- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.8
- 出版社: 石風社
- サイズ:19cm/278p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-88344-064-8
紙の本
ふしぎとうれしい
著者 長野 ヒデ子 (著)
使いこんだ布のようにやわらかな言葉が、人について、絵本について、いきいきと紡がれる。「生きのいいタイがはねている」ような、描く絵がもつ不思議そのままの魅力にあふれた、絵本...
ふしぎとうれしい
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
使いこんだ布のようにやわらかな言葉が、人について、絵本について、いきいきと紡がれる。「生きのいいタイがはねている」ような、描く絵がもつ不思議そのままの魅力にあふれた、絵本作家の初エッセイ集。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長野 ヒデ子
- 略歴
- 〈長野ヒデ子〉1941年愛媛県生まれ。絵本や挿し絵、紙芝居などの創作活動に従事。「おかあさんがおかあさんになった日」でサンケイ児童出版文化賞等を受賞。他の作品に「海をかえして」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
現在の日本女流絵本作家のトップランナーによる大らかでイキのいいエッセイ。新刊『おとうさんがおとうさんになった日』が話題ですね。
2002/07/29 19:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「100冊の本を出版しないと絵本作家として食っていけない」というのは、ある人気絵本シリーズを手がけた童話作家が少し前に漏らした言葉だが、今はどうだろう。子どもの本の作家の年収が150万円を切ったと言われたことがあったが、出版歴はあっても、同人誌しか発表の場がないという作家がほとんどという状況のなかで、食っていけるラインは100冊どころか、もっとシビアなことになっていると推察する。年収は、おそらく学生バイトに同じだろう。<あらしのよるに>シリーズの木村裕一&あべ弘士コンビ、<パムとケロ>シリーズの島田ゆかといった人たちは、砂浜で拾い上げた針のような存在なのだ。
そういう意味において、この長野ヒデ子さんという作家も砂浜の針のひとつであると言える。現れるとその場がパッと華やぐので、講演や絵本がらみのイベントとなると必ず担ぎ出される。愛らしく弾むような絵柄のままの人となりである。年に何冊もの出版をこなす売れっ子であるが、かといって数で勝負ということでは決してなくて、一定水準に達しない仕事は引き受けない。クオリティにこだわる絵本作家でもある。
「絵本なんて作家の名前を気にかけたことはない」「絵は見たことがあるかもしれない。でも、名前と作品が一致しない」といった人たちのために、作品を挙げておく。
『せとうちたいこさんデパートいきタイ』は日本絵本賞に輝いた代表作。愛媛の今治生れなのでタイのたいこさんというお茶目なキャラクターを作り出し、デパートの売場探検をさせたユニークな1冊だ。この<たいこさん>ものはシリーズで別巻も出ている。
『海をかえして!』は諫早湾の干拓事業に異を唱えた社会的メッセージ性の高い絵本で、別の作家が書いたムツゴロウ他の生き物たちのお話に絵をつけて話題になった。
『おかあさんがおかあさんになった日』は、自身の出産体験を振り返って作った絵本。サンケイ児童出版文化賞を受けているが、姉妹編『おとうさんがおとうさんになった日』が最近出たばかりで話題だ。お父さんたちの読み聞かせにぴったりな絵本。
このエッセイ集は、愛媛新聞での連載とさまざまな雑誌に発表されてきた文をまとめたもの。手がけた仕事についての報告や身辺雑記に加え、出会った人たちとの交流、子ども時代の追想、旅先での体験などを題材に、短めの文章が詰まっているので読みやすい。
きょうは肩の力を抜いて、誰か明るく元気な人の書いた文章に入り込んでひとときを過ごしたいというときにふさわしい。私が好きなのは、「トコトコ歩けば…」というエッセイだ。鎌倉の家の建て替えブームにより、素敵な蔵が取り壊されそうになるのを食い止めたいと市の景観課に相談に行くような人だから、フクロウが住む楠がある屋敷にブルドーザーが入っていたのを見つけて、じっとしていられない。またもや景観課に駆け込む。半ばあきれ顔の職員から鳥獣保護課を紹介される…。
実は私、長野先生の前の鎌倉の家に何回か仕事でお邪魔して、親しく話をさせていただく機会をもったことがある(自慢入る)。リビングのテーブルの上にいくつもしゃれた金魚鉢が置いてあって、そこにオタマジャクシが入っていた。カエルの卵を持っていた子どもたちに出くわし、どうせ育てられないだろうからともらいうけたそうだ。
オタマジャクシは息子が好きなので、何匹かもらい受けて東京に持ち帰ることにしたのだが、そのときに気づいた。金魚鉢は何とランプシェードだったのだ。見ると、家じゅうの明かりが電球むき出しになっていた。そういう人が書くエッセイだからして…。