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商品説明
遺伝子操作の実体、現代物理学の進展と限界、科学技術文明のゆくえ…。日本の最先端科学を精力的に論じる立花隆。科学技術論の専門家の立場から、立花隆の「知の挑戦」の内実を徹底検証・批判する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐藤 進
- 略歴
- 〈佐藤進〉工学博士。京都大学教授を経て、現在、同大学名誉教授。「科学技術とは何か」「現代科学と人間」など、科学論に関する著書がある。
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紙の本
痛快な一冊
2010/05/26 17:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いりたりざ - この投稿者のレビュー一覧を見る
立花隆氏への批判本として本書と谷田和一郎(著)『立花隆先生、かなりヘンですよ』の併読をお勧めします。
内容としては学者の先生がよくもここまで、評論家の著作を批判検討なさってくれたなあ、とただただ頭が下がる一冊です。
ただ、一つだけ気になる箇所を挙げるとすれば(160頁)のアマラとカマラという二人の少女が狼に育てられたという有名な作り話を事実として紹介している件でしょうか。
(218~219頁)にかけてのあとがきには物理関係、生命関係に関してはその分野の専門家にチェックして貰った、といったようなことが書いてありますが、心理学や教育学の専門家には頼まなかったようですね。
学問とは難しいものです、自明だと思っている箇所には誰も注意を払わないのですから。
紙の本
学びなおすのには最適な、良心的一冊
2000/11/12 16:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:m.a. - この投稿者のレビュー一覧を見る
刺激的なタイトルとは裏腹に、遺伝子工学や宇宙論の教科書としても使えるような丁寧なつくりとなっている。著者は、立花隆の一種カリスマ的なまでの知名度が、その著作の「無知蒙昧な」内実とあわせて紹介されることに危機感をいだいてこの一冊を書いたという。実際、立花隆の著作から引用されている部分は、ひいき目に見ても問題を感じるようなものばかりであるし、タイトルの「無知蒙昧」自体が立花隆が「遺伝子組み替えを論じる人たちに対して」用いた言葉からとってきているほどだ。
著者は、各分野の専門家がここで紹介されているような立花隆の著作にきちんとした批判を加えていないことを問題視している。実際、専門家、ジャーナりストに限らず立花隆批判、というのは少なく、もしかすると業界のタブーの一つなのかもしれない、と思わせる。最近の立花隆の仕事では、たとえば東京大学のゼミの学生もまじえた環境ホルモン関連のものに「無知蒙昧さ」と「危険な煽動」を感じることができるが、本書は残念ながらそこまでは対象としていないようだ。もっとも、批判の本質としては本書をもってすれば完了、なのだが。
タイトルに惹かれて、一刀両断的な立花隆批判を期待するむきには、多少肩すかしをくらったような読後感かもしれない。それは著者が批判行為それ自体よりも、立花作品を「読んでしまった」読者への、学びなおしのテクストとして本書を産みだしたためである。それらの各項目は、わかりやすくまとまっており、立花隆を抜きにしても十分一冊となるであろうほどである。
ただ、本書がきっかけとなって、各分野の専門家からも責任ある忌憚なき見解が公表されるようになれば、と感じた。
立花隆の著作を読みながら、なにかひっかかるものを感じた人や、その派手なスローガンに目眩いを覚えた人にとって、本書はその引っかかりや目眩いを解くてがかりとなるであろうし、また、現代的な科学礼賛の文言の数々に、科学技術のこれからを託していいのかどうか不安を覚えてしまった人にも本書は、社会と科学のお互いのあり方を考え直すきっかけを与えてくれるであろう。
紙の本
科学ジャーナリストの旗手・立花隆の「知の挑戦」に現れた誤解や楽天的な誘導を鋭く批判
2000/12/28 12:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:廣田 耕司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
田中角栄の研究でジャーナリストとしてデビューした立花隆は,その後科学ジャーナリストの旗頭として活躍を続けている。扱うジャンルは多岐にわたり,常に最先端の科学技術を未来を開くものとして紹介している。本書は立花氏の作品について,徹底的に論難している。著者は京都大学の工学系の名誉教授。 遺伝子組み換え食品について立花氏の「何の心配もしていない」との発言をとらえ,トウモロコシなどに現れた危険性を指摘,宇宙論では量子力学に触れていない欠点を追求している。その他生命科学,性と死など,多くのテーマについてそ上に載せて検討している。確かに専門学者の目から見れば,立花氏の立論はきめ細かさを欠き,楽天的過ぎるであろう。厳密を優先する科学者の立場と,一般人に科学を分かりやすく解説しようとするジャーナリストの立場は,違う。この本の筆者と立花氏の間で,さらに問題点を詰める作業が期待される。
(C) ブッククレビュー社 2000