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  • みんなの評価 5つ星のうち 2.5 3件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.11
  • 出版社: 文芸春秋
  • サイズ:20cm/295p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-16-319670-6

紙の本

貴腐

著者 藤本 ひとみ (著)

満たされることのない欲望に身をこがし、性愛遊戯の餌食となった男と女−。激動のフランス革命期を舞台に、貴族たちの退廃的な性愛ゲームを描く「貴腐」と、性にめざめた尼僧の歓びを...

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貴腐

税込 1,572 14pt

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商品説明

満たされることのない欲望に身をこがし、性愛遊戯の餌食となった男と女−。激動のフランス革命期を舞台に、貴族たちの退廃的な性愛ゲームを描く「貴腐」と、性にめざめた尼僧の歓びを語る「夜食」の2編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

貴腐 5-150
夜食 151-296

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みんなのレビュー3件

みんなの評価2.5

評価内訳

  • 星 5 (0件)
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  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

華麗なる退廃

2000/12/01 22:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:にむまむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 久しぶりに著者の作品を読んでみた。なんだかどの作品も同じように見えてしまって独自性が消えてしまっているように思えたので少しはなれていたのだが、タイトルにひかれてしまいました。
 相変わらず西洋が舞台でかなり調べこんでいる部分も見えるのですが、多少説明的な部分も読み取れたりしてちょっと…でもそれが逆に物語の世界に引き込んでくれる面もあるので難しいのですが、300ページ近くとなるとかなりしんどかったりします。
 逆に完全にファンタジーの世界に話を持っていったりした方がわかりやすいかな??歴史物として読むと苦しいように感じてしまうのは私だけでしょうか?

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紙の本

フランス革命がひとびとにもたらした精神と肉体の変容を鮮烈に描く歴史小説

2001/01/19 15:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:井上真希 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 完熟ぶどうにハイイロカビ菌の一種が繁殖した、いわゆる貴腐ぶどうから造られる貴腐ワインは、強い芳香を放つ甘口の白で、フランス・ボルドー地方のソーテルヌのものが代表的だ。「貴腐」はフランス語で「la pourriture noble」、直訳すれば「貴族の腐敗」である。
 ふたつの中篇が収められたこの小説集には、ソーテルヌにも似たゼウスの黄金色の甘露を身に受けるダナエの官能的なイメージがあふれ、革命をよそに情欲に溺れるフランス貴族たちの退廃に重なる。

 これまでヨーロッパの歴史小説を数多く手がけ、『バスティーユの陰謀』(文藝春秋)でカフェのギャルソンの人生を通してフランス革命の始まりとなった事件「バスティーユ陥落」を描いた著者が、今回の2篇では、革命がもたらしたひとびとの精神と肉体の変容をテーマにしている。
 表題作「貴腐」は、パリ市民によるバスティーユ要塞の襲撃から2か月後、食糧事情が悪化し、地方でも市民や農民による暴動が相次いで、革命の波がフランス全土へと広がりゆくなかで、相変わらずルイ14世の時代そのままの豪奢で怠惰で背徳など意に介さない享楽的な日々を送る貴族たちのひとり、アランクール侯爵夫人オディールが、退屈しのぎに、富裕な平民エスパンシャルの妻で29歳にして処女のままの純情可憐な美女ジュリエットを陥れようと計略を練るが、若い愛人の予期せぬ変心と想像だにしなかったエスパンシャル夫妻の秘密が明かされることによって失敗に終わるどころか、1789年10月5日、数千人の女性を中心とするパリの民衆に続いて数万の市民軍が国王のいるヴェルサイユ宮殿へ抗議の行進をしたその日に、貴族社会でねじ曲げられた自分の心が真実の愛をなくしていたことを思い知らされる話である。
 また、もう一篇の「夜食」では、ドナスィアン・アルフォンス・フランソワ・ドゥ・サド、つまり放蕩のために投獄されていたところを革命によって自由の身になったサド侯爵が、国王ルイ16世の処刑後、改革の進む1793年春、地区告発審査委員として公安委員会へ報告すべく調査に立ち入った貴族の老嬢アレクサンドリーヌの屋敷の地下室で、彼女を6人の若い男女が陵辱する狂宴を目撃したことから、5歳から50年間を修道院で過ごした彼女が、老いて《夜食》として快楽を求めるに至った、22歳の司祭リュシアンと14歳の貴族未亡人テオドリーヌを交えての倒錯した体験を語る。

 思いがけないストーリー展開のなかで、王妃マリー・アントワネットに象徴される貴族夫人たちの情事と賭け事と舞踏会に明け暮れる奢侈な生活に終止符を打ち、他人をもて遊ぶ傲慢さを罰しただけでなく、新たに封印されていた肉欲をも目覚めさせてしまった革命のはらむ底知れない力を感じさせるとともに、昼夜を問わず繰り広げられるさまざまな性行為の描写が、愛のない欲情は安らかな満足感をもたらさないことを物語る一冊である。とろけるようなゼウスのソーテルヌはひとを酔わせ、ほんの少しでも口にしたいとの思いを募らせるばかりで、その渇きは癒えることがないのだ。 (bk1ブックナビゲーター:井上真希/翻訳・評論 2001.01.20)

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2005/10/02 10:02

投稿元:ブクログ

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