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だれが「本」を殺すのか
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 51件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2001.2
  • 出版社: プレジデント社
  • サイズ:20cm/461p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-8334-1716-2
  • 国内送料無料

紙の本

だれが「本」を殺すのか

著者 佐野 真一 (著)

活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波…。いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動、未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている! 取材・執筆に丸2年、著者...

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だれが「本」を殺すのか

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商品説明

活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波…。いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動、未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている! 取材・執筆に丸2年、著者渾身のノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

佐野 真一

略歴
〈佐野真一〉1947年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。「旅する巨人」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。ほかの著書に「性の王国」「カリスマ」など。

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みんなのレビュー51件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

文科系ライターの限界

2001/02/13 10:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばいきんまん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 星五つの本になるだろうと期待して読んだが、そうはならなかった。

 本の定義を明確にせず、統計など数字をあまりよく見ていないからだ。だから売れなくなったという言説の深刻さが業界外部にいる者には今一つよくわからない。たとえば堅い本が売れなくなったと言っても、それはたとえば出版洪水のおかげで堅い本も出版点数が二倍に増えて、顧客の購入金額が変わらないから、これまでの半分しか売れなくなったとも考えられるではないか。

 また「堅い本」というと佐野氏のみならずたいていの読書家は文科系の本を対象にしているが、理系の本はどうなのか。パソコン関連などはどこまでを「本」と認めるか否かはともかくとして、ここ数年急速に売上を伸ばしたはずである。このあたりの突っ込みもほとんどない。

 要するに、インタビューを主体で分析がほとんどないのが残念なのだ。

 佐野氏のジャーナリストとしての努力は認めるが、ビジネス関係や業界分析に強いライターの助力を仰ぐべきではなかったかと思う。

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紙の本

「本」を助けよう!

2001/02/17 13:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:上六次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 だれが「本」を殺すのか。挑発的な題名である。本をめぐるさまざまな問題が幅広くリポートされており、各章につけられているタイトルが現状を示している。「本」がテーマであるだけに日常の経験を基にいろいろと考えさせてくれる。

 例えば、第一章で本屋が画一化し魅力が無くなったことを憂いている。新刊書店は本を売って儲けなければならないという至上命題がある。店頭では売れる本を並べざるを得ず、どの本屋も似たような店作りになるという「金太郎飴」化が進んでいくことになる。

 ただ、画一化が進む中でもわずかではあるが違いは作っていけるのではないか。読みながら私は書店に入るときの感覚を思い出してみた。

 最初にジュンク堂書店の話がでてくる。私がよく利用する本屋のひとつである。同書店は天井近くまで本棚があり、まさに本に取り囲まれるような感覚を覚える。圧迫感を受ける人もいるかもしれないが、私にとっては宝の山に分け入っていくようなワクワクとした気分になれる場所である。気になる本はその場ですぐに手にとることができるということもオンライン書店にはない楽しみである。入るときに、何かに出会えるのではないかという期待感を持たせてくれる本屋は魅力的な場所であると言えるであろう。

 店舗のスペースと資金量という制限はあるであろうが、本のストックとフロー、即ち品揃えと販売のバランスをどうとっていくかにより、書店はまだまだ魅力的な場所になりえるのではないだろうか。専門書を充実させるのもひとつの方法であろうし、販売促進のために話題性のある本をタイムリーに揃えるのも店の特徴となるであろう。

 このように各章で流通や版元、書評などの現状や問題点が挙げられている。うなずく場面もあれば考え込まされる箇所もある。いずれにしても本の好きな人にとっては日頃おかしいなと感じていたことや、不思議に思っていたことなどに触れられており、興味をもって一気に読み上げることができるのではないだろうか。

 「だれ」が本を殺したのか。本書では様々な容疑者があげられている。ただし、今のところはどれも灰色のように思われる。白黒をはっきりとさせ、直すところはなおし、改めるところはあらためる。そして、本をめぐる環境がよりよくなることに参加していきたいと感じさせる一冊である。 

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紙の本

だれがこの本を読むのか?

2001/02/17 16:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぱらごん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 仕事の出先での帰り際、ちょっと立ち寄った書店の平台で本書を見つけた。
 頭の片隅でチカッと光るものがあって、手にとってみた。みっしりと持ち重りがする。この装幀は菊池信義だなどと思いながら目次を見、本文をぱらぱらとめくる。本文が約460ページ。本をひっくり返し定価を見る。1800円!
 3分とかからずにレジへ向かう。

 読み始めると、これが止まらない。
 「本」の世界では今、事件がおきているのだという。有名な出版社がつぶれ、大型書店が次々に倒産し、業界はさまざまな波で解体されそうになっており、大好きな「本」が危ない!
 そこで著者は、殺されそうになっている「本」の現場を歩いて、なぜそうなりつつあるのか? と聞いて回る。章ごとに、書店・流通・版元・編集者・図書館といった本の世界にいるひとびとへの数多くのインタビューを証言として、考察を重ねていく。だから、インタビューひとつひとつは「もう少し切り込んでもいいのでは」と思わせる長さだけれど、著者は意識的に深入りしない寸前のところで止めているようだ。本書がいわゆる「業界本」にはならないよう、事件を扱うノンフィクションの視点でまとめているからなのだろう。

 ぼく自身の個人的な「本に関する事件」として、2つの事件がある。
 ひとつは、近所の古本屋さんの100円コーナーの充実である。駅前の新刊書店に行く前に、この100円コーナーをのぞいてみるようになった。文庫やマンガだけでなく単行本もかなりの充実ぶりで、アタリのときはあっという間に5・6冊を抜き出すことになる。すると「家に帰ってさっそく買った本を読もう」ということになる。
 これは「本」を殺すことにつながる行動なのだろうか?

 もう一つは、もちろんインターネットにおける書店の充実である。ただし、いきなり新刊のオンライン書店に行くことはあまりない。
 まず最初に、スーパー源氏やブックオフなどの古本データベースを検索する。この行動は「買いたい本がはっきりしている」時のものである。
 逆に「何かおもしろい新刊が出ていないかな」という時も多いので、オンライン書店でもたとえば「この1週間の新刊書コーナー」があるといいのだけれど、見かけないのはなぜだろう? そこで、ジャンル別のコーナーへ行くわけだが、この行動が変わってきた。
 やはりブックオフのサイトへ行き、ジャンル別のコーナーをブラウジングするようになってきた。このコーナーのおもしろいところは、2000円を越すと送料が無料になる点で、欲しい本を買い物カゴに入れると「あと○○円で送料無料となります!」と表示される。現金なもので、「もう少し買えば送料無料になるな」と思ってしまう。実際に本が手元に届いたとき、梱包された箱を開けるのが楽しい、ということを発見してしまった。
 ブックオフは「本」を殺そうとしているのだろうか?

 本書の最後の部分でこんな記述を見つけた。
 「すぐれた作家とは何か。読者の時間を一時止めてみせることのできる者のことである。すぐれた本とは何か。日常の時間の流れに一瞬シワを寄せ、活字から目を転じたとき、外界の尺度が読む前と少し狂ってみえる本のことである。」
 これは名言だと思う。
 そして結局「本」を殺すのはだれだろうか? その答えを考えるために、本書は最良の読み物だろう。ぼくの場合は、本書の最後でとりあげられた読書クラブのエピソードが示唆的だった。読書クラブなんて気恥ずかしくて参加したいとは思わないけれど、自戒を込めて思う。
 本を買い込んで自分だけタコツボ的にひきこもってしまい、他者とコミュニケートしないような心が、「本」を殺してしまうのではないか。
 いや、こう言い直したほうがぴったりする。
 「オモロイ本のことは、もっともっとしゃべっちゃおう!」

 だから、この本を読むのはあなただと思う。

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紙の本

なぜ読者はいそぐのか

2001/02/18 00:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SO-SHIRO - この投稿者のレビュー一覧を見る

 誰よりも本を知り尽くした著者ならではの破壊力バツグンのノンフィクションである。
 「本」を殺したA級戦犯は実は「読者」だという著者の発言にもうなづける。ただ、大書店が近くにない地方の読者にとっては、新刊の売れ筋にのらない「本」は一刻も早く手に入れなければ確実になくなる生鮮商品であり、近くの中小の書店に頼んで三週間待つなどという悠長なことは言ってられないのだ。オンラインでも何でも駆使して手にいれなければならない。地元の書店では買わない。かくして、地方の書店の多くはますます金太郎飴化する。読者は急がざるを得ない。
 インターネットの接続環境(通信速度や回線の込み具合)に地域差があり、いくら使いやすくなったとはいえ、パソコンもまだまだ家電の域には達していない現状では、情報帝国主義を招きかねないが、結局オンデマンド出版しか「本」の生き残る途はないように思う。書店や図書館ははインターネットに簡単には接続できない読者の代行をする形で生き残りを図るべきなのかもしれない。そうなると、光ファイバーはまず書店と図書館に引いてやって欲しいと、納税者の立場からは思ったりもする。
 どこを開いても新しい視点が見えてくる、金太郎飴ではない、著者渾身の力作である。

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紙の本

出版界の内情が・・・

2001/02/18 23:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ビブロフォビア - この投稿者のレビュー一覧を見る

 現在の書店の「金太郎飴」状態がどういう仕組みで発生したのか、またそれを出版人たちがどう捉えているのか、ただ店頭の状況しか分からない消費者の私たちにも、明解に説明してくれました。前々から何やらいかがわしさを覚えていたのが、ああこういうことか…と得心しました。
 著者の本への思い入れが深いほど、この状況への絶望も深刻で、読んでいて、痛々しくなってきます。著者の幅広い取材活動に脱帽。それにこの厚さの本にこの値段というのも、すでに著者の出版界への姿勢の現れと感じました。
 最近のオンライン書店が出現する背景もこれを読むことでよく見えてきます。オンライン書店の不満は色々持っていますが、ああこうした事情が背後にあったのかと少々納得しました。運営している人たちの苦労も少し理解できたように思います。
 しかし、まあ、出版という仮面の背後にどんな魑魅魍魎たちがばっこしていることか…。

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紙の本

延命治療か、それとも?

2001/02/23 17:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Stella - この投稿者のレビュー一覧を見る

 数年来の出版不況の原因はいくつも言われてきています。取次から配本される本を並べることに甘んじて独自性を持たない書店、書店から注文を受けた本を効率よく配本できない取次、「数打ちゃ当たる」とばかりに新刊出版点数ばかり増やす出版社、増えすぎた本を置くために巨大な書店を作らざるを得ない書店と取次、再販制度の隙間をかいくぐるかのように見えて実は昔のベストセラーの倉庫と化している新古書店。まだまだ他にも言われていますが、著者は根本原因は出版関係者で本を愛す人が減ってきたのではないかという推理を行っているようです。

 通常この手の本は「再販・委託制度」問題と、本が消費品になってしまった事実を嘆くのが常で、本書もそこから脱却してはいないのが残念です。最大の問題は〈本を買う人・買わない人〉が全然見えてこないこと。なぜ馬鹿売れする本が出て、いい本が全然売れないのか、いい本が売れるようになるにはどうすればいいかを言及してほしかった。

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紙の本

出版業界人必読!bk1のユニークさもわかるよ。

2001/02/25 22:20

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これまでの著作と変わらず、エネルギッシュに足で稼いだ多くの人々の見識を、熱い思いで描いた力作だった。
 「この苦境を何とかせねば…。この事態を招いたのは一体どいつだ、誰なんだ?」という息づかいが耳元で聞こえてくるような論調に、手ごたえを感じながら読み終えた。

 私は小さな出版社で、のべ7年働いた。子どもの本づくりをしたり、書店の売り場担当者や仕入れ部門相手に営業をしたり、伝票を端末に打ち込んだり、返品の山を相手に、再出荷に備えて検品やカバー替えをしたり、在庫をコントロールしながら出荷を調整したり、調査を行ったりした経験がある。経理や経営の経験が抜けているが、自分のことを「一人講談社だな」と思っていた。
 作家や画家の先生と話をする時に「作品」と呼んでいるものが、書店や仕入れの方と話すときには「商品」となる。時々まちがえて、たら〜り冷や汗をかいたものだ。

 出版業界というのは確かに独特な点が多い。返品が前提にある委託制度という商慣習、再販価格維持制度、マーケッティングによらない出版企画、なぜか問屋さんの権限が強い流通のしくみ、「良い」と「売れる」ということの間にあるもの…などなど。
 いろいろな業務に携わりながら感じた疑問や問題点が、ここには丁寧に取材されて網羅されていた。「そうそう、こういうこともある。そうなんだよ」と共感できることがいっぱいあった。
 出版業界に携わる人、その周辺にいる人であれば、耳の痛い話が必ずいくつか出てくることと思う。耳が痛くないという人であれば、僭越ながら問題意識がないことを恥じ入るべきかという気がする。だから、ぜひとも一読すべきだ。

 メーカーたる版元の編集と営業、流通を担う取次、オンライン書店や古書店を含めた書店、図書館や書評家を含め、業界全体を俯瞰するという試みは、画期的で読みごたえがある。何より「文化」面で強調されることが多い出版というものを「産業」という視点でも捉えている点が新鮮であった。そこがまた、けんけんがくがく議論が分かれるポイントなのだと思うけれど…。

 2001年3月に再販制度の政府見解が出たあとで、この業界はビッグウェーブにのまれることが予想される。学校における図書教諭の配置やら、電子出版をめぐる動きなど、さらにルポの手法で斬り続けて見せてもらえたらという局面が登場しそうである。

 著者自身が講演会で述べていらしたように、オートバイの後ろに読者を乗せて現場まで運んでくれるようなスタイルが、確かにこれからのルポルタージュに求められている気がする。
 データをかき集め緻密に分析し掘り下げていく方法は、科学的合理的で、物事のある面を見事に浮き彫りにしてはくれるけれど、捉えたいものはどこかよそにあるような気がしてならない。
 「よっしゃ、ついてこい。行けるところまで行ってみようよ」と既にエンジンを温めている佐野氏の姿勢や、浪花節的にも読める文体が、私には「人間の原型に触れている」と感じられる。

 出版という業界を眺めるには、そのスタイルがとても似合っているのではないだろうか。この本の更なる展開を期待したいし、「大衆の賢さと愚かさの間に揺れて書く」と言っていた氏が、「読者」としての大衆に肉迫することも楽しみである。

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紙の本

力作

2001/03/01 02:03

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投稿者:らくちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 力作です。出版業界の現状がいかに矛盾を抱えているかを徹底的に明らかにしています。
 再販制などの出版業界の問題は、これまでさまざまに論じられています。しかし、再販制を擁護する人もそうでない人も、まず結論ありきで持論を主張している印象を受けます(それはそれで耳を傾ける価値はありますが)。
 著者の立場は、「読者」の立場です。われわれが本に親しむ環境が、書店、流通、出版社、図書館などのハードの問題によってどれだけ阻害されているか。著者が問題をとりあげるのは、強くこうした視点からです。
 そして著者が自らの足で全国を歩いて取材しているからこそ、現場(書店、取次、出版社、図書館など)の声がくみ取られ、問題がひとつひとつ明らかにされていきます。
 狭い立場にとらわれることなく、また安易な結論に傾くのでもなく、問題を深く受け止めていくのは、この著者の力量があってこそでしょう。

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紙の本

だれが「人を食っている」のか

2001/03/02 11:38

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投稿者:たけのこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 5年連続マイナス成長、「出版クラッシュ」ともいわれる業界の現場で最前線に立つキーパースンに、佐野がインタビューをこころみる。まくらで振られる『原色怪獣怪人百科』の強烈なギャグ(正力松太郎も中内功も……の箇所)に笑い、続々登場する面妖なキャラクターにもまた驚かされる一種の人間図鑑であった。

 たとえば「閣下」こと、紀伊国屋書店代表取締役会長兼社長の松原治(82歳)。巨大書店戦争の旗手のひとり、ジュンク堂書店社長の工藤恭孝(50歳)——ジュンク堂は淳久堂と書くが、ほんとうは「淳・工藤」だそうである、詳しくは本文参照——。また全国の図書館に図書と図書情報を納めながら、図書館人から嫌われているTRC(図書館流通センター)社長の石井昭(67歳)。その石井がたちあげたオンライン書店 bk1 に、街の書店の店長から引き抜かれてサイト・コーディネーターとなった安藤哲也(38歳)。紀伊國屋の会長が「インチキ極まる」と目のかたきにする新古書店ブック・オフの社長、坂本孝(60歳)…。

 こうした主役級以外にも、わきで光ってなぜか印象に残る役者がいる。注文された本を日販・東販といった大手の取次にまわしていては時間がかかってしょうがないから、客注本をクロネコヤマトのブックサービスに丸投げしている名古屋の三洋堂の創業者は、元満鉄職員で元共産党員。日本福祉大の前で社会主義の専門書を売り、死ぬまで革マル派にカンパを欠かさなかった——という話を現社長の加藤宏(42歳)に聞いて、佐野も思わず「偉い人だなあ(笑)」(p.138)。あるいは、「超訳」で知られるアカデミー出版社長の益子邦夫(63歳)。出版業界とはつき合いを持たず、ホテルオークラを定宿とし、読者は「一般大衆」だとのたまう「わけのわからない」(p.203)人物。そんな人間スケッチの集積が、この本の持ち味だ。

 本格派ノンフィクションの書き手と目される佐野はかつてある編集者に、「本格派というのは世を忍ぶ仮の姿で、本当は日本屈指のコント作家と睨んでいる」(p.298)と内心をずばり見抜かれたことがあるのだという。この人も確信犯だし、《人を食っている》のはだれよりも佐野自身なのかもしれない。

【たけのこ雑記帖】

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紙の本

「本」の世界の上流から下流までを一気に見通す

2001/03/07 17:04

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投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 挑発的な題名を裏切らない著者の「攻め」の姿勢に煽られて、500ページ近い分量にもかかわらず、一気に読み終えてしまった。「本」を取り巻くさまざまな側面−各章のタイトルを見よ−を、多数の関係者とのインタビューを中心にまとめたレポートである。bk1やアマゾンのような最先端のオンライン書店から町の「本屋さん」まで、国会図書館から「ふるほん文庫やさん」にいたるまで、およそ「本」とともに生きてきた多くの人びとをその経歴や主張とともに紹介し、それを通じて本が作られ読み手に届くまでの「すべて」の段階を余さず残さずたどろうとする熱意が感じ取られた。
 本書を読み終えて、いまの出版を取り巻く状況の危うさを再認識させられたのはもちろんなのだが、それと同時に何本かの「将来への道」−「地方」出版社(第4章)やオンライン出版(第8章)の可能性を著者は強調しているようだ−もいくつか提示されているように思う。その意味では、本書を読んで私はかえって元気になった。
 興味深いのは、著者の姿勢である。全国を飛び回ってのインタビューを通じて、時には相矛盾するような感想を隠そうともせず、それでいて次第に著者自身の考えは変化していっているように感じられる。おそらく、著者が本書のテーマに対して全身でのめり込んでいるからではないだろうか? 本書の索引群がすべてプレジデント社サイトで電子化されているのも肯ける気がする。
 「本」の世界の最新ルポルタージュとして一読をお薦めしたい。なお、本書の方々で言及されている、ユニークな大山緑陰シンポジウム(「本の学校」)の議事録(全5巻:1995〜1999)は、いまでも全巻入手できるようだ(1・2・3・4・5)。

【目次】
プロローグ:本の悲鳴が聞こえる!
第1章:書店−「本屋」のあの魅力は、どこへ消えたのか
第2章:流通−読みたい本ほど、なぜ手に入らない?
第3章:版元−売れる出版社、売られる出版社
第4章:地方出版−「地方」出版社が示す「いくつかの未来図」
第5章:編集者−「あの本」を編んでいたのは、だれか
第6章:図書館−図書館が「時代」と斬り結ぶ日
第7章:書評−そして「書評」も、消費されていく
第8章:電子出版−グーテンベルク以来の「新たな波頭」
エピローグ:「本」の生死をわけるもの
あとがき
人名索引
書名・雑誌名索引
その他事項索引

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紙の本

作家になりたいひと必読!

2001/03/16 22:38

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投稿者:nao - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小説家に漫画家にノンフィクション作家、さらには編集者・印刷会社に本屋さん…とにかく将来本に携わる仕事をしたい人必読の書!
 2001年現時点における、出版業界裏の裏まで語ってくれております。

 本はどこからきて、どこへ行きつくのか? 当たり前のように読者の手に渡るはずの本の真実は、すべてシュレッターの中なのかもしれない。作って売る…一見単純に思えるこの行程の中に、かくも凄まじい人間同士のドラマとジレンマと、憤りとあきらめがある。その中で、なんとか必死でもがいている人々は、今、何をやろうとしているのか? これからの本は、どんな場所で売られていき、どんなモノへと変容していくのか?
 作家志望の人が読んだら、なりたい気持ち、なくなっちゃうかもしれません(笑)。

 もはや制度疲労で崩壊寸前の出版業界に、その真っ暗な将来に一握りの希望を掴みたい…そんな想いが、1000枚の原稿用紙にたたきつけられたかのような大作でした。

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紙の本

本が売れなくなってきているのは何故かを探る

2001/03/18 23:43

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投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 出版物の売上は4年連続のマイナス成長という。2000年で約2兆4千億円。前年実績3%減。この数字はそれほどひどいものと思えないが、(他の産業でもマイナス成長は多い)、返品率が約40%という。この数字は驚くべき数字である。この驚異はなぜ起きているのか、その犯人は誰なのかを探った書である。
 というのは間違った見方なのかもしれない。書店-流通-版元-地方出版社-編集者と川上へ探究は逆上っていく。さらに、図書館や書評、電子出版についても言及している。しかしながら、犯人は誰なのか、という問いには直接は答えていない。
 むしろ、その世界において、よくやっている人々へのインタビューが中心になっており、疑問ばかりが残る。しかし、本に関わり、熱く生きている人々のルポルタージュとして読むと面白い。
 たとえば、今ベストセラーを連発する幻冬社の見城。『僕は角川時代、辞表を懐に入れて、これはと思う作家の新聞広告をドカっと打ったことが何度かある。そこまでの覚悟を示せば、どんな経営者も分かってくれると思う』今の時代、こんなサラリーマンがいたのかと思わせる。クサイようだが、元気を与えてくれる言葉だ。
 また、アカデミー出版社長の益子。『出版する側がこういう人に読んでほしい、なんていうのはおこがましい』とまでいう。成功すれば何でも言えるとも思えるが…。
 数字は出版科学研究所のものを使っており、分析、趣旨は、小田光雄の『出版社と書店はいかにして消えていくか』と同じよう。引用もされている。

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紙の本

読者にもできることはある。

2001/03/19 22:47

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投稿者:ちーたま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 活字離れ、流通の制度疲労などしばしば話題になるトピックに加え、図書館、書評などについても腰のはいった取材でぐいぐい読ませる。暗いニュースばかりが目立つ出版業界だが、その中から一筋の光を見出そうとする姿勢からは筆者の本への強い愛着が感じられる。
 これを読まずして出版界の現状は語れない。

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紙の本

独りよがりの「本」と「読者」の定義

2001/03/24 17:00

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投稿者:谷池真太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 さすが「」付きで「本」と書いただけのことはある。この人にとって、ケーハクな文芸書や文庫やマンガは「本」に含まれないらしい。もちろん、著者にとっては、それらの本を好んで読む者は「読者」ではないのである。

 出版業界人へのインタビューのなかで、ある人に対しては、はっきりと出版・流通革命に対応し切れていない「古さ」を批判するのだが、「ダ・ヴィンチ」に怒りを通り越して頭痛を覚えるそういう著者の感覚は古くないのであろうか。

 ちなみに、本書で一番「本」の危機が感じられるのはその厚さである。雑誌連載時の五倍近くも追加したという。そうでもして厚さを保ち、値段をつり上げないと作家は生活できないのであろう。

 出版業界人と、懐古主義(=屍体愛好者)の「読書人」、そしてその予備軍のためだけに書かれた本。こういう本が話題になる(業界が話題にする)こと自体が出版業界のダメさ加減を物語っている。

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紙の本

情報量豊富にして…

2001/03/28 17:29

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投稿者:みゅーる - この投稿者のレビュー一覧を見る

 書評はまだ固まっていませんがこの本の存在は面白い。偉ぶった(評者の主観)著者が出版元、取次ぎ会社、書店を批判して回る内容で立ち読みで済ますつもりがつい引き込まれて買ってしまった本。読み進む内に筆者もまた本を殺す側の人間であることが判りこの本の存在がブラックユーモアーとなった(あたしの場合)。斯界著名人のインタビューは日頃触れる機会の無い一般人にとっては物珍しく楽しい。
 なお評者はこの本によりBK1の存在を知り書評を書く事を思い立った。知識、一般教養に乏しい電気系のイイカゲン技術者である。汚さないように読んだのでブックオフで100円くれるのではないかと期待している。

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