紙の本
発想法としては有益だし,なによりも日本発というのがいい
2009/08/18 23:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
I 野外科学 現場の科学
II 野外科学の方法と条件
III 発想をうながすKJ法
IV 創造体験と自己変革
V KJ法の応用とその効果
VI むすび
著者は三重県生まれ(1920-2009年)。第三高等学校理科を卒業(41年,21歳)。京都帝国大学(地理学科)卒業(43年,23歳)。東工大学在職中に本書を刊行し,KJ法を発表(67年,47歳)。川喜田研究所開設(69年,49歳)。本書は40刷目でまえがきを書き改め(76年,56歳),84年にあとがきを付け加えている(64歳)。手許のは71版(刷,97年印刷)。
学問分野としての野外科学(field science)の意義を唱えたうえで,有名なKJ法を導入している。現地で採集してきたバラバラに見える情報の断片を整理し,図式化するという方法。地理学科という研究分野ならではの着想。ただし,これだけなら発想に行き詰った際に採られる自由連想法や強制連想と大きな違いはなさそうだし,集団的自由発想法(ブレインストーミング)の提唱者であるアレックス・オズボーンの方法との違いも今一つよくわからない。東工大を辞職して自説の研究所まで設立している天才教授なんだから,自説との差異を際立たせないと。
ただ発想法としては有益だろうし,なによりも日本発というのがいい。(495字)
紙の本
創造性開発のバイブル-KJ法
2004/06/12 17:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さにお - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会人になると問題を解決するために、具体的なアイデアを求められる場面が多々あります。経営コンサルタントの先生から、「アイデアの出し方、つくり方といった創造性開発手法の代表がKJ法である」と教わりました。このKJ法が書かれているのが、本書「発想法」です。
アイデアを出す流れとして、ブレーンストーミング→KJ法→パート法といった手順をふみます。ブレーンストーミングで自分の頭にある情報を吐き出し、KJ法でグループ編成します。パート法では、出されたアイデアをどのような手順で実施したらいいか考えます。
KJ法は、問題の解決の糸口がまったく見つからない状態、異種のデータを統合する問題などに対して適用できます。ただし、問題点をどう解決するかといった手法はNM法がいいようです。
実際にKJ法をプロジェクトで利用しました。数ヶ月にわたるプロジェクトで議論をしていると、何で議論したのか? どう議論が展開してきたのかが忘れがちです。KJ法で議論を体系化し、まとめたところスッキリとまとまりました。他にも様々な場面で適用でき、社会人には必須の手法であると感じています。
こちらに要旨をまとめてあるので購入する前にぜひ読んでみて下さい。他にもビジネス関係の本の要旨がありますので、参考にして下さい。
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KJ法と呼ばれるデータをまとめる方法についての解説。発想法として会議資料などをまとめることもあれば、人文・社会科学系の研究者がインタビューデータをまとめるのに使ったりもする。
非常に興味深いのは、KJ法はあくまで「発想法」であるという点だ。フィールドワークの目的を「フィールドの理解」などに設定した場合、その結果は「こうでした」という単なる報告になりがちだが、ある程度のグループへとまとめ上げることで、グループ間の関係など、当初は見えなかった構造を明らかにすることが、著者の真意でないかと思われる。新しい視座が得られる、というのは良いですね。
その上で疑問として残るのは、KJ法が方法論としてどこまで確立されているかということである。どうも、「この本を読んだだけでKJ法を名乗ってはダメ」的なことが主張されているようだが、だからといって著者の主張するような「研修を受けて云々…」などという時間もお金も無いのである。方法論を独占(というと表現が不適切かもしれないが)することが果たして望ましいのかどうなのか、その点が気にかかる。割り切って「KJ法的な方法」くらいの位置付けでやるのが良いのかな。
質っぽい研究や調査に携わる人は、この本を読んでおいて損はないだろう。また、GTAなどの他の方法論を平行して学んでおくとより研究に厚みが出せるのではないだろうか。
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知らなくて古本で買ったのだけど、ずいぶん古い本だったのだなあ。KJ法も知らなかった。手間がかかる方法だろうけど、物事の把握と発展には確かに役立ちそう。
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たまたま、実際にこのKJ法を使うことがあったんで
読んでみようかと思って読んだ本。
やった後に読んだんで、復習みたいな感じでした。
アメリカと日本の区別をつけてるのが印象的。
現代でも当てはまるのでしょうかねぇ。
何が驚きってこれ、父親が発売当初に買ってました。
当時の値段、200円也。新書が200円!
【註:もちろんインフレとかそういうの分かってますよ。】
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アイデアを構造化してまとめ上げる方法として有名な「KJ法」.本書は,著者が考案したこのKJ法が,新書サイズでコンパクトに解説されているロングセラー.
論文や報告書などを書いたり,企画を練り上げたりする上では,素材の収集・選別と,その構造化が不可欠な作業となる(これをやずして,良いものはなかなか出来ない).構造化は,よほどの才能に恵まれた人でない限り容易なことではないので,通常は知力を集中して,意識的に行う必要がある.それには力任せの努力だけでなく,テクニックも必要となる.本書に書かれた「KJ法」は,そういった構造化のテクニックそのものとして,あるいは自分なりのテクニックを築く上での有用なヒントとして,役に立つ(もっとも著者によれば、中途半端な我流はよくないそうなのだが…)。
こういった「考える技術」みたいなものには欧米産が多いイメージがあったが,日本の文化人類学者である著者の発案が,こうして永く読み継がれロングセラーとなっていることに,頼もしさや喜ばしさも感じる.
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★読む目的
新しい発想法を身につける!
★読書レベル
シントピカル読書
★メインブランチ
『はじめとおわりに』 『野外科学』 『KJ法』 『応用と効果』
★INPUT
・3つの科学:?書斎(過去の情報に依存。頭の中の推論を重点おく)?実験(本当か
どうか試す。実践的性格を持ち、仮説・検証的)?野外(?と共通する点がある。
しかし、観察・実験する場所が野外で、その辺がぜんぜん違う)
・1巡の流れ:A→B→C→D→E→F→G→H(Aで問題提起。A→B情報探索。B→C
観察され記録。C→D集めた情報をまとめる。D→E推論展開。E→F推論の実験計画
作成。F→G実際に観察・記録。G→H仮説検証。H結論に到着。
・書斎科学はA→D→E→H。実験科学はA→D→E→F→G→H。野外科学はA→B→
C→D
・KJ法:データをカードに記入し、カードをグループごとにまとめるそして図解し、論文等
にまとめる
・パート法:全体を構成する各作業、相互依存関係をネットワーク図化する。そして、
クリティカルパスを明らかにする
★ウガンダの感想
頭の中のモヤモヤやまとまらない問題抱えていると、精神衛生上よくありません。
5感をフルに活用し、いろんなところにも出かけてみましょう!きっと思わぬヒントが目に
飛び込んでくるはず!!
★一言で言うなら
『実際に図を描くべし!』
★OUTPUT
・複数人で行う計画方法を実行してみる:?ブレーンストーミングで情報、アイデアを
集積?KJ法で構造計画創る?パート法で手順の計画を展開
・情報探索は360°から
・問題解決A→B→C→Dこれがうまくいかないと挫折すること理解
・狭義のKJ法はC→Dである
・可能な限り野外で観察し、複数・多様なデータを語らしめる。そしてまとめる。
★BookCrossingしたい度
『★★★☆☆』
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KJ教と、宗教として揶揄されるほどの強い影響力と信者をもつ発想法についての本。知っているのと知らないのでは、大きな違いがある。一度は読んでみることをおすすめする。
内容は、ちょっと頭のいい人なら当然のこととしてこなしていることであるため、おもしろみがないかも知れないが、はっきり書いてあると自分の方法に自信が持てるので、良いと思う。
しかも、KJ法を使ってみると、すごく便利で、考えをまとめるのも議論をまとめるのもうまくいく。とても参考になる本である。
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KJ法について勉強しようと思い購入
タイトルどおりに「発想法」について川喜田先生のいろいろなお話がのってます。その1つでありコアな部分がKJ法と呼ばれるものですがこの1冊でKJ法はマスターはできません。ちゃんと習得が必要と書いてあります。
習得はできませんでしたがKJ法は有用だと思います。
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KJ法は万能だ! 臨床心理学的な意味しか知らなかったが、そんなもんじゃないね。なんでも使えそうなので、わくわくします。この方法なら網羅するよ。
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ビジネス書にこういった類のものは多いイメージがあるけど、手にしたのはこれが初めてだった。だから他の著作と比較することはできない。でもこんなにも丁寧に、筆者が推す手法が生まれた背景・その詳細な内容・多面的な効能・多角的な問題・他の手法との関係・展望などを記してあるものとは思わなかった。ほかのビジネス的実用書もそうなのかなあ。
著者自身の文章が、まさしくこのKJ法AB型を経て整理された上に書かれているという感じで、メタ的にこの手法の効果が見えてくるようでとても面白い。そういえばまさに本文中で、文章の書き方についての心得も解説してあるんだけど、それにくらべて自分の文章のいかに雑然としていることか…と反省した。それ以外にも、細かなポイントでふれてある解説にいちいち感心させられる。
このKJ法自体が、累積効果によって個人レベルで、あるいは理論レベルで高められていくべき未完成品として紹介されているようで、そういわれてしまうと批判のしようもない点がズルい。
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名著だった。
心理学の論文でよく「KJ法(川喜田, 1967)によって分類した」となっているのの引用元の本ですね。有名すぎる。
かわきたじろうなのでKJです。
方法論の本かと思って読んでいたんですが、各個人の創造性、発想力、思考力をもっと上げて、国の安定や世界平和をなしとげるぞ!という話にまでなっていました。
昔の学者さんは骨のある文章を書きますね。文体もそうだし、そのうしろにある思想も深いです。
いまこんな大願に立ったこという人って、学術界に何人いるんだろう、と思います。
方法論の本だけど方法論に終始しないし、思想だけ話して終わるような抽象的な本でもなく、思想を方法論として確立した本なんだなぁと思います。すてきすぎる。偉大すぎる。
読まずに引用することもできるかもしれませんが、読んでから引用することをおすすめします。
なお、読み終わってからKJ法やったけど、むずかしかったです。むずかしい・・・。創造性が低いのかな・・・(苦笑)
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創造能力を向上させる方法と、創造を成し得る手法について、著者の大発明であるKJ法を軸に述べられている。ただ方法が羅列されているだけではなく、創造に必要な精神についても深く学ぶことができると思う。知的創造の道を志す人の必読書。
『思考の整理学/外山 滋比古』に続いてこの本を読んだのは、大した時間・大した労力をかけずに、なんとなく勉強を続けていくだけなら、特に方法論等は必要ないのだけれども、懸命に何かに取り組むのに基礎になるものが無いのは、すこぶる勿体ないなと思ったからで、期待以上のものを得られて満足。
KJ法といえば「既に煮つまった案をバラバラにして再考するんだろう」という適当かつ″間違った認識″を持っていて、それでも一部では、自分なりの解釈を以て、活用できたのだけれども、これはその根底にある精神を理解しないと活用し得ない手法であるということが、この本を読んでわかった。
文章は流れる思考のようでとても読み易くて、一章の流れの美しさには驚愕した。ただ、どうしても量は多くなるし、脳が文字を滑るときがたまにあったのと(トレーニングになった)、哲学書と比べると(比べてはいけないのだけど)驚きに欠けた。それは一方では前提知識なしで読める工夫なのですけど。
まずは実践をしてみないことには何とも言えないけども、BADを構成してそこから思索することは、BADの全構成要素間の関係性を考えることをしないので、そこで選択がなされる訳だから、ここをトチると重要な要素を見落して上手くいかない、なんてことになりかねない。
もちろん、それを防止するために著者はこの本でも再構成をするよう勧めているのだけども、慣れないうちは苦労しそうだ…と言って挑戦しないのではダメだ、とも著者は言っております。
ひとつ内容で気になったのは、″時間的もしくは鎖状発展の関係認知能力は、人類が言語を創り出した時期以来確立したものではないだろうか″(P125)の一文。鎖状発展の関係認知能力は、僕が思うに経験から論理を導出する能力だから、発生の直接の関係に言語があるとは考えにくい。
著者も後で述べているけども、「KJ法=経験論哲学の実技化」の考えの上では「干渉作用による累積効果(P107)=帰納法の働き=経験を論理に昇華させる働き」と捉えられるんじゃなかろうか、と考えた。
「著者も後で〜」の下りは、″この検知からいうと、KJ法的な発想法は、まさに英国人のこの経験論哲学を実技に移したもののようである。″(P146)のこと。
それから、KJ法はネットとの相性が悪そうだということと、参加者が精神を心得ていないと上手く行きそうにない、ということを考えた。ついったーなら相性は悪くはなさそうだけど、根が人にはっているので、それもひとつの弱点と言えそう。
あと、ちょっと関係のないところで、「論理とは何か」と「問題とは何か」というこのふたつは、併せて考えると面白いんじゃないかと思った。なんで思い付いたのかは謎。
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文化人類学者の川喜田二郎氏(1920年生まれ)がフィールドワークを通じて、編み出した方法論に関する本です。初版は1967年に発表されました。分類して、図形化するという作業はトニー・ブザン氏が提唱するマインドマップに通じるものがあります。
発想するためには、まずテーマをはっきりさせます。そして、以下のものを用意します。
(1)鉛筆、ペン
(2)色鉛筆
(3)クリップ多数
(4)名刺大の紙
使う紙は「メモノートの1枚ずつの裏に糊がついているもの」が理想とあります。1980年のポスト・イット世界発売に先駆けたアイデアでした。
これらをノートに貼って、グループ分け。図解していく。出来上がった図には、中心の円や枝のようなものはありませんが、マインドマップとよく似ています。
川喜田氏は、この発想法(自らの名前からKJ法と名付けています)の効用として、以下の2つを上げます。
(1)ヒントが成長していく
(2)新鮮な発見が続出し、いいようもない楽しさがある
図解から文章化することもあれば、文章から図解化することもありそうですが、図解から文章化する作業は「長い文を書くのが、楽しくて仕方ない」そうです。
40年近く前に発表された術ですが、このような有益なアイデアがいくつも書かれています。
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43年前に書かれた本ですが、現在でも非常に有効な内容です。KJ法という名前も含め自画自賛がちょっと強いと感じる部分がない訳でもないですが、自分自身が使っている仕事効率化とか、グループ開発ツールにも影響を与えているのかとも思います。りあえず私におりてきた言葉を列挙。ブレスト(まんまだ)、Evernote、ポストイット、マインドマップ。あれ?私が読んだのは文庫本だった。内容違う?