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紙の本
今更ながらに、このヘルシングを語ってみる…
2002/10/09 03:49
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年画報社隔週ヤングキングアワーズに連載中の作品。ハッキリいってこの漫画を語るにはちょっと時期が遅すぎる感もあり、アニメ化(しかも、既に終わっている)されている時点で誰もが知るメジャー作品なので、『この本はお奨めです!』とか書くのもワザとらしいのだが、取り敢えず買ってみたので語りたい。
「ヘルシング」の舞台は現代ヨーロッパ。ジャンルとしてはオカルト系である。タイトルを見ればピンとくるかもしれないがいわゆる吸血鬼モノである。主人公はその吸血鬼の王様(ノーライフキング)なのだが、なぜか人間に使役されているという設定。使役する主は英国の対怪物特殊機関のボス(女)で、彼女に命じられて日夜化け物を退治するという話だ。つまり、吸血鬼が吸血鬼を狩るというのが一番分かりやすい構図で、少し例えは悪いが「ヴァンパイアハンターD」を思い浮かべると間違えはない。
作品柄、内容的にかなり殺伐としており、描写も他の掲載作品に比べると重苦しい。その上、絵柄はかなり濃い部類に入り、ストーリーもそれに輪をかけて濃い。平野耕太自身、あまり絵の上手い漫画家ではないことを独白しているが、それを補うかのように「これでもか!!」という迫力のあるストーリーを展開している。このマニアックな作風を好む人にはたまらない一作ということになるだろう。
ただ同時に、台詞回しや登場人物の性格などがかなり特徴的な作品に仕上がっているので、アレルギー反応を示す人も多い思われる。効果音や台詞は「ジョジョの奇妙な冒険」並なので、あの作品が駄目な人は多分「ヘルシング」も厳しいだろうということを予め書いておく。ちなみに評者の知人は「ジョジョ」も「ヘルシング」も両方『描写が濃すぎる』との理由で受け付けられなかった(『UURYyyyyyy』とか『クリーク! クリーク!』は生理的に受け付けないらしい)。
加えて、作品自体に著者の趣味がかなり加味されており、3巻以降はハーケンクロイツが出てこないページはないくらいだ。平野耕太がエロ漫画を書いているに作った登場人物なども調子に乗って出していることもあり、そろそろ漫画界のアナザーワールド化しつつある。まあ、どう贔屓目にみても万人受けはスマイ。数ある漫画の中でも、かなり読み手を選んでしまう作品であるといえる。『濃い』作品の宿命であるが、読む人によってここまで評価の分かれる作品も中々ないだろう。
個人的には、今のところ話が面白い方向に進む要因になっていると思うので、平野の好みを前面に出していても別にいいのだが、これ以上、趣味の世界に話を持って行くと流石に作品についていける読者がいなくなるだろう。そろそろ舵を切りなおしておくべきとも感じてみたり…。これも私見ではあるが。
作品は現在4巻まで進んでおり、物語はまだこれからが本番といったところだが、ナニブン、執筆ペースがかなり遅いこともありヤキモキさせられる。オカルト系でここまで熱の入った作品は今のところ見たことがないくらいなので、今後の話の展開いかんでは大化けするだろうと思われる(勿論、今でも十分面白いが)。
まあ、色々書いてみたが総評としては、魅せる漫画の一つではあるのでジャンルに興味があれば十分に楽しめる作品なのではないだろうか。一度読んでみればどんな作品なのかはすぐに分かるので、取り敢えず手にとってみて欲しい。作風が駄目なら読んですぐ売っちゃってください(笑)。まずは読むことが肝要?!(注:もし購入して後悔しても当方では一切の責任を負いません)