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霊長類生態学 環境と行動のダイナミズム
著者 杉山 幸丸 (編著)
どんな複雑な社会も、自然環境と無縁ではない。例えば、サルたちは様々な生物的・非生物的環境とどのように関わりながら暮らしているのだろうか。「社会」から「生態」へ。サル学の新...
霊長類生態学 環境と行動のダイナミズム
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商品説明
どんな複雑な社会も、自然環境と無縁ではない。例えば、サルたちは様々な生物的・非生物的環境とどのように関わりながら暮らしているのだろうか。「社会」から「生態」へ。サル学の新たな展開を示す論文集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
霊長類の野外研究で、いま何が問題になっているか | 杉山幸丸 著 | 1-14 |
---|---|---|
熱帯林と霊長類群集 | 三谷雅純 著 | 15-36 |
ホホジロマンガベイの採食行動と果実食ギルドにおける地位 | 丸橋珠樹 著 | 37-60 |
著者紹介
杉山 幸丸
- 略歴
- 〈杉山幸丸〉京都大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。現在、同大学名誉教授、東海学園大学人文学部長。著書に「サルの生き方・ヒトの生き方」がある。
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フィールド調査の成果を踏まえ,生態と行動に焦点を当てたサル学の集大成。多様なサル社会を紹介。
2001/01/10 21:15
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投稿者:高山 博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生態学の研究成果は一朝一夕で得ることはできず,何年もの間,研究対象とする生物を追い続けなくてはならない。霊長類研究も例外ではなく,ある事象が解明されればそれだけ,新たな謎が出てくる。気の遠くなるような作業であることは想像に難くないが,わが国の霊長類研究は世界をリードしている。特に,京都大学のグループは不動の地位にあり,その中でもいくつもの研究グループに分かれ,各々研究を行っている。ここで取り上げる本書は,犬山の地を拠点に活動する研究者達の成果を集めた専門書である。サル学の研究では,行動社会学の観点で展開されたものが多かったが,近年では生態学的アプローチで行われる例が散見される。本書は個体群・群集生態学の知見を網羅し,この種の書物が皆無であったことを考えると,非常に意義深く,瞠目に値する。
20名を超える研究者によって執筆された本書は5部構成で,序章を含め20章から成る。まず,霊長類の野外研究に当たって,現在,何が問題であり,今後の研究のあり方を問う。全編を通じて分かることだが,サルの野外研究を生物学の中に組み入れるための努力が続けられている。従来はヒトへの進化の過程,人間社会の形成との関連で研究されていただけに,ここで示されているアプローチは斬新である。
第1部では熱帯林の群集と題し,同じ場所でどのように共存し,暮らしが成り立っているのかを考える。種によって生活が大きく異なる点を描写する。大型類人猿の自己治療行動など,興味深いテーマが取り上げられる。第2部はサルを取り巻く環境に,どのように適応しているかを探る。ひなたぼっこをするサル,里に生きるサルなど,賢い生き方を見つめる。第3部では子孫を残すための戦略を眺め、第4部でサルの社会が多様化した背景を考える。比較生態学や個体と群れの関係など,多角的に捉える。第5部で日本のサル学の過去・現在・未来を眺望し,先人達の業績をひもときながら,霊長類生態学のさらなる可能性を模索する。
(C) ブッククレビュー社 2000