- カテゴリ:一般
- 発行年月:2000.7
- 出版社: 二見書房
- サイズ:18cm/163p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-576-00572-3
紙の本
漫画嫌い 枡野浩一の漫画評(朝日新聞1998〜2000)
朝日新聞、毎日新聞、NHKテレビでおなじみの人気歌人・枡野浩一が愛と憎しみをこめて、漫画嫌いのあなたに力強くおすすめする作品群。朝日新聞の漫画紹介コラム、雑誌、ムックなど...
漫画嫌い 枡野浩一の漫画評(朝日新聞1998〜2000)
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商品説明
朝日新聞、毎日新聞、NHKテレビでおなじみの人気歌人・枡野浩一が愛と憎しみをこめて、漫画嫌いのあなたに力強くおすすめする作品群。朝日新聞の漫画紹介コラム、雑誌、ムックなどに掲載の原稿をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
枡野浩一的な漫画ガイドブック
2002/04/14 19:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鴇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歌人・枡野浩一の漫画評…というよりは漫画紹介である。「この漫画がすげえ。一緒に感動しようぜ」、とこんな感じのノリで紹介されている。漫画の素晴らしさを読者と分かち合おうと言う意気込みが伝わってくる!
この『漫画嫌い』で取り上げられている作品は、基本的な漫画である。マニアな作品はまったくと言っていいほど紹介されていない。20歳でようやくマンガを読み始めたという枡野浩一のセレクションは、プロ的、というか王道という感じだ。いや、それが枡野浩一の味なのだろうか。
取り上げられている作家を挙げてみよう。くらもちふさこ・さそうあきら・町田ひらく・谷口ジロー・土田世紀・小野塚カホリ・鴨居まさね・安彦麻里絵・南Q太・入江紀子・かわかみじゅんこ・大島弓子・山田芳裕…。とにかく、どれもこれも、枡野浩一のレビューが魅力的である。漫画入門だな、これは。漫画嫌いな人にこそお勧め。
紙の本
漫画嫌いとおっしゃいますが
2002/10/11 04:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃりン子@チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「20才でようやく漫画を読み始めた」とか言ってるけど枡野浩一は多分相当なマンガ読みだ。本文、一人の作家につき、一冊の本を紹介、と言うスタイルで三原順には「X・day」だったり、おかざき真里には「シャッター・ラブ」。直球と思わせておきながら、実は…なセレクト。何より的外れなことが書いてない。じゃあなんでマンガ読み素人を装って書かれているんだろう。なんで「漫画嫌い」なんてタイトルなんだろう。それはきっと、この本に世間一般の「漫画好き」に対する皮肉がこめられているからだ。
枡野浩一は全く難解な言葉を使わないし、自分の思ったこと、感じたことしか書かない。しかしだからこそ、彼が自分が面白いと思うものを自信を持ってセレクトしている実感が、こちらに明確に伝わってくる。つまらないレトリックを駆使せずに対象に向き合っている様子は真摯だ。まあ、どうでもいいようなことも書いてはあるが。南Q太(現在はこの二人夫婦に!! びっくりした)に愛故にイヤミを言ってしまった話とか。一方で、枡野浩一と感性が合致しない人にとっては彼の批評は意味がない、という気もする。しかし、この本に登場する作家の3人ぐらいあらかじめ知っていてなおかつ好き、な人は登場する他の作家に手を出しても損しないはずだ。
で、なんでこの本が漫画好きに対する皮肉かというと、ここに出てくる描き手が、多く現場で第一線で活躍しながら、ほとんど論じられることのない作家だからだ。入江紀子、鴨居まさね、かわかみじゅんこなんてものすごく多くの読者の需要を満たしているのに、いわゆる識者やおたく(もちろん私もだけど)は取り上げない。最も、論じる技量がないというのが一番の理由かもしれないが。しかし、評論の存在価値のかなりの部分が「いいものを多くの人に届けるための案内」であることを考えると、多くの漫画評論はあまりに狭義だ。そういう意味で、この本は漫画批評の世界で論じることをサボられていた作家が集まっている、という面もあったりする。三原順とか山田芳裕とか小池田マヤとか、特に。
「普段は活字本ばかり読んでいて、漫画本をここ数年手にしていないという人には、ぜひとも本書を参考にしてみてほしいと、祈るような呪うような気持ちで加筆訂正しました。買ってください」という言葉からは、自分のセレクトに関する自信と、漫画好きを標榜しているくせに、漫画をきちんと読んでいない人々への嫌味が込められているのではないか。のんびりとした文章と装丁の割になかなか挑戦的な本だと思う。もちろん漫画ガイドとしても有効。文章全体も読み応えがある。既知の作品が多くて、ガイドとしては個人的に高い評価をつけてないけど。
気に入った人には「君の鳥は歌を歌える」もおすすめ。これも尊敬と悪ふざけに溢れた批評と、丁寧な文章だからこそ引き立つささやかな悪意がたまらない本
(あ、おかざき真里と枡野浩一は仕事仲間だった。そういえば、「シャッター・ラブ」には「ドレミふぁんくしょんドロップ」からの引用があった…。忘れてました)。