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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.8
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/402p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-602765-8
紙の本
大いなる聴衆 (新潮ミステリー倶楽部)
著者 永井 するみ (著)
誘拐犯の目的は、カネではなかった。脅迫状には「ハンマークラヴィーアを弾け。しかも完璧に」。突然変更されたプログラム。紛糾する音楽祭。苦悩するピアニスト。札幌とロンドンを舞...
大いなる聴衆 (新潮ミステリー倶楽部)
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商品説明
誘拐犯の目的は、カネではなかった。脅迫状には「ハンマークラヴィーアを弾け。しかも完璧に」。突然変更されたプログラム。紛糾する音楽祭。苦悩するピアニスト。札幌とロンドンを舞台に華麗に展開する音楽ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
永井 するみ
- 略歴
- 〈永井するみ〉1961年東京都生まれ。北海道大学農学部卒業。96年「隣人」で第18回小説推理新人賞、「枯れ蔵」で第1回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞。著書に「樹縛」「ミレニアム」など。
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紙の本
大いなる聴衆
2000/12/28 17:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ハンマークラヴィーア。完璧な演奏をしろ」芸術を志した人全てに、いやむしろ芸術を志さなかった人全てのために、作者はこの物語を用意したのかもしれない。
金ではなく、ベートーヴェンの難曲を要求する誘拐犯の目的は一体何なのか。それを巡る登場人物の視線は、不協和音のようにどこまでも混じり合わず、錯綜する。ある者は真相を渇望し、ある者は真相に背を向け、またある者は真相に失望しながら、回を重ねるごとに、耐え難い緊張感を増すシリーズコンサート。
そして物語は、フォルテピアノの低音が、雷鳴のごとき轟きを上げる最終楽章へと一気に突き進む。その悲劇的な緊張のなか、一つ、また一つ、と乾いた砂壁がはがれ落ちるように真相が明らかにされる様には、息すら詰まる思いである。物語が終わり、本を閉じたときそこにあるのは、書く者と読む者、弾く者と聞く者がシンクロして作り出した、何物にも代え難い余韻といえるだろう。
紙の本
読みながら「ハンマークラヴィーア」のCDを探し、ないとわかったら買いに走った
2001/11/20 20:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:密偵おまさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井するみは、「樹縛」を読んで、わたしの中では注目の作家にランクインしていた。この「大いなる聴衆」も、まったく違った世界を舞台に、でも人間の心のひだを見事に描いているという点で、読む前の期待を上回るものがあった。
ベートーヴェンのピアノソナタの中でも難曲といわれる“ハンマークラヴィーア”。その細部にわたる描写を読んでいるうちに、どうしてもこの曲が聴きたくなったので、我が家のCDをひっくり返したが、発見できず…。読み終わってすぐに、CDショップに走った。
音楽祭の運営に関するもろもろや、“音楽学”という普通の人にはご縁があまりない学問も含め、業界ものとしても、よく書けているのではないだろうか? さらに、その舞台裏でうごめく人間模様が見事にからみあって…。ミステリーファンはもちろん、音楽ファンにもオススメの1冊だ。
紙の本
ミステリーコーナーより
2001/01/18 21:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:香山二三郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本初の農業ミステリー「枯れ蔵」(新潮文庫)からコンピュータの2000年問題を扱った業界ミステリー「ミレニアム」(双葉社)まで多彩な題材を駆使する著者が、さらなる得意ジャンルを活かし新境地をひらいた。
オペラ歌手の卵、東畑ミカリがロンドンで何者かに拉致、監禁された頃、日本でも異変が起きていた。「魂のマニエラ」と謳われるピアニスト安積界も、招かれた札幌音楽祭で曲目を急にベートーベンのピアノソナタ「ハンマークラヴィーア」に変更したあげく、演奏も散々な出来に終わったのだ。彼の大学時代の友人でもあるプロデューサーの千堂紫はその突然の変貌ぶりに愕然とするが……。
界の苦悩の裏にあるものは果たして何か。
楽曲と錯綜する人間関係の謎。著者はロンドン・札幌を舞台に、音楽界の醜い内幕と芸術が孕む残酷な真実を鮮やかに浮き彫りにしてみせる。誘拐サスペンスと音楽ミステリーの華麗なる協奏曲ともいうべき注目の力作だ。