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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.3 93件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.8
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/267p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-590019-6

紙の本

停電の夜に (Crest books)

著者 ジュンパ・ラヒリ (著),小川 高義 (訳)

ロウソクの灯されたキッチンで、停電の夜ごと秘密を打ち明けあう若い夫婦−。ボストンとカルカッタを舞台にコミカルで切ない日常のドラマを繊細な筆致で描く。ピュリツァー賞ほか受賞...

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停電の夜に (Crest books)

税込 2,090 19pt

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商品説明

ロウソクの灯されたキッチンで、停電の夜ごと秘密を打ち明けあう若い夫婦−。ボストンとカルカッタを舞台にコミカルで切ない日常のドラマを繊細な筆致で描く。ピュリツァー賞ほか受賞。インド系作家の全9篇。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

停電の夜に 5-32
ピルザダさんが食事に来たころ 33-58
病気の通訳 59-92

著者紹介

ジュンパ・ラヒリ

略歴
〈ラヒリ〉1967年ロンドン生まれ。99年「病気の通訳」でO・ヘンリー賞受賞。同作収録のデビュー短篇集「停電の夜に」でPEN/ヘミングウェイ賞、ピュリツァー賞ほかを独占。

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みんなのレビュー93件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

「異文化交流」

2010/02/01 16:29

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yuki-chi - この投稿者のレビュー一覧を見る

インド系アメリカ人を描いた9つの短編。

主人公たちは、アメリカで生活しながらも心の奥ではいつもはるか遠い故郷やそこにいる人を思っている。
しかし、目の前にいる夫や妻や恋人とは、心が思うように通わず違和感を感じている。

「男女の出会いもまた理解と誤解が交錯する異文化の接触」なのである。

「異文化」であるからこそ、たまらなく惹かれ、憧れ、近づきたくなるのだが、いざ、接触し生活を共有するとなると、あちこちに歪が生ずるものである。

移民の彼らの故郷を思う心が、現実を生きる源ともなりそれぞれを支えているように、誰しもそんな自己アイデンティティが心の拠り所となって生きているのではなかろうか・・。


そんな何気ない日常を切り取って描かれている。
映画を見るようにリアルになめらかに流れていく物語。
軽やかな文体であるが、
時折、その人物の思いや生きる姿に心をふっとつかまれる。

そして、多くを語らずストンと幕を降ろし、
悲哀ともなんとも言えぬ余韻を残したエンディングが最高。



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紙の本

すれ違いの文学

2016/09/24 22:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジュンパ・ラヒリさんのデビュー作です。

最初は「記憶に残っていること」に収録されている「ピルサダさんが食事に来たころ」をきっかけにこの作家さんを知り、生まれが違う人々の何気ないくらしの機微を描写するのがうまいなと感じました。

本作を読んでその印象はより強くなり、最後の短編を読み終わった後には温かい飲み物を飲んだ後のようなじんわりとした感動を覚えました。

しかし、ただの感動物語ではありません。収録された作品の大半は決してハッピーエンドと言えない結末を迎えることになります。ただし、それこそがありのままのくらしを描いたといえるような気がします。文化圏の違う人同士の言葉のずれ、生活習慣のずれ、そして心のずれが静かに淡々と描かれていて、引き込まれました。

最後の短編「三度目で最後の大陸」の主人公はインドを離れてアメリカに移り住んだ生涯を淡々と語っています。新天地で平穏に暮らすことの感慨を振り返った最後の文章には心を掴まれました。

ぜひ一読を。

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紙の本

重厚で読みごたえのある本!

2002/07/30 15:00

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る

インド系の新人作家のデビュー短編集。
ピュリツァー賞、О・ヘンリー賞、ヘミングウェイ賞などを受賞
しているモノスゴイ作品なのです。

収録されているのは9つの短編。どれも文化的背景などの違いを
乗り越えて、人間の本質を鋭く書きだしている作品ばかりです。
では、例によって特に印象に残った作品を…。

「停電の夜に」
徐々に生活がすれ違いはじめている若い夫婦の住む地域が、5日間
夜の8時から1時間だけ停電になる。思い掛けない停電のおかげで
ふたりは、久しぶりにロウソクの光の元、向かい合って食事をし、
少しずつ打ち明け話を重ねていく。そして最後の5日目の夜の
打ち明け話とは…。
1度壊れてしまった人間関係の修復というのは、とても難しいです
よね。少しづつ距離を縮めていくように見える二人の間には、やは
り目には見えないけれど、深い溝が出来てしまっているものです。
これって男の人が読むと「女って怖いなあ…」と思うお話しかも、
知れませんね。

「病気の通訳」
この短編集の中で、いちばん心に残った作品です。アメリカで出版
されたときには、この作品が表題作になっていたそうです。
アメリカからインドに観光旅行にやって来た家族を、ガイドする事
になった男のモノローグ。年を重ねるごとに徐々に若かったころの
夢を忘れかけていた男が、観光客の夫人のたった一言で、自分を
見つめ直し、新しいささやかな夢を見るが、やはりいつもの日常へ
と、生活は続いていくのです。かなり切ないお話しなのですが、
その分とっても胸に迫ります。年を重ねていくごとに、諦めなくて
はいけないことが、増えていくのは当たり前のことですが(もちろ
んその逆もある)こう言うふうに現実を突きつけられるとねえ…。

著者がインド系ということもあって、インドや他国で暮らすインド
系の人びとの話ばかりなのですが、どんな国の人でも、人間の根源
的な所は似ているんだなあ…、としみじみ思いました。女性が主人
公になっている作品が多いので、余計に共感するところが多いのか
もしれません。文章を、味わいながらジックリ読みたい作品です。
まったくの余談なのですが、著者の写真を見ると、かなりの美人で
す。才色兼備ですなあ…。もっともアメリカでは、著者の写真が、
本の売上に影響することが多いと聞いたことがありますから(日本
も?)、選びに選び抜いた写真なのでしょうか…(笑)?

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紙の本

何度でも読み返したい

2001/06/21 15:50

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かもめ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカで暮らすインド系移民の人々の物語。
 同じ場所と時間を共有しながら、心はいつのまにか遠く隔たってしまう夫婦を描いた表題作を皮切りに、二つの文化のあいだを行き来しつつ生き方を見出していく人の姿を、ユーモラスに、あたたかくみつめます。作品の配列など、隅々まで作者の心が行きとどいた美しい短編集です。
 最後の作品「三度目で最後の大陸」のなかで、一見何の共通点もない、インドからはるばるやってきた若い花嫁と百歳のアメリカ人老女が出会い、現実の遙かな旅路と長い時間の旅路とが寄り添う瞬間が、たまらなく好きです。

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紙の本

「恋愛」よりも「夫婦」という男女の関係にのぞく感情のきしみをうまく切りとって見せるセンスに好感。ピュリツァー賞ほか全米で高い評価。著者近影「美人」にて必見。

2001/06/22 11:59

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1967年生まれの高学歴の女性が作者。両親ともにベンガル人だが、彼女はずっとアメリカの東部で二世として暮らしてきて、この短篇集で新人としては出来すぎの高い評価を受けた。
 小さな顔写真を見ると、美人。表情豊かでチャーミングそうな人である。

 舞台は米国であったりインドであったりするが、インド(ベンガル)の文化をベースに持つ人たちの生活者の視点がどの作品にもある。だがしかし、その視点は、高学歴の若い夫婦だったり、多感な少女だったり、しがない中年男性だったり、過去の栄光にすがる老婆だったり、彼女の父を思わせる年配の男性だったりする。

 純粋な小説の楽しみ方ではないかもしれないけれど、この美しい女性の生活体験や日ごろ考えていることが、あちこちにちらほらするように思えるとき、作者のニューヨークにおける生活のスタイルを想像してみたりする。そんな楽しみもある。

 登場人物の性や年齢や職業はちがっていても、共通の何かがそこに漂う。端的なところ、それがインド人としての生活様式なのかもしれない。表紙の写真も、インド料理のスパイスがきれいに並んだおり、それをさりげなく意識させる作りになっている。普遍的な人間関係のありようを独自のセンスで切りとって見せてくれ、その見事さに感心させられてしまうのだけれど、そこにさらに濃い陰翳をつくって読み手を深いところに運んでくれるのが、そのインドの雰囲気なのかもしれない。

 余談だが、世界のどの国へ行っても、自分たちの文化を大切に生きるインド人や中国人やユダヤ人、そこから新しい小説や芸術をクリエイトしていく民族に私は敬意を持っている。

 所収されている9編とも、大切に言葉を紡がれた小説というイメージで味わい深いけれども、なかでも表題作「停電の夜に」と最後の「三度目で最後の大陸」が印象深い。

 夜間1時間ずつ停電になる措置が5日間だけ続くことになった。それ以前に大きな悲しみを経験して関係がぎくしゃくし始めていた夫婦が、秘密にしていたことをその時間に話してみようとゲームを始める。
 最後の日、妻から告げられた意外な秘密を聞いた男は、愛するがゆえにそれまで秘密にしていた事実を勢いで告げる。人間として絶対に伝えてはならないような内容である。「停電の夜に」は人間の中に表裏一体にして在る感情の空恐ろしさを取りだして見せてくれる。

 「三度目で最後の大陸」は訳者もずっしりとした感慨が残ると絶賛している。他の短篇とちがって30年の時の流れというものが、移民男性のひとり語りとして描かれている。結びの数行で、生活者の力強く前向きな意志が書かれていて、胸に清涼なものがいっぱい満ちていく気がした。
 そして、この最後の短篇に漂う時間の流れに対する哀感は、彼女がいつか見事な長編を書くに違いないという期待につながる。

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紙の本

インドが舞台だと何かが起こる何かが起こらざるを得ない

2020/11/26 15:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジュンパ・ラヒリはインド系アメリカ人だ。この短編集にはインド系アメリカ人が数多く登場するし、まったくアメリカとは関わらずインドだけを舞台にした2篇「本物の門番」「ビビ・ハルダーの治療」もある。インドに住んだことがないという彼女なのだが、ことさらにインド人、インド系ということが主張されるのではなく、さりげなくキリスト教社会であるアメリカに暮らす戸惑いや悲哀が醸し出される作品に出合うことができる。中でも私が好きだったのは「三度目で最後の大陸」で、親類から勧められた好きでもらったわけでもない奥さんと長い間、連れ添うことになった経緯を描いたものであったが、静かにこころに染みる、温かな作品だ。もちろん、悲しい予想外の結末が待っている「停電の夜に」も好きだ

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紙の本

珠玉の名作

2016/10/26 17:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:390 - この投稿者のレビュー一覧を見る

表題のデビュー作を含む9つの短編集。作者の瑞々しい感性や言葉選びが素晴らしく爽やか。訳者によるあとがき同様、私も9編目の『3度目で第3の大陸』がとても好きだ。『本物の門番』も切ないのに、柔らかな情景が浮かび上がる。珠玉の名作。

文庫版も出ているが、個人的にはこの単行本版を薦めたい。装丁が美しい!

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紙の本

知的中流階級に属する移住者の悲哀

2000/09/26 13:31

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この短編集は、イギリス生まれアメリカ育ちのインド人二世女流新人作家の手になる9編の短編からなっており、この9編のうち6編はアメリカに移り住んできたインド人家庭を舞台とし、他の3編はインドが舞台となっている(ただし、1編についてはアメリカ系インド人夫婦の旅行者を描いている)。
 このうち、やはりラヒリの筆捌きが冴えるのは、「アメリカにおけるインド人家庭」を巡る6編であると思う。これらの作品の底流に流れるのは、「移住者」としての寂寞感、寂寥感である。この6編はどれも良いのだけれど、その内、特に感銘を覚えたのは、「セン夫人の家」と「三度目で最後の大陸」である。
 前者は、アメリカに赴任してきたインド人大学教授夫婦の家に放課後預けられるアメリカ人母子家庭の少年と大学教授夫人の心の揺れを描いた作品、後者は、インドで結婚したものの極めて短い結婚生活しか営んでいない、アメリカの大学図書館に勤務する青年が、徐々にアメリカと、そしてよそよそしい関係であった妻と「なじんで」行く様を描いており、いずれも知的中流階級に属する移住者の悲哀をひしひしと感じさせる。
 ただ、これらの作品を読み進むうち、「どっかで読んだような」デジャブ感を覚えた。はたと気づいたのは、数学者でありエッセイストである藤原正彦氏の作品『若き数学者のアメリカ』と『遥かなるケンブリッジ』である。これらのエッセイは、藤原氏がアメリカ及びイギリスで、数学者として在外研究に従事している日々を綴ったものであるが、「移住者」のひりひりとする疎外感が、ラヒリの作品の「インド人」達にそれと通じるものがあるのだろう。
 しかし、ラヒリ自身は、恐らく完全に「インド系アメリカ人」であろうと思われるのに、移住者の感覚を描き切ることができるのは、彼女の血のなせる技なのか、彼女の才能というべきか、疑問の残るところではある。

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紙の本

不思議な肌合いの、でも癖になる短編集

2001/11/20 21:44

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:密偵おまさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本のタイトルにもなっている「停電の夜に」をはじめとする、9篇の短編が収められている。まずは「停電の夜に」というタイトルにとても惹かれるものを感じ、インド系の作家の小説を読んだことがなかったので、興味しんしんで読み始めた。
 どの作品も、どこか切ない空気が漂っていて、心に沁みてくる。登場人物も、舞台設定も非常に限られているのだが、その中に凝縮された濃密な世界がある。それぞれの作品は、読み終わった後、「彼らはどうなるのだろう?」という余韻が心に広がってくる。きっと、読むたびに自分の中で違った印象を味わうことができそうな気がする。
 わたしにとっては、不思議な肌合いの、でもまた、折に触れて読んでみようと思える、“癖になる”短編集だった。

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紙の本

繊細な文章

2001/02/14 12:01

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コスチュームさん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 よい映画を見ているようなそんな感じがした。それは、あとから、映像としてふっと頭に浮かんでくるのだ。
 インドから留学にきた青年が、ある風変わりなおばあさんの家に居候する話。夕暮れの家の様子が文章からすっと頭の中に描かれる。ジュンパ・ラヒリは、イギリス育ちのインド人。そのためか、移民の抱える心の不安が描かれている。それは、知らぬ遠い祖国をおもいながら、現況にも対応できない、居場所のないさびしさ。そして、スリルのある人間同士の関係。
 ふっと心をつかまれる、とても繊細な一冊だ。

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紙の本

もったいなくて、先を急いで読みたくない本

2000/12/14 21:15

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:坂口緑 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ラヒリのこのデビュー短編集は、とにかく絶賛を浴びている。アメリカではたくさんの賞を受けているし、日本でも翻訳が出たとたん、多くの新聞や雑誌で取りあげられた。文学好きの友人に、熱心に勧められた人も少なくないはずだ。私自身もそうだった。本好きの友人たちに、何度か、読んだ?と尋ねられた。けれども、長い間、まだ、と答えていた。

 ラヒリの存在自体はずっと気になっていた。昨年、『ニューヨーカー』に原文が掲載されていたのを目にしていたし、The Best American Short Storiesに選ばれたのも知っていた。そしてついに今年の夏、小川高義訳で出版されたのを知り、読んでみようと心に決めていた。けれども、多くの著名人がこぞって褒め称えるのを見聞きしながらも、まあいいか、もう少し落ちついたら読もう、などと言って、のばしのばしにしてきた。

 そして晩秋。本書をやっと手に取り、読み始めた。その途端、私はほんとうにびっくりした。もったいなくて、先を急いで読みたくないと思ったのは、久しぶりの感覚だった。それくらい、とてもいい。表題作の「停電の夜に」、原題になった「病気の通訳」。もちろん、どちらも素晴らしい。けれども、もしあなたがラヒリと同じ30代の女性だったら、「セクシー」から読み始めてはどうだろう。

 混み合うデパートの化粧品売場で見かけた、見ず知らずの男。冬のボストン。その男をもっと見ていたいというだけで、店員のセールスを熱心に聞き入る主人公、ミランダ。男は、妻の化粧品を選んでいる。妻がインドに里帰りするのだという。男はミランダにそう言って、見え見えの誘い文句を並べてくる。それでもミランダは、狭いアパートに彼を招き入れ、日曜日ごとに、彼好みのパンやトルテを用意する。なぜなら、「高校でつきあった男の子をそのまま大きく重くした」のではなく、「いつでも勘定を引き受けてくれて、ドアを押さえてくれて、テーブル越しに手をとってキス」をするのも、「六個のグラスを総動員しないと入れられないような花束を持ってきたのも、高まっていきながら彼女の名前を何度でもささやきつづけるのも、彼が初めて」だったから。

 著者ラヒリは、始まった途端、終息に向かうようなふたりの関係を、ミランダの同僚ラクシュミのいとこ夫婦の破局に並行させて描く。そうすることで、雑誌によく載っている典型的な不倫と、テレビ番組でよく披露されるありきたりな離婚とを、非凡な方法で抽出する。

 物語の最後、男からの電話を避け、ミランダは日曜日の早朝、散歩に出る。思い出の場所をずんずん通り越して歩き続ける彼女は、やがて、いつだか男に「君はセクシーだ」とささやかれたことのある、大きな教会の前に出る。彼女は教会前のベンチに坐り、温かいコーヒーを飲み、列柱とドームと青空を見上げる。そんなミランダの姿に、私たちは、フィルターが突然はずされたように景色がくっきりと見えてくる、あの、恋が終わる瞬間を思い出す。夢見がちで軽率な恋が、どんな結末をもたらすかを知っている30代の私たちは。 (bk1ブックナビゲーター:坂口緑大学講師 2000.12.15)

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2004/10/02 15:53

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2004/10/08 22:42

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2005/05/17 17:37

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2005/08/18 08:43

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