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紙の本
項羽と劉邦
2002/09/05 16:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヨモ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は紀元前250年頃、秦の悪政を打倒するべく二人の英雄が現れる。項羽と劉邦。同時期に生まれ合わせた二人の英雄はやがて対峙するようになる。二人の姿を通して、本当の王とは、人の上にたつものとは、人間のあるべく姿を教えてくれる横山光輝の中国歴史物長編傑作。何年たっても変わらない、人間が人間にもとめるものがこの本にはあります。
紙の本
どこまでも雄大、どこまでも悲しい
2005/03/09 05:13
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横山光輝の手になる項羽と劉邦のマンガ。それにしても、横山光輝とは多才な人だ。魔法使いサリーと、項羽と劉邦を同じ人が書いているとはなかなか連想できないものだ。
項羽と劉邦といえば、私は司馬遼太郎の「項羽と劉邦」とこの横山光輝の「項羽と劉邦」が双璧だと思う。ただ、中国の未見の土地名の羅列を小説でやられると、混乱することもあるだろう。そこで、まずはマンガで読むのが一番だと思う。
項羽と劉邦の世界は、今から約2200年前に遡る。三国志より400年前、アウグストゥス帝政より200年前。なんという遠い昔だろう。項羽と劉邦の話は、三国志の登場人物からみても、我々の時代からみる関ヶ原の時代と言うことになる。古典中の古典であり、中国史の中でも三国志・楊家将の時代に次ぐ人気である。
鴻門の会やら、馬鹿の語源やら様々なことがこの時代に生まれた。しかし、時代というのは必ず人が作る。人なきところに歴史なし。この時代を彩る人物は多種多様である。
能力はなくとも人使いの巧みな劉邦と、神威を放つ無双の豪傑項羽。始皇帝も含め、様々な勢力が入り乱れた2200年前の中国も、結局この2人の抗争の場となってゆく。
歴史を見なければ動けぬのが中国人だ。諸葛孔明ですら先人の例を引いて行動している。故に、この2人の勝敗は、後世に多大な影響を残す。人使いの名人と個体としての超人。後世は、いづれを模範とすべきか多いに参考にした。規範を作った大勝負と言えるだろう。
劉邦旗下は、まさに多士済々。後年曹操をして「荀いくは我が張良(子房)」と例われた張良。楽毅を万年悩ませた斉を瞬時に平らげた戦術の天才韓信。後顧の憂いを絶ち続けた堅牢無比の蕭何。いわゆる漢の三傑だが、鉄壁の陣容といってよい。このうち一人でも西暦234年の蜀漢にいたら…などと夢想してしまうほどの。
項羽は、その武力はまさに天下無双。配下にも、范増や英布などなかなかな陣容。ただ、如何せん人を使うのがうまくない。それを差し引いても項羽の武力は、陣容の遅れを取り戻すほどの桁外れ。
結果は、「四面楚歌」という用語に凝縮されている。はたして決戦の地・垓下で最後に立っていたのはどちらか。
英姿颯爽と時代を駆け抜け、「死」など想像も出来なかった項羽の斬首など見たくはない。素直で寛大、部下に慕われ民に慕われた劉邦が無残に殺される姿など想像もしたくない。
されど秋風悲し垓下の地。四面から聞こえる楚歌に乗って、結果はやってくる。
主人公が死ぬ…歴史小説の必然だが、あまりに悲しい。しかし止められない。それも歴史小説の面白みなのだろう。勧善懲悪とは必ずしもいかないところが歴史の雄大さなのだろう。
マンガなら、容易にイメージが浮かび、歴史理解の大変な助けになると思う。小説だと、とくに中国史の場合地名で混乱する方もおそらく多いと思う。要は楽しめればよい。全巻購入しても後悔のないことは、2200年の間語り継がれたという歴史が証明している。
(余談ながら、本書を読んでおけば、センター試験の漢文には多いに役に立つ。原文がそのまま出てくるので、内容を知っておけばすぐに解ける。また、本書で理解した漢文の文章を使って漢文の文法を学んだり出来る。)