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商品説明
少年法の壁に疑問を抱かず「知る権利」に応えられない新聞やテレビ、ゲリラ的報道に出る一部メディア。こうした状況下で少年法と「知る権利」の調和点を探り、続発する少年事件とどう取り組むかを提示。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
「護憲」的立場から少年法を批判する
2001/09/09 00:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:袋小路 - この投稿者のレビュー一覧を見る
神戸市須磨区の児童殺傷事件(97年)では一部のマスメディアが容疑者の少年の顔写真を報道した。大阪府堺市で起きた通り魔殺人事件(98年)でも、「新潮45」が容疑者少年の実名を報道し、少年が損害賠償訴訟を起こした。こうした動きに対しては、大新聞などの「良識派」マスメディアからは「少年法の精神に反する」といった批判が浴びせられてきた。
しかし本書の著者の松井氏は、少年事件の報道制限を定める少年法61条は、憲法21条が保障する表現の自由を侵害している、と主張する。
松井氏は憲法学者。民主制において不可欠である、という理由で表現の自由を極めて重視する(逆に社会権や憲法9条の平和主義などは重視しない)議論で知られている。
氏は表現の自由の制約は、とりわけ厳しい基準を満たさなければ認められない、とし、実名報道の一律絶対的禁止は正当化しがたい、と結論づける。
著者はさらに、少年の自己責任を重視する立場から、現行の少年法の背骨となっている保護主義にも疑問を投げかける。
これまで、少年法の報道制限に対する批判といえば、もっぱら加害者への応報感情を根拠とするものが多かったように思う。その中で、「表現の自由」を根拠とする、いわば「護憲的」観点から少年法を批判している点で、本書の主張はもっと議論の対象とされていいはずだ。特に少年法の専門家からの応答があれば、知りたいと思う。
紙の本
憲法の視点から少年法を考える
2001/01/15 12:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:法学セミナー - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年が罪を犯したとき、審判手続は公開されず、氏名や顔写真は報道されない。これらの措置は少年の利益を保護するとされるが、国民の知る権利や表現の自由はどうか。本書は、憲法の観点から論じる。
少年のプライバシーを保護して更生をはかることが、社会の利益にもなるならば、審判を非公開とすべきだ。しかし、国民の知る権利との比較衝量から非公開が正当化されるのは、やむにやまれぬ場合のみだ。
事件報道においても、少年の最善の利益は、表現の自由と調整される必要がある。裁判所が、具体的な事例で両者を衝量し、やむにやまれない場合にのみ報道を制限すべきだ。
さらに、少年観の変化にも言及がなされる。自己決定権の行使主体となった少年は、自己責任を負うべきであり、その責任を自覚させるためにも情報公開は有意義だという。
少年法の目的と憲法上の権利、これらをどう考えるべきか。本書は、理論的に突き詰めた書といえよう。(C)日本評論社