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商品説明
社会のあらゆる細部から噴出する自民族中心主義の悪煽動。人々を日常不断に取り巻く「空気」のようなものとなった「閉鎖的なナショナリズム」の言動と相対し、その「解体」をめざした5年間の発言をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
太田 昌国
- 略歴
- 〈太田昌国〉1943年釧路市生まれ。現代企画室勤務のかたわら、南北問題・民族問題の研究に従事。著書に「鏡のなかの帝国」「「ペルー人質事件」解読のための21章」など。
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紙の本
オヤジの床屋談義
2000/10/17 01:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中宮崇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の太田昌国と私は、同じ北海道の釧路市出身である。だからこそ私は、太田の北海道人的「心やさしき迷惑オヤジ」としての姿勢に幾ばくかの理解を示してしまうという自分の甘さに苛立ちを覚える。
96年のペルー大使公邸人質事件に際して、無残に殺害された犯人たちのテレビ画像を見てシンパシーを覚える一方で、数ヶ月にわたって自由を奪われ絶えざる恐怖と緊張の下に置かれ続けていた人質たちについては、おそらく映像化されなかったゆえに無頓着でいられる太田の感性は、まさに、北海道の片田舎で酪農でもしている気のいいオヤジそのものである。
本書は、そんな太田の、96年ごろから最近までの社会的発言をまとめたものであるが、オウムの麻原を擁護し、ガイドライン法を「戦争法」と罵り、ラテンアメリカの貧農に涙する太田は、本当の意味で心優しきオヤジなのであろう。彼の単純極まりない精神には、一点の曇りもないに違いない。
フジモリ大統領による人質事件の武力解決について「ペルー人の心に傷跡となって残るだろう」などと、今読み返せば笑うしかない97年当時の戯言を、恥ずかしげもなく収録することができるという一点を見るだけでも、オヤジ太田の誠実さと気のよさを疑う理由は何もないのである。
太田のような「気のいいオヤジ」が社会の前面に出てくることは、大衆にとって迷惑以外の何物でもない。しかし日本社会は、彼のような純朴なオヤジの床屋談義を受け入れる寛容さを今後も失ってはならない。
(中宮崇/海坊主)