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商品説明
網野善彦と中世の陰陽師の実態や猿芝居のルーツにうんちくを傾け、井上ひさし、関敬六と渥美清を偲び、阿川佐和子にいい男の見分け方を伝授する。多彩なゲスト17人との対談集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
佐渡はよいとこ、フシギなとこよ | 柳家小三治 対談 | 10-55 |
---|---|---|
トイレは好きだなぁ、落ち着くなぁ | 松島トモ子 対談 | 56-69 |
お祭りはジャリの時がいちばん | 内海好江 対談 | 70-83 |
著者紹介
小沢 昭一
- 略歴
- 〈小沢昭一〉1929年東京生まれ。早稲田大学仏文科、俳優座養成所卒業。新劇、映画、テレビ、ラジオに活躍。著書に「放浪芸雑録」、新潮社学芸賞を受章した「ものがたり芸能と社会」などがある。
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紙の本
何てったってこんな面白い本はない。言々句や小沢式発言のことのユニークさ。
2000/11/22 21:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今さら小沢昭一の著書を読み、話芸の達人とか、抱腹絶倒などとはしらじらしくて書く気がしない。もっと別の人という気が本書を読み終って思った。
十七人を相手に対談してまとめた本であるが学者あり 俳優あり 落語家あり 写真家、騎手、漫画家、ニュース・キャスター、作家と、多士済済。ジャンルの違った人たちだいうのに、それぞれの分野に深い知識と経験を持つこと、小沢昭一的世界がいかに凄いかを改めて知った。
著者が一九二九年生れというのが何とも嬉しい。この年はドイツの飛行船ツェツペリンが日本に飛来した年で、平和な日本と軍国的日本との境目である。まことに著者が生れるのにふさわしい。果ものがくさり出して何とも微妙な深みのある味になったといったような年であるからだ。
白状すれば小沢昭一さんの美意識はとても特殊であり、すっかり度肝をぬかれてしまった。例えば柳家小三治師匠との対談で二人が真野音頭のなかの“地蔵踊り”というのをほめ上げている。
小沢 あんなおもしろいものは、ない 一見、ただの盆踊りの輪踊りでしょう。ところがそこへ、関係なく本物の石の地蔵を背負った人が、うつむいて苦しげに通過してしていくというので、小沢さんはこれを日本が誇る芸能でパリでやろうと、ニューヨークでやろうと納得させることができるーという。八〇キロもある本物の石の地蔵を苦しそうな顔もせずに男の人が舞台を通り過ぎるだけの素朴な芸能である。バカバカしさの極地。それがすばらしいというのでこの二人の感動ぶりに読者がわからぬながらにわかったような気分になって感動するということになってしまう。私も佐渡にいき“地蔵踊り”が見たくなったから不思議だ。
どの人との対談にも必ず隠し弾というか、思いがけない昭一的解釈が存在していて読む方は世の中の見方を根底からゆさぶられることになるのだから面白い。とやりあっているなかで、阿川佐和子さんとの一篇は、相手が若い女性のせいか、珍しく素直な発言があり、孫自慢がとび出してきたので愉快だ。彼にとっての最高の芸人は美空ひばりと藤山寛美であり、自分自身については“ニセモノ”ときめつる。おまけに落語家にコンプレックスがあるようで、
「落語より新劇のほうが人生を深く捉えているなんて考えたこともありましたが、とーんでもない、落語のほうがずーっと実に深い」
なんて発言もある。この辺り当方の見解とはずいぶん開きがある。しかしよくわかる。この人、シャイで、一歩人より下るくせがあり、感性はメチャ鋭く、よかれ悪しかれ全くの東京人である。今までラジオのトークだけで、ちゃんとした舞台を見ていないのを後悔している。全国をまわり埋もれつつある芸能をさぐり、古今東西の文献にもくわしく、俳優であると同時に学者さんである。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝/作家 2000.11.24)