めていくうちにあっさり終わってしまいました。もう少し変化を見たかったなーというわけで星は2つにしときます。
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デビュー直後くらいの作品ですね。これはちょっと主張したいものが理解できなかった。SF的な作品?です。
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?自分の翻訳は青春小説より電動泡立て器の取扱説明書を訳す方がふさわしい?と自嘲する主人公。でも、物語の最後に書き始める文章(=この作品そのもの?)はそんな無味乾燥なものとは違い、何とも言えない読後感があった。
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主人公は、別に特別な存在ではなくって、ただ単に自分が見えていなかっただけなのだ。何かの誤作動で心に巻かれていった薄皮に、気付かなかっただけなのだ。嗚呼、この無感動な男はあたしに似ている。あたしはポジティブ感情が少ないだけで、ネガティブ感情の表出は人一倍激しい訳だけれど。
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「四十回のまばたき」って、
口語英語で「うたた寝」って意味なんだって。
悩んだり、不安を抱えているときは、まばたきを四十回。
そうすればきっと気持ちが楽になる――
良くも悪くも「バランスが取れている」主人公の圭司。
一人ではバランスが取れなかった玲子。
屈託なく笑う裏に、深い辛さを抱える耀子。
孤独を表現できない“セイウチ”。
誰もが少しずつ哀しい。
男の人は、一緒にいられるだけで幸せなんだって聞いたことある。
でも、女はそうじゃない気がする。
相手のために何かしてあげられている、支えになれているって
そう感じることができないと不安になるんじゃないかなぁ。
玲子が圭じゃない人を求めたのは、
きっとそうして求められている自分を感じてバランスを取るためで、
ひいては圭とうまくやっていくためだったんじゃないかなぁ。
これは、重松清の初期の頃の小説。
重松清らしいテーマ(家族、友情、故郷なんか)っていうのは、
まだそんなに強くは出てきてなくって、なんだか新鮮だった。
でも、でも、ここから『エイジ』や『ビタミンF』に繋がるんだなって
確かに思った。
次は、新しい作品を読もうかな。
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かーーーー、だめだ。
いや、流星ワゴンはとってもよかった。
この人は女性を書かないほうがいいんじゃぁなかろうか…。
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重松清の作品の中でも重いほうだと私は思う。色んな人の色んな状況や真実みたいなのが重なったって苦しくなった。